今回はタミヤから販売されているマスキング液のレビューやおすすめの使い方などを紹介していきます。
プラモデルをはじめRCカー・ミニ四駆の塗装において重要なアイテムとなるので、普段から塗装をしている・これから塗装を始めようと思っている方には必見の内容です。
マスキング液の製品概要
ここではマスキング液の製品情報を始め マスキング液の必要性・使用用途などを紹介していきます。
※すぐにマスキング液の使い方が知りたい方は次の『マスキング液の使い方』へお進みください。
マスキング液の必要性
まず、マスキング作業とは 塗装の際に塗りたくない箇所を保護シート等で覆うことで、マスキング作業では主にマスキングテープが保護シートとして使用されます。
上記マスキングテープを貼った箇所の上から塗料を塗ってもテープ下の部分には塗料が付着することはなく、マスキングテープを使うことで簡単に複数の色を塗り分けることができます。
そして、今回紹介するマスキング液もマスキングテープと同様に塗装時の塗分けに使用するわけですが、マスキングテープとは異なる特徴を持ちます。
主に液体という性質から、マスキングテープではうまく密着しない曲面や複雑な形状をマスキングするのに最適なアイテムと言えます。
製品仕様
今回紹介するマスキング液の製品仕様は以下となります。
構成成分 | ポリビニルアルコール・水・その他 |
色 | 薄緑色(水性タイプ) |
対応塗料 | アクリル・エナメル・ラッカー |
乾燥時間 | 約30分 |
容量 | 20g |
本体価格 | 660円(税込) |
「構成成分」「色」に関しては 薄緑色の粘りっ気がある液体となり、付着する量によっては傾けることで ゆっくりと液体が垂れていきます。
また、乾燥し液体が固まるとゴム状の物体へと変わります。
「対応塗料」に関してはアクリル・エナメル・ラッカーとなっていますが、これは本製品がタミヤ製であるための表記でもあります。
アクリルは水性・ラッカーは油性であることからタミヤ製の塗料に限らず 他社から販売されている塗料にも対応しているということになります。
このことから、余程特殊な素材の塗料でない限りは本製品を使ってのマスキング作業が可能ということになります。
「乾燥時間」に関してはメーカの取扱説明書の時間を記載したわけですが、マスキング液を厚めに塗布(とふ)した場合は30分以上かかることがあるのでご注意ください。
※おすすめする乾燥時間については後述する『乾燥・微調整・塗装』にて解説しています。
ちなみに本製品の定価は税込み660円ということをお忘れなく
上記のリンク先のAmazonでは在庫がない場合は適正価格よりも高く販売されていることがあるので、くれぐれも定価よりも高く購入してしまわないようご注意ください。
マスキング液の使い方
ここではマスキング液の基本的な使い方から、より効果的に使うために持っておきたいアイテム・応用的な使用方法を紹介していきます。
使用方法(基本編)
ここでは塗装作業においてのマスキング液の基本的な使用方法を解説していきます。
まず、塗装作業全体の流れは以下となります。
次から上記の各手順を個別で紹介していきます。
塗装部分の洗浄
この作業ではマスキング液は使用しませんが、塗装においては必須作業となるので紹介させてもらいます。
基本的にプラモデル等のプラスチックは製品開封状態のままだと油分がついた状態であり、そのまま塗装すると塗料の食いつきが悪くなってしまいます。
そのため、塗装の食いつきを良くし より綺麗に塗るためにも塗装部分の洗浄が必須となります。
尚、洗浄に必要なアイテム及び洗浄方法については別記事[クリヤーボディ カット・塗装方法]の『ボディの洗浄』にて解説しているので そちらをご参照ください。
マスキング作業
この作業から本格的にマスキング液を使用していきます。
まずはボトルのキャップを開けて、マスキング液を付着させたい箇所にボトルの先を近づけ ボトルをプッシュしてマスキング液を塗っていきます。
マスキング液を付着させたら、箇所に適した各種アイテムを使用してマスキング液を塗り広げていきます。
※上の画像では耳かきを使用しており、アイテムの詳細情報については『おすすめ付属アイテム』にて紹介しています。
マスキング液を塗り広げた際に所定の箇所より はみ出た場合、後程 微調整(カット)するので 一旦はそのままにしておいて構いません。
乾燥・微調整・塗装
