回るローラーの作り方<ベアリング脱脂・ローラー内圧抜き>【ミニ四駆 改造】

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今回は回るローラーを作るための、ベアリングの着脱・ベアリング脱脂・ローラー内圧抜き・オイル注入などの全工程を詳しく解説していきます。

また、今回紹介する加工方法は治具なしでもできるため、初心者でも簡単にできる内容となっています。

目次

ベアリング脱脂について

ここでは回るローラーを作るために必要な加工作業であるベアリング脱脂を含めた一連の作業について知っておくべき基礎知識を解説していきます。

※すぐに作業の準備に取り掛かりたい方は次の『作業の流れ』へお進みください。

尚、本記事では回るローラーを作るための一連の加工を総称してベアリング脱脂と呼んでいきます。

ベアリング脱脂とは

ベアリング脱脂とはベアリングの内部に塗られているグリスを取り除くことを示し、この作業をおこなうことで ローラーの回転数をアップさせ より回るローラーとなります。

ただし、ベアリング脱脂だけではローラー回転のパフォーマンスをフルに発揮させられません。

よりローラー回転のパフォーマンスを上げるためには脱脂以外にもローラーの内圧抜きや、長期間使用できるようにするためのオイル注入なども必要となります。

※各作業が必要な理由や具体的なやり方については後述していきます。

ベアリング脱脂が必要なわけ

まず、ミニ四駆を走らせるコースには基本的に曲線部分であるコーナーがあり、ローラーはコーナーをスムーズに曲がるために必要不可欠なパーツとなります。

直線部分においても ローラーの役割は大きく、直線走行時にもマシンがフェンスに接触することは多々あり ここでもローラーは必要不可欠となります。

そのローラーの回転数が上がればコーナーリングの際のローラーとフェンスの抵抗が減り、よりスムーズにコーナリングをすることが可能となり、結果的に速く走れるようになります。

このことからミニ四駆を速く走らせるためのローラー回転数を上げる(回転をよりスムーズにする)ためのベアリング脱脂は必須事項とも言えます。

未加工ローラーは何故回転力が弱いのか

ベアリング脱脂でローラーの回転力がアップするわけですが、逆を言うと未加工のベアリングローラー(出荷時のベアリングローラー)がスムーズに回転しないということになります。

では何故 未加工ローラーの回転力が弱いのか、それは以下の2つの理由のためです。

  • グリスの粘度が高い
  • ベアリングに圧力がかかっている

次から上記の理由について 詳しく説明していきます。

グリスの粘度が高い

出荷時のベアリングローラーには「回転時の摩擦・摩耗を防ぐ」「サビを防ぐ」ためにグリスが塗られています。

ただ、塗られているグリスは粘度が高い(グリスが硬い)ため ベアリングの回転力は弱いです。

また、ベアリング内部が錆びないために 塗られているグリスの量が多いという話もあり、グリスの量の多さも回転力を下げている要因とされています。

このことから、出荷時に塗られているグリスを除去することでベアリングの回転力をアップさせることが可能となります。

ベアリングに圧力がかかっている

ベアリングの回転力が弱い原因はグリスだけでなく、ベアリングに圧力がかかっていることも挙げられます。

以下の画像はベアリングローラーの断面図となります。

このローラーからの圧力があるおかげでベアリングはローラーにしっかりと固定され外れないようになっています。

しかし、しっかり固定されている反面、ローラーから強い圧力がかかることでベアリングの回転力が弱まってしまいます。

このことからローラーのベアリングと接触する箇所を削ることで、ベアリングにかかる圧力を減らし ベアリングの回転力をアップさせることが可能となります。

作業の流れ

ここでは回るローラーを作るための一連加工方法の流れを紹介していきます。

加工作業の一連の流れは以下となります。

準備1[加工に必要なパーツ・工具]・準備2[ローラーの構造]については、加工するにあたって必要な準備作業となるので、すぐに作業に取り掛かりたい人は手順1[ベアリングの取り外し]から実施してもらって構いません。

また、手順2[ベアリングの脱脂]と手順3[ローラーの内圧抜き]の順番は逆でも構わないので、手順2の前に手順3をおこなっても構いません。

加工に必要なパーツ・工具

ここでは回るローラーを作るために、必要なパーツ・工具類を紹介していきます。

※必要パーツ・工具はすでに揃えているという方は、次の『ローラーの構造』へお進みください。

回るローラーを作るために必要なパーツ・工具は以下となります。

パーツクリーナー・ライターオイル

ベアリング脱脂(既存のオイル除去)のために使用するアイテムです。

脱脂にはパーツクリーナー以外にもライターオイルでもOKで、特に決まったものはないのでお好みのもので構いません。

個人的には冒頭で紹介したKUREパーツクリーナーがおすすめで、こちらは「プラスチックセーフ」ということでプラローラーを付けたままの状態でもプラスチックに影響を与えずに脱脂することが可能です。

