今回はベアリングローラーの脱脂・内圧抜き作業時に役立つ工具・治具であるベアリングチェンジャーⅡ(2)の製品情報及び使い方を紹介していきます。
ベアリングチェンジャーとは
ベアリングチェンジャーは、ミニ四駆のベアリングローラー(アルミローラー)に内蔵されている520ベアリングの取り外し・取り付けに特化した専用工具(治具)となります。
この工具単体ではローラーやベアリングの加工はできませんが、ベアリングの脱着はローラーの内圧抜き・ベアリングの脱脂などの加工において必須作業となります。
このことから、ベアリングチェンジャーはより回る(回転する)ローラーを作るための補助的な工具となります。
ベアリングチェンジャーを使用せずにベアリングを脱着する方法は以下の記事にて紹介しています。
尚、今回 紹介するベアリングチェンジャーはmokedo-factory(モケドーファクトリー)から販売されているベアリングチェンジャーⅡ(2)という製品となります。
使い方
ここではベアリングチェンジャーの使い方を紹介していきます。
基本的に購入者向けの内容となりますが、使用方法・操作方法を知ることで製品の特徴も分かってくるので、購入を検討されている方も参考にして頂ければと思います。
まず、ベアリングチェンジャーで出来ることが以下となります。
そして、これらの出来ることの具体的な使い方を次から紹介していきます。
使用前に知っておくこと
ここではベアリングチェンジャーを使用する前に知っておくべきことを紹介していきます。
特にベアリングチェンジャーを購入して これから使用するという方は必ず目を通すようにしてください。
各部位の名称
この後 紹介する使用手順を より分かりやすくするために、まずはベアリングチェンジャーの各部位名称を紹介しておきます。
ベアリングチェンジャーは「ベアリングチェンジャー本体」「つまみ」「T型ハンドル」の3つのパーツで構成されており、本体には「突起部分」があります。
次に「つまみ」の各部位名称を紹介していきます。
つまみ部分はベアリングチェンジャーを使用する上で重要なパーツでもあり、この「フラット部分」「先端部分」をフル活用していきます。
ここで紹介した名称については『使い方』のところで使用していきますので、どこの箇所を示しているか分からなくなった場合は 上記画像を見返してください。
尚、これらの名称は私が勝手に名付けた部位名称であり 正式名称ではないことをご了承ください。
ローラーの向き
まず、ローラーの向きとはローラーの表面・裏面のことであり、以下の画像のように表面と裏面で構造が異なります。
この構造を目安にローラーの表・裏を判別していくのですが、ベアリングチェンジャーを使う上でセットするローラーの向きが重要になります。
本記事ではローラーの構造についての詳細説明は省略しますが、間違った向きでベアリングチェンジャーを使用してしまうとベアリングを痛めてしまうこともあるので、くれぐれもローラーの向きにはご注意ください。
「何故ローラーの向きが重要か」については以下の記事内の『ローラーの構造』項目にて詳しく解説しているので、製品使用前に一読しておくことをおすすめします。
ベアリングの取り外し
ここではベアリングチェンジャーを使った ベアリングの取り外し方を紹介していきます。
このベアリングの取り外しはローラーの内圧抜き・ベアリング脱脂をするにあたって最初におこなう作業となり、ローラーからベアリングを取り外す手順は以下となります。
つまみを回して3mm程のくぼみを作ります。
次に T型ハンドルを回して、つまみ先端部分とT型ハンドルの間にローラーを入れるためにスペースを作ります。
ローラーを裏返した(表面をつまみ側に向けた)状態で、つまみ先端部分にローラーをセットします。
基本的にはローラー表面をつまみ側、ローラー裏面をT型ハンドル側に向けてセットします。
※逆の向きで取り付けるローラーもあるのでご注意ください。
尚、各社の製品マニュアルではローラーの設置面表記が誤っており、本記事で表記している設置面が正しい向きとなります。
T型ハンドルを時計回りにゆっくりと回してローラーからベアリングを外していきます
ローラーからベアリングが外れると、つまみのくぼみに落ちる音がするので、その音が聞こえればローラーからベアリングが外れたことになります。
ローラーからベアリングが外れたら、T型ハンドルを反時計回りに回してローラーを取り出すスペースを作り ローラーとベアリングをベアリングチェンジャーから取り出します。
これでベアリングの取り外し作業は完了となります。
ベアリングの取り付け
ここではベアリングチェンジャーを使って ローラーにベアリングを取り付ける方法を紹介していきます。
このベアリングの取り付けはローラーの内圧抜き・ベアリング脱脂が終わったあとの仕上げの作業となり、ベアリングをローラーに取り付ける手順は以下となります。