マスキング液を塗り終えたら 乾くのを待ちます。
どのくらいで乾燥するかは塗布(とふ)した厚さにもよりますが、1時間から2時間程 待つことをおすすめします。
特にマスキング液が所定の箇所からはみ出ている場合は かならず乾燥させるようにしてください。
マスキング液が乾いたかどうかは、直接手で触れてゴム状になっているかで判断していきます。
マスキング液が完全に乾燥してゴム状になったら塗装作業に入るわけですが、マスキング液がはみ出している場合は塗装前にカットしてマスキング面を微調整していきます。
カットにはデザインナイフ・カッターを使用し、乾燥したマスキング液の表面をなぞるように刃を入れていきます。
カットし終えたら、ピンセットで不要部分を取り除いていきます。
ピンセットで掴みづらいということであればデザインナイフの先端を駆使して不要部分を除去していきます。
マスキング液の塗布部分の形が整ったら、塗装をしていきます。
尚、塗装方法については各自やり易い方法で実施してください。
マスキング剥がし
塗装が完了したら最後にマスキング液を剥がしていくわけですが、塗装からマスキング液を剥がすタイミングは塗装が半乾きの状態がベストです。
具体的には塗装後15分~1時間後にマスキング液を剥がすのがおすすめのタイミングです。
そして、マスキング液を剥がす作業についてはデザインナイフ・ピンセットを使っていきます。
このマスキング剥がし作業はできるだけゆっくりと丁寧におこなってください。
慌てて剥がすとマスキングしていない塗装箇所も剥がれてしまうことがあるので、くれぐれも焦らずじっくり行なうようにしてください。
尚、塗装後のマスキング液の簡単な剥がし方はについては後述する『応用的な使い方・コツ』にて解説していきます。
おすすめ付属アイテム
ここではマスキング液 利用時に持っておくと便利な付属アイテムを紹介していきます。
デザインナイフ・ピンセット
性質がまったく異なる2つのアイテムですが、使用用途が似ていることからまとめて紹介していきます。
この2つのアイテムは今回のマスキング作業のみならずプラモデル・模型工作においては超必須級のアイテムとなります。
デザインナイフはマスキング液の不要部分のカット・剥がしで使用し、ピンセットはマスキング液を剥がす際に使用します。
デザインナイフに関しては、カッターでも代用可能ですが、個人的には以下のようなデザインナイフがおすすめです。
上記製品は刃の付け替えが可能で、ナイフタイプの刃のみならずホビーのこの刃も装着可能でプラモデル・模型工作において活躍するアイテムです。
ピンセットに関しては以下の製品のようにできるだけ先端が細い形状のものがおすすめです。
ピンセットも今回の作業のみならずプラモデル・模型工作全般において必須級のアイテムなので、まだ持っていない方はこれを機に購入することをおすすめします。
小型スプーン
ここで紹介する小型スプーンとはコンビニなどで無料で貰うことができるプラスチック製のスプーンです。
小型スプーンの使い方は主に2つあって、1つ目はマスキング液を塗り広げることです。
マスキング液の固まりとなった箇所にスプーンヘッドの背面(裏面)を押し当てることで均等且つ綺麗にマスキング液を塗り広げることが可能です。
ただし、スプーンのヘッドよりも小さい・狭い箇所にはこの使い方は不向きなので、その場合は後述する『耳かき』が適しています。
そして、小型スプーンのもう1つの使い方は、一時的にマスキング液をためておくことです。
マスキング液は基本的にマスキング液を塗りたい箇所に直接ボトルをあてますが、狭い箇所となると摘出する量の調整が必要となり 結構難しかったりします。
そうした問題も上画像のようにスプーンへ一時的にため、後述する『耳かき』などを使えば 適量のマスキング液を塗布することが可能となります。
スプーンはこれ以外にも 試し吹きなどの塗装全般で活躍するので、持っておいて損はないアイテムと言えます。
爪楊枝(つまようじ)
マスキング液を塗り広げるために使用します。
どの家庭にも必ずあると言えるアイテムであり、とりあえずはこれを使っておけばOKとも言えます。
使い方も非常にシンプルで、先端部分を使って塗り広げるだけ という直感的に使えるアイテムです。
ただ、他のアイテムに比べて塗り広げる際にムラができやすく、長く使っていると もっと適したアイテムが欲しくなったりもしてきます。
そうした欠点を解消してくれるのが次に紹介する耳かきです。