また、KUREパーツクリーナーにはストローノズルが付属しているので、以下の画像のようにビンなどへ ピンポイントに洗浄液を噴出することも可能です。

ベアリングオイル

脱脂後のベアリングに注油して、ベアリングの回転をなめらかにするために使用します。

ベアリング脱脂一連の作業においてベアリングオイルは必須級のアイテムとなるわけですが、オイルを用意できなかった場合の対処方法も『ベアリング脱脂』の項目で紹介しているので、絶対になくてはならないわけではありません。

尚、本記事では上記ベアリングオイルの詳細については省略しますが、機会があれば各ベアリングオイルの詳細を紹介しようと思っています。

性能・価格・購入しやすさの要素をトータルして、個人的におすすめなのがAXONのベアリングオイルです。

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ハンドリーマ(直径5mm)

リーマとは穴の拡張や形状を整えることに特化した工具で、今回はローラー内圧抜きの際に使用します。

リーマの先端部分が微妙に細くなっており、これによって刃を入れやすくなります。

少し特殊な工具であることから 見方によっては治具となるわけですが、ミニ四駆の加工以外でも使用できる工具のため、治具ではないという認識で紹介を進めていきます。

個人的にはベアリング脱脂作業において最も重要となる工具という認識で、この直径5mmのリーマがあるとないとではローラー内圧抜き作業の難易度が格段に変わってきます。

特にローラー内圧抜きの加工では失敗するとローラー1個を駄目にしてしまうリスクもあり、リーマがあることで そのリスクも回避しやすくなります。

また、ベアリングローラー1個に対して1回使う工具でもあるので、加工したいローラーが増えれば増えるほど使用頻度も高くなることから、ミニ四駆だけしか使わないとしても十分 元がとれる工具かと。

ちなみに、初めてこのリーマの形状を見た人は「これって刃だけ?このまま使えるの?何かに装着する必要がある?」と思われるかもしれませんが、このままの状態で使用することができます。

一見すると、この棒だけの状態だとうまく力が伝わらずに削れそうに見えないのですが、リーマの構造上 比較的弱い力でもスムーズに穴を拡張することができます。

もし、実際に使ってみて使いづらいと思った場合は以下の画像のようにミニ四駆の一部のグレードアップパーツに付属しているゴムパイプを装着するとより使いやすくなるので試してみてください。

それと今回の作業に適した5mm径のリーマは多数販売されているわけですが、仕様を見る限りはどれも性能が変わらないと思われるので、その時 最も安く売っている物を選んで良いかもしれません。

ちなみに、私は一番左Utoolmart製のものを使用しています。

5mmドリルで代用可能

どうしてもハンドリーマが用意できない場合は5mmドリル刃を代用品とすることも可能です。

ただし、ドリルを使った場合は加工難易度が飛躍的に上昇し 失敗する確率も増えてしまうので、できることであればドリルではなくリーマを用意することをおすすめします。

小瓶

ボールベアリングを脱脂する際 洗浄液と混ぜるために使用します。

特に決まったものはないのでお好みのもので構いません。

個人的におすすめなのは丸ビンタイプのタミヤのスペアボトルミニもしくはスペアボトル です。

ビンの容量はスペアボトルミニは10ccで、スペアボトルは23ccとなり、いずれのビンも19mmローラーをまるまる入れることができます。

どちらが良いかはお好みで構いませんが、一度にたくさんのボールベアリングを脱脂するのであれば サイズが大きいスペアボトル(型番「81041」)がおすすめです。

尚、ネットで購入する場合はスペアボトルミニとスペアボトルの見た目の違いが分かりづらかったりするので、それそぞれの型番(スペアボトルミニ「81044スペアボトル「81041)で判別してもらえればと思います。