まずはつまみフラット部分とベアリングチェンジャー本体の面を同じ高さに合わせます。
つまみフラット部分が出っ張ったり・凹んだりしないよう ゆっくりとつまみを回して高さを調整します。
次に T型ハンドルを回して、ローラー・ベアリングをセットしやすくするために できるだけ広いスペースを作ります。
ローラーの表面を上に向けた状態で、つまみ先端部分にローラーをセットします。
尚、ローラーの向きは「取り外し」の時とは逆になるのでご注意ください。
※逆の向きで取り付けるローラーもあるのでご注意ください。
ちなみに、この時のローラーの位置は以下の画像のようにつまみ先端の中央からズレていて構いません。
ベアリングのセットについては少しコツがあるので順を追って説明していきます。
まず、つまみ先端部分にベアリングをセットします。
※ローラーはつまみ先端の中央からズレた状態のままで構いません。
この段階ではベアリングとローラーの位置がズレているので、ローラーを指でつまんでつまみ先端の中央にゆっくりと移動させます。
ローラーを中心に移動すると自然とベアリングの一部がローラーの中に納まり、ベアリングのセットが完了となります。
ベアリングの一部が真っ直ぐにローラーに収まっていることを必ず確認にするようにしてください。
ここでローラーの一部がベアリングに収まっていないと、次の手順を実施した際にベアリングを傷つけてしまう可能性もあるので ご注意ください。
ローラーの向き(表・裏)を正しくセットしていれば、ローラーの内圧抜きをしていなくても ベアリングの一部がローラーにすっぽりと収まる状態になります。
もし ローラーをいくら移動させてもベアリングが収まらないのであれば ローラーの設置向きが裏表 逆の可能性もあるので、ローラーの向きが正しいか確認しましょう。
尚、ベアリングはつまみ先端部分で固定されており 常に真っ直ぐの状態なので、ベアリングが斜めになるということは基本あり得ません。
T型ハンドルを時計回りにゆっくりと回してベアリングをローラーに固定していきます。
T型ハンドルがこれ以上回せなくなるまで ゆっくりと回していきましょう。
ベアリングをローラーに固定し終えたら、T型ハンドルを反時計回りに回してローラーを取り出すスペースを作り ローラーをベアリングチェンジャーから取り出します。
最後にベアリングがローラーから上下にはみ出ていないかを確認します。
手順1でのつまみフラット部分の高さがベアリングチェンジャー本体と同じ面になっていないと ベアリングが上下いずれかにはみ出てしまいます。
もし、ベアリングがはみ出している場合はつまみフラット部分の高さを調整し直して、再度取り付け作業をおこなっていきます。
ベアリングの回転確認
ここではベアリングチェンジャーを使った ローラーの回転具合を確認する方法を紹介していきます。
ローラーの回転具合を確認したい場合はベアリングチェンジャー本体の突起部分を使用します。
この突起部分は微妙に段差構造となっており、ここにローラーを置くと上の部分でローラーが固定されます。
ローラーを置いて固定されたら、指でローラーを回して回転具合を確認していきます。
この突起部分を上記のように使うことで、ベアリング脱脂前後・ローラーの内圧抜き前後のローラーの回転具合の比較も簡単におこなうことができます。
製品レビュー
ここではベアリングチェンジャーⅡの製品レビューをしていきますが、結論から言うとベアリングチェンジャーⅡはミニ四駆で遊ぶ全ての人におすすめの工具(治具)となります。
私自身 長きに渡って使用しているわけですが、おすすめする理由としては2つの優れた点があるからです。
おすすめするのは当然私自身が良いと思っているからで、その良いと思うところが2点あります。
1つ目の優れた点は 使い勝手の良さです。
『使い方』のところを見てお分かりのようにベアリングチェンジャーを使用することでベアリングの取り外し・取り付けが簡単にでき 非常に使い勝手が良い工具となります。
さらにはローラーの回転具合も即座に確認でき 回るローラーを作るためには必須級の工具とも言えます。
実際のところベアリングチェンジャーが無くても身近なパーツ(ビス・カウンターギヤ)を使えばベアリングの脱着は可能で、ベアリングチェンジャーが絶対に必要ということではありません。
ベアリングチェンジャーを使用せずにベアリングを脱着する方法は以下の記事にて紹介しています。
ただ、ベアリングチェンジャーがあることで ベアリングの脱着作業の時間を大幅に短縮することができ、加工したいベアリングローラーの数が多ければ多い程 その恩恵は大きくなります。
このことから より多くのローラーを加工したいという中・上級者にとってはベアリングチェンジャーは必須と言っても過言ではないアイテムとなります。
