今回は特殊な治具(じぐ)を使わずに基本的な工具類でホイールにシャフトをまっすぐ挿す方法と、楽にホイールからシャフトを抜く方法を解説していきます。
ただ最初に言っておくと、今回紹介する方法は必ずしも寸分違わずにまっすぐ差せるというわけではなく、あくまで真っすぐに差しやすいであろうという方法になり、正確無比にシャフトを差したいということであれば専用治具を使用するのが望ましいと思いますので、過度なご期待せずに読んでいただければ幸いです。
また、今回紹介する方法は基礎中の基礎となりますが、ワンステップ上のホイールにシャフトを貫通させ貫通ホイールを作成する方法も以下の記事で解説しているので 興味がある方はこちらも読んで頂ければと思います。
事前準備
まずホイールにシャフトを差す以前に、肝心のホイールとシャフトの形状がおかしければいくらまっすぐに差せても走行中にタイヤの回転がブレてしまいます。
そこで作業の事前準備として、まずはホイールとシャフトについての概要や精度の確認方法を説明していきます。
ホイールについて
私自身すべてのホイールを取り扱ったことがないため誤解していたら申し訳ないんですが、ホイールの素材は大きく分けるとプラスチック(樹脂)とアルミになります。
まずプラスチック素材ですが標準キットについているものメッキやカーボンなど様々な種類がありますが、これらは同じパーツでも形状が若干異なっていることがあり、いわゆる当たりとハズレのホイールが存在します。
このことから当たりのホイールを選定する必要があるのですが、正直 私はホイールだけ見てどれが当たりかわかりません…(笑)
なので私の場合はホイールをシャフトに挿しタイヤをつけた状態でマシンに仮組しホイールを回転させ、ブレがないかで判断するようにしています。
一方アルミ素材のホイールはプラスチックよりも精度が高くハズレパーツがないとかあるとか…
ただアルミホイールもシャフトを挿す部分のホイールブッシュはプラスチックなので、この形状がおかしければ元も子もなくりましますが、そこはすべて均一に作られいると私は勝手に解釈しています(笑)
上記の事を踏まえれるとホイール回転の精度で言えばアルミを選んだ方が無難ですが、アルミの方が重量があるというデメリットもあるので一概にアルミが良いとは言い切れません。
ただ重量を考慮する必要がない環境(検証やワークマシンでの使用)やマシンバランス等 敢えて重量が必要なケースであれば、より精度が高いアルミホイールを使うのが望ましいと思われます。
シャフトについて
こちらもホーイルと同様に精度が高いものを選別する必要がありますが、個人的にはホイールよりは見分けやすいと思います。
各シャフトの特性については以下となります。
ノーマルシャフト | 中空ステンレスシャフト | ブラック強化シャフト | |
---|---|---|---|
精度 | 普通 | 高め | 低め |
強度 | 普通 | 弱い | 強い |
重量 | 普通 | 軽い | 普通 |
価格 | 安い | 高い | 普通 |
精度だけで言うのであれば、まずブラック強化シャフトは選択肢から除外すべきかと。
ブラック強化シャフトをおすすめしない理由はシャフト自体の精度が悪いからで、パーツの取扱説明書にも「シャフトにはじ若干ねじれがあります」と記載があるぐらい シャフト精度が悪い(曲がっている)ものが多い状況です。
ただしブラック強化シャフトのすべて精度が悪いということではなく極々稀に精度が高いシャフトもあったりするらしいのでお金がある方は大量にブラック強化シャフトを購入して選別するのもありかと思います。
尚、私自身10数本ブラック強化シャフトを購入して精度を確認してみましたが、お世辞でも精度がいいというものは一本もありませんでした。
「たかだか10数本でブラック強化シャフトの何がわかる!」とお叱りを受けるかもしれませんが、本当に精度が良いブラック強化シャフトを見つけるのは至難の業かと…