ドライバー一式

ローラーからベアリングを着脱する際に使用します。

ミニ四駆をやっている方であれば すでに所持している工具かと思われますが念のため紹介させてもらいました。

上記画像では2つの工具を載せていますが、以下のミニ四駆ドライバーセットPROにはボックスドライバービットも付属しているので これだけでも事足ります。

個人的には以下のボックスドライバーのグリップが重宝しているので、上のドライバーセットと複合して使用しています。

上記ボックスドライバーのグリップ部分の大きさは賛否あるので、人によっては使いづらいかもしれませんが、ボックスドライバービットを複数持っていることに越したことはないので、購入しても損はないかと。

ベアリングローラー用スペーサー

ローラーの回転動作の確認時に使用するパーツで、使い方は通常の使い方と同様となります。

ベアリングローラー用スペーサーはベアリングローラーを購入すれば付属しているパーツであり、誰しもが持っているはずなので別途購入する必要はありません。

ちなみに今回の加工では1個用意すればOKです。

その他パーツ

各作業で使用するパーツとなります。

基本的にミニ四駆をやっている方であれば所持しているパーツ類となっており、特に今回の加工のために購入する必要はないと思うので、ここでは各パーツの詳細説明は省略します。

具体的に何が必要かは各作業の所で紹介していきます。

【おまけ】ベアリングチェンジャー

これはベアリングの取り外し・取り付け・ローラーの動作確認ができる工具(治具)となり、基本的にこちらは必要ありません。

こちらの工具についてはあくまでおまけ的な扱いで紹介しただけで、本記事ではベアリングチェンジャーに頼らない作業方法を紹介していきます。

何故、必要ないのに紹介したかと言うと、非常に便利な工具であるからで、これがあることでベアリングの取り外し・取り付け・ローラーの動作確認が簡単にでき作業効率が大幅にアップします。

同時にベアリングチェンジャーがあれば先程紹介してきたドライバー一式ベアリングローラー用スペーサーその他パーツを用意する必要がなくなります。

このベアリングチェンジャーについては以下の記事で詳しく紹介しているので、気になる方はこちらをご参照ください。

ローラーの構造

ここではローラーのベアリング周りの構造を解説していきます。

ローラーの構造を知ることで より安全・正確にベアリングの取り外し・取り付けが可能となるので初めてベアリング脱脂作業をする方は必ず目を通すようにしてください。

ローラーの表・裏

ベアリングローラーは表・裏の概念があり、その表裏をローラーの断面図を交えて解説していきます。

※ここでの断面図はローラーを真っ二つに割って 真横から眺めた図面となります。

基本的に内側の窪みがある方が表となり、実際のローラーの表面・裏面は以下となります。

マシンにローラーを取り付ける場合は基本的に表面を天井向けて、裏面を地面に向ける形となります。

この表・裏は次に紹介する『ベアリング周りの構造』を理解する上でも重要となってくるので、ここでしっかりと覚えておいてください。

ベアリング周りの構造

前述した『ローラーの表・裏』の項目でローラーの断面図を出しましたが、実際のベアリング周りの部分は以下のような断面図となっています。

実はベアリングが入っている穴はゆるやかな円錐状となっていて表側と裏側では穴の直径が微妙に異なります。

※上の画像は穴の直径の違いを分かりやすくするために敢えて誇張して描いたので実際はここまで極端な差はありません。

ここで覚えて欲しいのは表側の穴は広く裏側の穴は狭いということです。

実際にベアリングを取り外した後に確認してもらえると分かりますが、表面からはローラーが収まるのに対して、裏面からはローラーが収まりません。

ローラーを取り外したり取り付ける際に正しい方向から

このことからローラーからベアリングを着脱する際はこの穴の構造を考慮し、正しい方向からの取り外し・取り付けをする必要があります。

ベアリングの取り外し・取り付け方向を間違えるとベアリングを痛めることがあるので、ベアリング着脱時の向きには充分に気を付けてください。

テーパーローラーは構造が逆

まず、テーパーローラーとはすり鉢形状のローラーであり、そのすり鉢形状によりコースフェンスに乗り上げた際にコース内復帰を促してくれます。

実際のテーパーローラーの表・裏は以下のようになります。

そして、テーパーローラーに関しては以下の画像のように表側の穴は狭く裏側の穴は広いなり 他のローラーとは真逆の構造になっています。

このことから、テーパーローラーで作業する場合は、通常のローラーとは逆向きでベアリングを着脱する必要があります。

尚、これ以降の加工方法解説ではテーパーローラーに関する内容は省略するので、もしテーパーローラーの内圧抜きをする場合は ローラーをセットする向きにご注意ください。

ベアリング取り外し

ここではベアリングローラーからボールベアリングを取り外す方法を解説していきます。

※ベアリング脱脂作業前と作業後でのローラーの回り具合を比較したいという場合は、以下の作業を実施する前に『動作確認方法』で解説してる方法で 現状のローラーの回り具合を確認しておくことをおすすめします。