2つ目のすぐれた点は製品のコンパクトさとお手頃感です。
コンパクトな作りのおかげで未使用時の保管スペースに困ることがありません。
そして、価格も1,000円ちょっとで購入でき非常にリーズナブルなので、普通の工具を買う感覚と同じお手頃感があります。
治具というと比較的価格が高い傾向にあり、治具1つで出費がかさんでしまう…ということも多々ありますが、ベアリングチェンジャーであれば そうした心配もいりません。
しかも、1つ購入すれば 余程の事がない限り半永久的に使うことができます。
総括すると、ベアリングチェンジャーは非常に優秀で、ミニ四駆をより速く走らせたいという人にとっては持っておくべきアイテム(工具)となります。
ベアリングチェンジャーの種類
ここではベアリングチェンジャーの購入を検討している人向けに、ベアリングチェンジャーの色や類似品について紹介していきます。
色の種類
まず、今回紹介してきたmokedo-factory(モケドーファクトリー)のベアリングチェンジャーⅡを改めて紹介していきます。
ベアリングチェンジャーⅡには色が複数あり、上のゴールド以外にブラック・レッド・ブルーがあり、それぞれ本体の色が異なります。
※本記事で紹介したものはレッドとなります。
色による性能の違いはまったくないことと、基本的に人に見せるものでもないので色にこだわりがなければ在庫がある色を選択すれば良いかと思います。
尚、Amazonで取り扱っている色は時期によって異なることがあり、常に4色あるわけではないのでご注意ください。
類似製品
ベアリングチェンジャーはmokedo-factory(モケドーファクトリー)以外の他社からも多数販売されています。
Amazonにて「ベアリングチェンジャー」で検索すると以下のような類似した製品が見つかります。
上記のものはほんの一例となるわけで このように類似した形状のものが多数あり、一見すると同じ作りに見えますがつまみやT型ハンドルの形状が微妙に違うようにも見えます。
おそらくmokedo-factory製のものが元祖ベアリングチェンジャーで他社はそれを真似た後発品なのかと思われます。
ただし、mokedo-factory製のベアリングチェンジャーが元祖というのは私の予想でしかなく真偽は不明なのであしからず。
mokedo-factory製のベアリングチェンジャーに似た製品は多数あるわけですが、これらの他社製品は工具の精度が本家?よりも低いと言われたりもしています。
実際に他社製品を手に取って見たわけではないので本当に精度が低いかは不明ではありますが、聞いた話だと 他社製品はローラー回転を確認するための突起部分の作りの精度が低いとか。
以下の画像はmokedo-factory製のベアリングチェンジャーのものですが、ローラー回転を確認する突起部分は微妙に段差ができています。
この構造によってローラーが上でしっかりと固定されるわけですが、他社製だと これの作りが今一でローラーがうまく固定されずにローラーの回転を確認しづらいとか…
こうした細かいところの作りがmokedo-factory製と比較して劣っている可能性があるので、安いからといって安易に他社製のものを購入するのは危険かもしれません。
それに価格が安いといってもmokedo-factory製と大して変わりないので、精度が低いものを掴んでしまって結果的に 買い直すことになってしまっては元も子もありません。
他社製を買う機会あるとするならば、「mokedo-factory製が在庫切れだけど今すぐにベアリングチェンジャーが欲しい!」という時ぐらいなのではないでしょうか。
とにかく、どのベアリングチェンジャーを買うか迷ったら、私自身実際使ってみて良かったと思うmokedo-factory製のベアリングチェンジャーが一番無難とも言えます。
最後に
今回はmokedo-factory製のベアリングチェンジャーⅡを紹介していきました。
当サイトの方針として、ミニ四駆の加工に特化した工具である治具は基本的に使用せず 身近にある工具・パーツなどで加工する方法をモットーとしており、基本的に治具は紹介していません。
そんな当サイトで こうした治具を紹介するのは非常に稀であり、私自身が愛用していることと優秀な工具であるがために今回紹介させてもらいました。
ベアリングチェンジャーⅡだけではベアリングの加工はできませんが、より多くのローラーを加工する際に大活躍する工具であり中・上級者には必須級のアイテムとなります。
尚、より回るローラーを作るために必要なベアリング脱脂・ローラー内圧抜きのやり方については以下の記事にて詳しく解説しており、ミニ四駆をもっと早くしたい方には必見の内容となっています。
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