このことから精度のことを考慮すると中空ステンレスシャフトかノーマルシャフトの2択になり、中空ステンレスシャフトは精度が高いものが封入している確率が高いので、純粋にまっすぐなシャフトを求めるなら中空ステンレスシャフトが無難かと思われます。
ただし中空ステンレスシャフトは強度が弱いことから 結構あっさりシャフトが曲がるということがあり、せっかく精度の高いシャフトを手にしたのにすぐに駄目になってしまったということもあります。
それに対してノーマルシャフトはシャフト1本あたりの単価の安さや強度面に関しては中空ステンレスシャフトよりも優れており、中空ステンレスシャフトに比べて精度が高いシャフトの封入率は低いものの精度が高いものもあり それらをゲットすることができれば長期的に使用できることからコストパフォーマンスでは中空ステンレスシャフトを上回ることも多々あります。
予算があるのであれば中空ステンレスシャフトとノーマルシャフトの両方を購入し、中空ステンレスシャフトは本番レース用として大事な時に使用し ノーマルシャフトはそれ以外の練習走行や加工・メンテナンス時に使用と使い分けるのがいいかもしれません。
あまり予算がなければ幅広く使用できるノーマルシャフトのみを購入し、その中から精度が高いものは本番レース用兼加工メンテナンス用として使用し 精度が高くないものは練習走行時用として使用するのがいいかと。
ノーマルシャフトと中空ステンレスシャフトは一長一短なところもあるので 甲乙つけがたく選択に迷うところでもあるので今一度 上記のシャフト比較表を参考にして頂き、ご自分のマシンやミニ四駆を遊ぶ頻度や環境に応じて適切なシャフトを選んで頂ければと思います。
シャフト精度 確認方法
いくら精度がいいシャフトを購入できたとしても、それが本当に精度が良いものかどうか確認できなくては意味がありませんので、ここではシャフトの精度を確認する方法を説明していきます。
巷ではシャフトチェッカーというミニ四駆のシャフトを選別することに特化した治具(治具)も販売されており それらを購入する余裕がある方はそれを使えば簡単にシャフト精度の確認はできます。
ただ、シャフトチェッカーは精度の良し悪しだけの判断で、精度が良かったシャフトの中でより精度が高いものを選別するといったことまではできないので最終的な精度の判別は治具なしで自分の目で確認する必要があります。
そして治具なしで自分の目でシャフトの精度をしっかりと確認する方法はアルミセッティングボードを使用する方法です。
ただし、現在はアルミセッティングボードが品薄のようで定価(税込み1,760円)で購入するのが難しい状況でもあり、シャフト精度確認に使用するものは必ずしもアルミセッティングボードである必要はないので、アルミセッティングボードが用意できない場合は他の平らなボードを用意すればOKです。
平らなボードが用意できたら、まずボードにシャフトを置きます。
※表面だと表記されている文字や線が紛らわしくなるので、私は裏面を使っています。
ボードとシャフトの接点部分が目線の先に来るようにボードを持ち、ボードとシャフトの間に隙間があるようであれば曲がっている事になります。
確認のコツとしては反射部分がギリギリ見えるか見えないかぐらいの目線の位置までボートをあげ、光が差し込んでくる場所にだけ集中します。
尚 シャフトは6角形で6面あるので例えばシャフトの真ん中に隙間があった場合、そのシャフトを180度回転(3回転)させれば今度は両端に隙間ができることになります。
こんな感じで1面だけでなく6面すべて確認していきます。
ここで注意したいのは必ず自分と照明の間にボードがあるようにします。
無理に照明に照らす必要はありませんが照明を背にしてしまうとボードとシャフトの間に隙間があっても、光が差し込まず隙間がわかりづらくなってしまいます。
使用工具について
肝心のホイールにシャフトに挿す方法・抜く方法に入る前にさすがに何も道具なしでの作業は難しく、以下の工具が必要となります。