取り外し準備

ベアリングの取り外しの事前準備として以下のパーツを用意します。

ビスに関しては長さ12mmでも構いませんがテーパータイプのローラーの場合は15mm以上が必要となるので、本記事では15mm以上の長さを推奨しています。

また、カウンターギヤについてはどのギヤ比でも問題ないので、手持ちのカウンターギヤを用意すればOKです。

これらのパーツが用意できたら次の取り外し作業を実施していきます。

取り外し作業

ベアリングの取り外しはローラーの構造を考慮して、以下の画像のように穴が狭い裏側からベアリングを押していきます。

上記ローラー構造を踏まえて、以下の手順で作業を進めていきます。

ベアリング取り外し 手順
手順
ビスに小ワッシャーを通す

ビスに小ワッシャーを取り付けます。

尚、小ワッシャーは取り外し時のベアリングにかかる負担を減らすためのもので、必須ということではないので ここでの作業は省略しても構いません。

手順
ビスにローラーを通す

ビスにローラーを取り付けます。

ここで注意して欲しいのはローラーの向きで、ローラーの裏面からビスを通します。

くれぐれもローラーの向きにはご注意ください。

手順
カウンターギヤにビスを通す

カウンターギヤ窪みがある方をローラー側に向けて、ビスにカウンターギヤを取り付けていきます。

カウンターギヤの向きが逆になってしまわないよう注意しましょう。

手順
ビスにナットを取り付ける

ローラー・カウンターギヤを通した状態で、ビスの先端にナットを取り付けます。

この段階ではナットは仮止めで構わないので、工具は使わず手で固定しておけばOKです。

手順
ナットを固定し、ビスを回す

ボックスドライバーナットを固定して、プラスドライバービスを締めていきます。

ビスを回す方向は、通常のビスを締める動き(時計回り)となります。

そして、ローラーからベアリングが外れるまでひたすらドライバーを回していきます。

手順
カウンターギヤからベアリングを取り外す

ベアリングがローラーから外れと以下のようにカウンターギヤの窪みの中にベアリングが収まっているかと思われます。

この状態からドライバーボックスドライバーを使ってナットビス小ワッシャーをカウンターギヤから取り外します。

そして、最後にカウンターギヤからベアリングを取り外し 作業は完了となります。

もし、カウンターギヤからベアリングが外しづらい場合は、長めのビスを用意し、以下の画像のようにビスの先端部分をベアリングに通し上下に揺らすことで簡単に外すことができます。

以上がベアリング取り外し作業の手順となります。

尚、より簡単にベアリングの取り外しをしたいという方は以下の記事で紹介しているベアリングチェンジャーがおすすめなので、気になる方は こちらも見てください。

ベアリング脱脂方法

ここではボールベアリングの脱脂方法を解説していきます。

※この作業を実施する前に 次の作業の『ローラー内圧抜き』を先に実施しても構いません。

ここで紹介するベアリング脱脂作業は、ローラーから取り外した520ボールベアリング以外にもHG丸穴ボールベアリングなどの類似した形状のベアリングも対象となります。

ベアリング脱脂は既存のグリスを除去する作業となり、そのグリスはパーツクリーナーを使って洗浄することで除去することができます。

そして、パーツクリーナーを使って洗浄する方法は以下となります。

まず、スペアボトル等の小瓶を用意して、小瓶の中に適量のパーツクリーナーを入れ 同時にボールベアリングも入れてフタを締めます。

この際、ある程度ボールベアリングをまとめて入れることでパーツクリーナーの消費を抑えることができるので、そこそこのベアリングを用意してから まとめて作業することをおすすめします。

パーツクリーナーとベアリングが入った状態でビンをフェイクして(振って)いきます。

ビンをフェイクすることでベアリング内部のグリスが分解され、瓶内部のパーツクリーナーが汚れてきます。

汚れてきたのを頃合いに、ビンからベアリングとパーツクリーナーを取り出し、パーツクリーナーを捨て、一旦ベアリングをティッシュ等で拭き取ります。

再度、洗浄する場合は新たにパーツクリーナーを継ぎ足し、同様にビンをシェイクしてグリスを除去していきます。

この作業を繰り返すことでベアリング脱脂することができます。

そして、グリスをどのくらい除去するかは この後の作業である『オイル注入』行うかで変わり、次から 以下の目的に応じたベアリング脱脂方法を解説していきます。

オイル注入を行う場合

このケースはこの後の作業である『オイル注入』することを前提とした場合の作業方法となり、新たなオイルを注油するためにも既存のグリスはできる限りゼロの状態にする必要があります。