耳かき
マスキング液を塗り広げるために使用します。
個人的にマスキング液と最も相性が良いと思うアイテムです。
前述した『小型スプーン』では大きすぎるという箇所については 以下のような 耳かきが非常に適していると言えます。
ちなみにですが、上の左側の耳かき(極細の方)は 耳かきとしても非常に優秀なので、純粋に良い耳かきを求めている方には超おすすめアイテムです(笑)
そして、マスキング作業で個人的おすすめする耳かきは以下の5本セットのステンレス製の製品です。
全長約8cmと耳かきとしてはやや短いわけですが、この長さがマスキング作業には適した長さとなっています。
さらにステンレス製ということもあり以下の画像のように先端部分をラジオペンチで曲げることで使い勝手が更に向上します。
さらに塗料をかき混ぜるためのマドラーとしても使えることから、もはや耳かきではなく塗装用のアイテムと言えます。
以上のように 本来の使用目的である耳かきとしては今一なんですが、塗装に関しては非常に優秀なアイテムなので これを機に購入することをおすすめします。
応用的な使い方・コツ
ここでは前述した『おすすめ付属アイテム』を駆使して、マスキング液をより効果的に使うための応用的な使用方法・コツを解説していきます。
ここで紹介する使用方法については前述した『基本編』の内容を把握している前提で紹介していくので、『基本編』を読んだ上で こちらを見てください。
そして、マスキング液の応用的な使い方及びコツは以下となります。
次から上記の使い方を個別で解説していきます。
最初の一押しは別の場所に
マスキング液を容器から出すためにはボトルをプッシュする必要があるわけですが、キャップを開けて最初の一押しする際は液体に気泡が入ってしまうことが多々あります。
塗布する面積が広いのであれば気泡はさほど気になりませんが、狭い箇所だと気泡が地味に邪魔になってきます。
そうならないためにも、キャップを開けた後の最初の一押しは一旦関係ない箇所にすることをおすすめします。
もし、別の場所に出したマスキング液が勿体ないと思うのであれば、気泡が無い部分を『耳かき』で抽出して利用するのもありです。
中央部分は厚めに
マスキング液を剥がす際にどこから剥がして良いか分からないという方も多いのではないでしょうか。
マスキングテープであればテープ部分の段差があり比較的簡単に剥がせますが、液体となると そうはいきません。
そうした剥がしづらさを解消する方法として、あえて中央部分の層を厚め塗ることです。
上記のように厚めの層を作っておけば、マスキング液を剥がす際に この厚めの部分にデザインナイフの先端を突き刺して、そこを起点に剥がすことができます。
この中央部分の層を厚くすることの利点は剥がしやすさだけにあらず、以下のようにマスキング液を剥がす起点の箇所が即座に分かる
あああ
ちなみに、一度塗り終えて乾燥した状態でも分厚い液体を付け足すことで融合してくれるので、厚い部分を後から作る形でも構いません。
光を当てて出来を確認
基本的に 塗り分けをしたい境界線部分のマスキング液はできるだけ段差がないよう層を薄く塗るのが理想です。
ただ、液の層が薄いと乾燥後はほぼ透明となり、塗ったかどうかの判別が難しくなり、問題となるのは境界線部分が正確に塗れているか確認しづらいことです。
もし、境界線部分が確認しづらいという場合は光を当てて確認してください。
光を当てることで塗布した箇所をはっきりと確認することができます。
ちなみに光を当てるといっても別途ライトを用意する必要はなく、部屋の照明の光を当てる程度 十分判別可能です。
この光を当てる作業は少し手間はかかりますが、やっておかないと塗装の出来に影響するので 必ず実施するようにしてください。
マスキング液の製品評価・レビュー
ここでは実際にタミヤのマスキング液を使って感じたこと・分かったことを紹介していきます。
良い点
マスキング液の良い点は「作業効率アップ」「凹凸との相性が良い」ということです。
「作業効率アップ」とはマスキングテープと比較した際のマスキング作業にかかる手間・時間が大幅に短縮できる点です。
マスキングテープでマスキング作業する場合は基本的にマスキングテープのカットサイズを確認して それをカットして貼り付けるという工程になります。
それに対してマスキング液は液体を垂らして塗り広げるだけと作業工程も非常に少なく 当然作業時間も短縮します。