ドリル、リューター、ピンデバイス等の様々なサイズのビットが取り付けられる工具のどれか一つを用意します。
※各工具に取り付けるビットは不要です。
工具画像はすべてタミヤ製のものを載せていますがタミヤ製である必要はなく、要はコレットチャックがあり、シャフトのサイズ(1.78mm~2mm)に対応しているものであれば何でもOKです。
ただ、個人的にはタミヤ製のものは値段がリーズナブルで且つ精度も良くできているのでおすすめです。
尚 今回は上記工具を本来の目的での使用ではないため、電動工具を使用する場合はあらかじめ電池を外したりと起動しないようにしておきましょう。
それと補助工具としてラジオペンチもあると便利です。
使用方法は後述しますがシャフトが固く挿さっている場合はラジオペンチがないと厳しいかもしまれせん。
シャフトの挿し方・抜き方
ようやく今回の本題に入るわけですが、上記の工具が用意できたら使用したいシャフトとホイールを用意します。
挿し方
まずはシャフトをホイールに挿す方法ですが、シャフトをドリルビットやリュータービットと同じようにコレットチャックにセットします。
セットしたらホイールを平らなところに置いて、なるべく垂直な力を出しやすい持ち方で、あとは真下に押す ただそれだけです(笑)
片方が挿し終わったら下記の方法で一旦ホイールからシャフトを抜いて、反対側のホイールにも同様にシャフトを通してホイールの穴を拡張させて完了です。
抜き方
そしてホイールからシャフトを抜く方法は挿した時と同様に工具にセットしてホイールを引っ張り抜きます。
非常にシンプルな方法ですがこの方法だとシャフトに傷がつきにくくなります。
ラジオペンチでシャフトを掴んで引っ張ると結構傷がついてしまいますがこの方法であれば傷がほとんど付きません。
補足情報
あと補足情報として1つ目はシャフトが6角形なのは当然そうなんですが、ホイールの穴もよく見ると6角形になっています。
ぱっと見6角形じゃないものも、よーく見ると6角形になっています。
ですので この6角形同士がしっかりとハマるように、なるべく明るいところでやるのがおすすめです。
2つ目の補足情報として抜く時にありがちなんですが、ホイールとシャフトががっちりハマっていると工具側が先に抜けてしまうことが多々あります。
その場合はコレットチャックを固く締める必要がありますが、自分の力ではこれ以上固く締めれないのであればラジオペンチ等で固く締めていきます。
最後の補足情報としてプラスチックのホイールは掴みやすくホイールを外しやすいのですが、アルミホイールの場合だとホイール側だけ先に抜けてホイールブッシュだけがシャフトに残ってしまう場合があります。
ホイールブッシュだけになると掴む所が小さく引っ張りにくく抜きづらくなりますので、手でホイールキャップを掴んでも抜けない場合は、シャフトを工具にセットする前に工具とホイールブッシュの間の所にアルミホイールを取り付けます。
この状態で工具に取り付けあとはアルミホイールを引っ張るとホイールブッシュに引っ掛かり一緒に抜けます。
それかアルミホイールを使わずにホイールブッシュをラジオペンチで掴んで抜く方が楽かもしれません。
この方法だと若干ホイールブッシュに傷がつきますが、ホイールの取付や走行に影響なし部分になりますので、こちらの方法もありかと思います。
最後に
以上がホイールにシャフトを正確に挿す、そして抜く方法の説明となりますがいかがでしたでしょうか。
あまり胸を張って自慢できる方法ではありませんが私はこの方法でかなり楽になりました。
普段からお困りの方は試してみてはいかがでしょうか。
また、今回紹介してきた方法は基礎中の基礎となりますが、ワンステップ上のホイールにシャフトを貫通させる貫通ホイールのやり方を以下の記事で解説しており 手持ちの工具・パーツで実施可能なので興味がある方はこちらも読んで頂ければと思います。
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