グリスをできる限り除去するためにも瓶のフェイクは長め(30~60秒ぐらい)にする必要があります。

※ビンを振る強さは 強すぎず弱すぎで、強すぎるとベアリングを痛めたり最悪ビンが割れてしまうことがあり、弱すぎると脱脂効果が減少するので、適切な強度でシェイクします。

そして、ビンをシェイクした後は汚れたパーツクリーナーを捨て、ベアリングをティッシュ等で拭き取ります。

この一連の作業を数回繰り返していくわけですが、何回繰り返すのが適切かはベアリングの数・パーツクリーナーの量で変わるため一概に決まった回数はありません。

どこで脱脂作業を終了するかは、シェイク後のパーツクリーナーの汚れ具合で判断するのがおすすめで、シェイク後にパーツクリーナーがほとんど汚れていなければ、そこでベアリング脱脂作業は終了で良いかと。

また、ベアリング脱脂作業は上記で紹介したやり方以外にも『パーツクリーナーに浸した状態で長時間(1日ぐらい)放置する』というやり方もあります。

どのやり方が最適解かは正直なところ答えはないので、ご自分のやり易い方法で脱脂して頂ければと思います。

ちなみに私の場合はビン シェイクの作業を2、3回繰り返して脱脂終了としていて、脱脂の作業時間としては10分程で終了します。

脱脂のみでオイル注入を行わない場合

このケースは、注油するオイルが用意できない場合の作業方法となり、適度なグリスを残すことで追加注油なしでもベアリングの回転力を上げることができます。

このケースの場合もベアリング脱脂作業内容自体に違いはなく、作業全体の時間を短くすることでグリスを適量残すようにします。

グリスを適量残すための作業時間は曖昧なので はっきりとこれが良い!と断言できないわけですが、個人的にはシェイク作業1回(ビンにパーツクリーナー・ベアリングを入れ30秒程シェイク)か2回程度で良いかと。

ただ、実際のところ 上記の方法で念入りに脱脂をやっても完全にグリスは除去できないとも言われているので結構ガッツリやるぐらいでも問題ないかもしれません。

しかし、脱脂しすぎてグリスが無くなると 長期間放置した際にベアリング内部が錆びてしまいベアリング自体が使い物にならなくなるので、オイル注入はしないという場合は脱脂のしすぎには充分に注意して作業しましょう。

ローラー内圧抜き

ここではローラーの内圧抜きの基礎知識・やり方を解説していきます。

内圧抜きの基礎知識

ここではローラー内圧抜き作業を より正確におこなうために知っておくべき基礎知識を紹介していきます。

まず、ローラー内圧とはローラーからベアリングにかかる圧力のことを示します。

そして、ローラー内圧抜きとはベアリングにかかる圧力を減らすことを示し、ローラーのベアリングとの接触する箇所を削ることでベアリングへの圧力を減らすことができます。

ベアリングにかかる圧力が減ることで、ベアリングの回転力が増し 結果的により回りやすいローラーとなります。

上記の理由から、より回りやすいローラーにするためにはローラー内圧抜きが必要になるわけですが、ベアリングへの圧力を完全に無くしてしまえば良いというわけではありません。

というのも、ベアリングがローラーにしっかり固定できるのはローラーからの圧力のおかげであり、その圧力がなければベアリングはローラーに固定できなくなります。

このことから、以下の画像のように ベアリングがローラーにしっかり固定されつつ ベアリングの回転に影響を与えない程度のローラー内圧に調整する必要があります。

そして、次の項目では適切なローラー内圧に調整する方法を解説していきます。

内圧抜きのやり方

ここではローラーの内圧抜きの方法を解説していきます。

ローラー内圧抜きが今回の作業においてもっとも難しい作業でもあり、その作業をより正確に且つ簡単にするためにも『必要パーツ・工具』のところでも紹介したリーマを使うことを推奨します。