また、非常に狭いスペースでもマスキング作業ができる点もマスキング液ならではの魅力であり、極論 座るスペースさえ確保できれば どこでも作業が可能です。
「凹凸との相性が良い」についてもマスキングテープと比較した際の利点となります。
マスキングテープはテープという性質上 平らな面にはジャストフィットしますが 凹凸がある箇所についてはフィットしにくく 場合によってはマスキングに手間がかかるケースがあります。
それに対してマスキング液であれば凹凸など気にする必要もなく綺麗にマスキングすることが可能です。
悪い点
マスキング液の悪い点は「色が薄い」「慣れが必要」「直線部分には不向き」ということです。
まず、「色が薄い」については マスキング液自体の色が
マスキング液の層が厚い状態だと緑色ということがはっきりと分かりますが、層が薄い状態だと ほぼ透明になってしまい ぱっと見どこに塗ったのか分からなくなります。
以下の画像は実際にマスキング液を塗り終えたもので、黄色い枠でくくった部分にマスキング液を塗っています。
背景の色や光の当たり加減もあり 肉眼で見る時よりも幾分か見づらいかもしれませんが、それを差し引いてもマスキング液が塗布している箇所の判別が難しいです…
この欠点に関しては、前述した『光を当てて出来を確認』を実践することで塗布している箇所もしっかりと確認ができるので 少し手間をかければ解消する問題でもあります。
次に「慣れが必要」については、マスキング液をうまく使いこなすには ある程度の慣れが必要になります。
最初のうちは塗装を分ける境界線の出来がうまくいかずに塗装の塗分けがうまくいかない…ということが多々あります。
そうならないためにも使い始めのうちは 失敗してもいい物を用意して、マスキング液を塗る所から 塗料を塗って マスキング液を剥がして出来具合を確認することをおすすめします。
そうすることで 本当に大事な箇所での塗分けの失敗を防ぐことができます。
ただ、これは自身の技術力というよりも、単に塗装境界線の確認がしっかり出来ているかどうかであり、完璧にマスキング液が塗れているということであれば ぶっつけ本番でも構いません。
最後に「直線部分には不向き」については、塗分ける境界線の部分が綺麗な一直線となっている場合はマスキング液は不向きと言えます。
マスキング液で まっ平らな箇所にまったくブレない綺麗な直線の塗装境界線を塗ることは ほぼ不可能です。
そうしたまっ平らで綺麗な直線を引きたいのであれば その部分だけマスキングテープを使用することをおすすめします。
直線部分だけ先にマスキングテープを付けて、それ以外の部分は後からマスキング液を付けたすという具合に 双方を使い分けることで より作業効率も増すのではないでしょうか。
総評
前述した良い点・悪い点を振り返るとマイナス部分の方が多いように見えますが、実のところ マイナス部分が気にならないぐらいプラス要素が高い製品と言えます。
特に これまでマスキングテープしか使ったことがない自分にとっては、マスキング液の使用によって億劫だったマスキング作業が楽しくすら思えてしまうぐらいの激変ぶりです。
ただ、注意して欲しいのはマスキング液が必ずしも万能ではないということで、塗装箇所によってはマスキングテープの方が使い勝手が良いというケースもあります。
マスキングテープの方が適している箇所があれば、先にマスキングテープを貼り その後にマスキング液を塗るといった双方を混合させる方法であれば より効率良く作業ができます。
まだ、使ったことがない方は是非これを機会にマスキング液を使ってみてはいかがでしょうか。
最後に
今回はタミヤのマスキング液のレビュー・使い方を紹介してきました。
マスキング液は塗装用アイテムということで、塗装をしない方にとっては無縁のアイテムかもしれません。
特にRCカー・ミニ四駆などで遊んでいる場合 塗装自体は技術・スピードには直結しないので、塗装したところでレースに勝てるわけではありません。
しかし、塗装もRCカー・ミニ四駆の楽しみ方の1つであり、塗装に比重を置く人も少なくありません。
それに塗装することで自分のマシンへの愛着も湧き よりレースを楽しめるという利点もあるので、塗装をやったことがないという方はこれを機に塗装を初めてみてはいかがでしょうか。
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