そして、内圧抜きの方法は、ローラー表面からリーマを正回転(時計回り)で回して ローラー内部を削っていくのみとなります。

ここでの注意点は、完全に削りきらず 少しだけ未加工部分を残すことです。

その少しだけ未加工部分を残すための方法も紹介していきます。

まず、油性マジック等で以下の画像のようにベアリングの一部を塗りつぶします。

この状態からリーマをあて「少し削ってリーマを取り外し、塗りつぶした箇所のチェック」を繰り返して、以下の画像ぐらいに塗りつぶし箇所を残した状態で作業完了とします。

こうすることで削りすぎを防ぐことができるので、ローラー内圧抜きに苦戦している方は参考にして頂ければと思います。

ちなみにベアリングローラーの厚みは2.5mmで、その1/4~1/3(0.6mm~0.8mm)程を残すイメージで私は作業をしています。

敢えて加工しないのもあり

ローラー内圧抜き作業に自信がなければ敢えて未加工のままにしておくという選択肢もありです。

当然、内圧抜き作業無しではローラー回転力アップの効果が薄れてしまうわけですが、失敗した場合にローラー1つを駄目にしてしまうリスクを考慮すると敢えて未加工のままにしておくという選択肢もありです。

無加工も嫌だけど絶対に失敗したくないという人は、ギリギリまで削らずに余裕を残す(マジックで塗りつぶした部分の半分ほど残す)程度で留めておくのが良いかと思われます。

特に、工具であるリーマがないという人は失敗する確率も高くなってしまうので、リーマを入手するまではローラー内圧抜きを控えた方が良いかもしれません。

内圧抜きに失敗した場合のリカバリー方法もある

万が一、ローラー内圧抜きに失敗しベアリングが固定できなくなった場合は、瞬間接着剤を使用することで修復することも可能です。

ただし、リカバリーは手間がかかり作業難易度が高く、リカバリーに失敗するとローラーどころかベアリングも駄目にしてしまうので、慎重に作業をおこなう必要があります。

※リカバリー方法については後日公開予定となっているので今しばらくお待ちください。

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ベアリング取り付け

ここではベアリングの取り付け(ボールベアリングをローラーに戻す)方法を解説していきます。

取り付け準備

ベアリングの脱脂とローラーの内圧抜きが完了したらベアリングをローラーに取り付けていきます。

ベアリングの取り付けの事前準備として以下のパーツを用意します。

ビスに関しては長さ12mmでも構いませんがテーパータイプのローラーの場合は15mm以上が必要となるので、本記事では15mm以上の長さを推奨します。

また、ステー・プレートについてはビス穴があいているものであれば特に形状は問いませんので、余っている物でOKです。

これらのパーツ・工具が用意できたら次の取り外し作業を実施していきます。

取り付け作業

ベアリングの取り付けはローラーの構造を考慮して、以下の画像のように穴が広い表側からベアリングを取り付けていきます。

上記ローラー構造を踏まえて、以下の手順で作業を進めていきます。

ベアリング取り付け 手順
手順
ビスに小ワッシャーを通す

ビスに小ワッシャーを取り付けます。

尚、小ワッシャーは取り外し時のベアリングにかかる負担を減らすためのもので、必須ということではないので この作業は省略しても構いません。

手順
ローラーにベアリングを仮置きする

ローラーの表面にベアリングを仮置きします。

ローラーの表側の穴は広めとなっており、仮にローラーの内圧抜き加工をしていなくてもベアリングの一部がすっぽりとハマります。

手順
ベアリングにビスを通す

小ワッシャーを取り付けたビスをベアリングに通していきます。

前の手順でベアリングをローラーに仮置きしているため ビスを通す方向を間違えることはないと思いますが、ローラーの向きにはくれぐれもご注意ください。

手順
ステー・プレートにビスを通し、ナットを取り付ける

まずはローラー一式のビスをステー・プレートのビス穴に通します。

続いて、ローラー一式の反対側からナットを取り付けます。

この段階ではナットは仮止めで構わないので、工具は使わず手で固定しておけばOKです。

手順
ナットを固定し、ビスを回す

ボックスドライバーナットを固定して、プラスドライバービスを締めていきます。

ビスを回す方向は、通常のビスを締める動き(時計回り)となります。

ここでの作業のポイントはステー・プレートを固定しながらドライバーを回すことです。

プラスドライバーを回すだけではステー・プレートも一緒に回ってしまい一向にビスが締まらないので、以下の画像のように指でステー・プレートを固定しながらビス締めをしていきます。

ビス締めは回せなくなるギリギリところまで回していきます。

手順
ベアリングの装着確認

ビスを最後まで締めたら、今度はボックスドライバーナットを固定して、プラスドライバービスを緩め(反時計回り)ローラーからビス・ナット・小ワッシャーを取り外します。

そして、ローラーだけの状態になったら真横からベアリング部分をみて、ローラーの上下にベアリングが出っ張っていないことを確認します。

出っ張りがないことを確認してベアリングの取り付け作業は完了となります。

以上がベアリング取り付け作業の手順となります。

尚、より簡単にベアリングの取り付けをしたいという方は以下の記事で紹介しているベアリングチェンジャーがおすすめなので、気になる方は こちらも見てください。

オイル注入

ここではボールベアリングへのオイル注入(注油)方法 及び ベアリングを慣らす方法を解説していきます。

尚、本記事ではこれ以降 オイル注入のことを「注油」と呼んで解説を進めていきます。

注油が必要な理由は主に2つあり、1つ目の理由はベアリング内部の玉(ボール)同士の摩擦を減らし よりなめらかに回転させるためです。

2つ目の理由はベアリング内部の錆びを防止するためで、脱脂したまま長期間放置してしまうとベアリング内部が錆びてしまい修復不能となってしまうので、脱脂と注油は必ずセットでおこなう必要があります。

※『ベアリング脱脂』のところである程度のグリスを残した場合は注油しなくてもOKです。

そして、注油の方法は以下の画像のラインを引いた部分のどこか1点にベアリングオイルを垂らします。

垂らすベアリングオイルの量は1滴でOKです。

オイルを垂らしすぎてしまうと逆に回転しづらくなることもあるのでご注意ください。

もし、オイルを垂らしすぎて回転が悪くなった場合は、もう一度ベアリング脱脂することでベアリングの状態は戻せるので

注油が完了したら、垂らしたベアリングオイルをベアリング内部全体に浸透させるために正回転・逆回転の双方に回しベアリングを慣らしていきます。

オイルつけたての状態だと回転具合は良くありませんが、回していくうちに徐々に回転力があがってくるので、自分の納得がいくところまで回転させていきましょう。

このベアリング慣らしの時間等は特に決まってなく、長ければ長いほど良いとも言われているので できるだけ長時間やっておきたい所ではあります。

ただ、やみくもにやっていてはキリがないので、私的には自分が納得がいく回転力に達してから更にもう1、2分程追加で回して終了で良いかと。

動作確認

ここではローラーの回り具合を確認する方法・確認目安について解説していきます。

動作確認方法

ベアリング脱脂の一連の作業が完了したら仕上げにローラーの回転具合を確認するわけですが、回転確認のために いちいちバンパーやステーにセットしていると手間がかかってしまいます。

そこで、ここではローラー回転を確認する方法を紹介します。

簡易的な確認方法

もっともシンプルで簡単なのはモーターピンに挿す方法です。

モーターは1軸・2軸のどちらも構いませんので、そのモーターピンにローラーを少し強めに押し、モーターピンに固定して、後は指でローラーを回せばローラー回転を確認できます。

このやり方の欠点は、モーターピンにローラーを固定する際にローラーを強く押しすぎると ベアリングがピンにハマってしまい外れにくくなり、ローラーの内圧が弱いと最悪ローラーからベアリングが外れてしまうことです。

ただ、その程度でベアリングとローラーが分離してしまうのであれば コース走行時に同じ現象が起こりうるので、この段階でローラーの内圧が弱いことを知れた方が良いかもしれません。

そして、さらに簡単な確認方法があり それは片軸カウンターギヤシャフトを使った方法です。

使い方は至ってシンプルで、シャフトの幅が短い方にローラーをセットするだけです。

あとは指でローラーを回して回転具合を確認します。

非常にお手軽な確認方法なんですが、この確認方法は指が疲れやすいという欠点があります。

常に片手でカウンターギヤシャフトを持つ必要があり、持つ部分が小さいことから指が非常に疲れやすくなります。

このことからギヤシャフトを使た確認方法は長時間の確認作業には不向きで、最初に紹介したモーターを使った方法か次に紹介する確認方法の方が良いかもしれません。

各パーツを結合させた確認方法

ここで紹介する方法は、確認するためにいくつかのパーツと準備(組み立て)に少々時間がかかるものの、一度用意してしまえば それ以降は楽に確認できるようになります。

そしてこの確認方法は確認したいローラー・ベアリングの種類によって若干異なり、以下のパターンがあります。

次から上記対象物・パターンの動作確認方法を個別で紹介していきます。

通常のベアリングローラー

通常のベアリングローラーの動作確認方法は以下となります。

まず以下の配置で各パーツを組み合わせます。

※ビスについては10mm以上が推奨です。

尚、このパーツ構成は後述する「テーパーローラー・ベアリング単体」でも使用していくので、このパーツ構成内容は覚えておいてください。

上記構成ができたら、ナットの上にベアリングローラー用スペーサーを取り付けます。

ベアリングローラー用スペーサーの向きはローラーの下側に付ける時と同じになります。

※スペーサーの向きを間違えるとローラーが回転しにくくなるのでご注意ください。

最後にローラーを載せて 回転確認の準備完了となります。

※セットするローラーの向きは表・裏どちらでも構いません。

あとはステー・プレートを持って、反対の指でローラーを回して回転力を確認します。

※ステー・プレートを持たずに机等に置いた状態でローラーを回してもOKです。

このパーツ一式があればいつでも簡単にローラー回転を確認できるので、常に手元に置いておくと良いかもしれません。

テーパーローラー

テーパータイプのベアリングローラーの動作確認で使用するパーツ一式は先ほど紹介した『通常のベアリングローラー』と同様となります。

ただし、テーパータイプのローラーは裏面に溝があるため、普通にセットしてしまうと うまくローラーを回転させれません。

そこで以下の画像のように、裏面を上にすることで正確な回転力を確認できるようになります。

ボールベアリング単体

ボールベアリング単体の動作確認も上記の『普通のベアリングローラー』の時と同様のパーツ構成で確認することができますが、少々やりづらいため やりやすくする方法を紹介していきます。

まず基本的なパーツ構成はこれまで紹介したものと同様となります。

※ビスについては10mm以上が推奨です。

そして、ボールベアリング単体の動作確認時はベアリングローラー用スペーサーの代わりにハトメを使用します。

このハトメの広い方を上にして、基本パーツ構成のナットの上にセットします。

最後にボールベアリングをハトメの上に載せて準備完了です。

あとは指でボールベアリングを回して回転具合を確認するわけですが、ボールベアリング単体で回した時に回転しているかどうか目視で判別しづらいという難点があります。

もし、目視で分からない場合は、静かな場所でベアリングに耳を近づけて 音で回転具合を確認してください。

ベアリングが回っている間は「シャー」という音がするので、その音で判断すると分かりやすいかと。

治具を使う

今回紹介する方法の中で最も簡単且つ正確に動作確認できる手段となり、以下のベアリングチェンジャーを使う方法です。

基本的に本記事では治具自体を使用しない方法を解説しているので、このベアリングチェンジャーの使い方は省略します。

簡単に触れておくと、以下の画像のように治具本体の突起部分にローラーを置くだけで簡単に回転動作を確認することができます。

ちなみにこのベアリングチェンジャーはローラーの動作確認だけでなく、ベアリングの取り外し・取り付けもでき、回るローラーを作るための作業に特化した工具となっています。

このベアリングチェンジャーについては以下の記事で詳しく紹介しているので気になる方はこちらをご参照ください。

回るローラーの基準とは

ローラーの回転力を上げるために一連の作業を実施してきたわけですが、どのくらいローラーが回れば加工に成功したと言えるのでしょうか?

まず、良く回るかどうかの判定方法を「指で1回ローラーを回してからローラーの回転が完全に止まるまでの時間」とします。

そして、個人的には15秒以上回れば合格点ではないかと思っています。

もちろん、もっと長く 30秒…1分…はたまたそれ以上回るに越したことはありません。

ただ、15秒も回れば加工前と比べて格段に回転力はアップしているので十分な結果は得られたと思って良いかと。

最後に

今回はベアリング脱脂を含めローラーの回転力を上げるための一連の作業を紹介していきました。

ベアリング脱脂によるローラー回転力アップの加工はミニ四駆を速くするためにも必須級といっても過言ではなく、ミニ四駆を始めて遅かれ早かれ誰しもがチャレンジするかと思われます。

ただ、必須級の加工ではあるもの いざ始めてみようとすると手順も多く 、やりたくても加工作業を躊躇している方も多いのではないでしょうか。

そうしたベアリング脱脂の加工を躊躇する方向けに、誰でも簡単にできるよう治具を使用しない加工方法をまとめた次第です。

ローラー回転力アップはマシンが速くなるのもそうです、ローラーがとめどなく回転し続けるのを眺めるだけもで楽しく何とも言えぬ快感があります(笑)

本記事をきっかけにその快感を味わって頂ければ幸いです。

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