今回はXTAR(エクスター)社から発売されているVC4Plus・VC4SLのレビューと使用方法を紹介してきます。
VC4Plus・VC4SLを買おうかどうか迷っている方をはじめ、すでにVC4Plus・VC4SLを持っている方にも役立つ情報を掲載しているので、VC4Plus・VC4SLをより深く知りたい方は必見です。
外観・同梱品
ここではVC4Plus・VC4SLの外観や同梱品を紹介していきます。
※VC4Plus・VC4SLをすでに所持していて使い方をすぐに知りたい方は『操作方法』へお進みください。
まずは外箱から紹介していきます。
外箱は ほぼ本体に近いサイズとなっており 開封すると巾着袋が出てきます。
巾着袋の中には以下の同封品が入っています。
・充電器本体
・USBケーブル
・取扱説明書
USBケーブルについては「Type-A⇔Type-C」タイプとなっています。
ちなみにUSBケーブルの長さは約80cmとなっており、付属するケーブルとしては結構長めになっています。
尚、充電器を起動するためには別途USB充電器やモバイルバッテリーが必要になりますのでご注意ください。
そして、VC4Plus本体の外観は以下となります。
上の画像では分かりづらいんですが、本体側面と裏側には本体の熱を外部に逃がすための ほんのわずかな隙間があります。
初見の時は隙間がないと思ったのですが、よーく見ると1mmにも満たない極小な隙間があることに気づきました…
空調ファンが未搭載のため、本体熱を逃す箇所が この側面・背面のみとなるわけですが、隙間が狭いことから放熱性能自体は期待薄かと…
そして本体の側面後方には本体の入力端子であるType-C端子があります。
付属しているUSBケーブルが「Type-A⇔Type-C」なので、付属品のケーブルを使用して本体を起動させる場合 USBアダプタ側はType-Aのインターフェイスが必要となります。
最後に、本体のサイズ感の目安として実物のミニ四駆マシンと並べてみました。
ミニ四駆のマシンとはほぼ同等なサイズで、決してコンパクトとは言えませんが 大きすぎでもなく程よいサイズ感なのかと。
製品仕様
ここではVC4Plus・VC4SLの製品仕様を紹介していきます。
製品仕様一覧
対応バッテリー | リチウムイオン充電池・ニッケル水素充電池・ニッカド充電池 |
入力電源 | QC3.0(5V⎓3A/9V⎓2A) |
USB Type | Type-C |
充電電流 | 3Ax1/2Ax2/1Ax4/0.5Ax4/0.25Ax4 |
放電電流 | 0.3A(3000mA) |
カットオフ電圧 | 4.2V(±0.05V) / 1.45V(±0.1V) |
カットオフ電流 | 120mA |
動作モード | 充電・グレーディング・ストアリング |
本体寸法 | 115.5 x 156 x 35mm |
本体重量 | 240g |
価格(定価・税込み) | 3,700円 |
次から上記仕様について特筆すべき項目をピックアップして解説していきます。
対応バッテリー
対応バッテリーは豊富で、リチウムイオン充電池に関しては以下の型式のものが対応しています。
10440・14500・14650・16340・17335・17500・17670・18350・18490
18500・18650・18700・20700・21700・22650・25500・26650・32650
ニッケル水素電池・ニッカド充電池に関しては「単6・単4・単3・単2」サイズのものが対応しています。
また、本体への電池設置は以下の画像のようにマイナス側の金具を引きます。
電池セット後はバネの力で自動的に金具が戻り 電池を固定する仕組みとなっているため、楽に電池の着脱がおこなえます。
ちなみに、電池設置箇所の高さは最大で8cm程確保できるので、その長さに収まる充電池であれば本製品にセットできると思ってもらって構いません。
電池は最大4本同時にセット可能で異なる種類の充電池を同時に充電することが可能です。
入力電源
製品説明には本製品の性能をフルに発揮するためにはQC3.0対応のUSBアダプタが必要とのことですが、5V⎓3Aか9V⎓2Aのどちらを満たしていれば大丈夫な模様で、PD3.0でも問題なさそうです。
実際のところ本製品の最大限の機能を引き出すにはUSBアダプタの問題よりも、それ以外の条件がネックとなってきます。
※最大限の機能を引き出すための条件については次の『充電電流』にて解説します。
VC4 Plusに関してはQC3.0対応のUSBアダプタが最初から付属されているモデルもあります。
上記モデルであればUSBアダプタを実質800円で購入できることになるので、USBアダプタを持っていないという方は このセット製品を購入した方がお得とも言えます。
充電電流
充電電流は3000mA・2000mA・1000mA・500mA・250mAに対応しており、セットする電池の本数によって設定できる電流値が異なります。
1本であれば最大3000mA、2本であれば最大2000mA、4本(3本以上)であれば最大500mAとなります。
先程、電池1本のみのセットであれば3000mAで充電可能と言いましたが、実はそれだけではだめで追加で以下の3つの条件を満たす必要があります。
- 18W出力のUSBアダプター
- 電池電圧が3.8V程度
- 電池内部抵抗値が40mΩ以下
上記条件を詳しく解説すると、まず18W(9V⎓2A)出力できるUSBアダプタが必要となります。
次にセットする充電池の電圧が3.8V程度 必要であり、このことから電池サイズが大きめのリチウムイオン電池のみ対応していると言えます。
そして、電池内部抵抗値が40mΩ以下でないと駄目で、これが非常に難しく この条件のせいで3000mA充電できない人も多いかと思います。
VC4Plus・VC4SLの電池内部抵抗値の判定は結構曖昧なところがあるため、安定して3000mA充電は困難とも言えます。
尚、この条件は電池2本の最大2000mAにも適用される模様です。
最大3A(3000mA)に対応している充電器ではありますが、ニッケル水素電池に関しては電池の本数に関わらず最大500mAまでしか充電電流が出せません。
このことから、ニッケル水素電池を充電する場合に選べる充電電流は500mAもしくは250mAと限られてしまいます。
特にニッケル水素電池で充電を考えている方は この点を考慮した上で購入するかどうかを判断してください。
放電電流
VC4Plus・VC4SLの放電電流は電池の種類・セット本数に問わず一律300mAとなります。
尚、本製品には放電単体機能はなく、グレーディングモード(充電→放電→充電)・ストアリングモード(容量を50%に調整)使用時に放電が実行されます。
カットオフ電圧・電流
本製品の充電時の完了目安(カットオフ電圧)は各電池に応じた電圧値(4.2V(±0.05V) / 1.45V(±0.1V))が定められています。
具体例として、ニッケル水素電池の場合は1.45Vのプラスマイナス0.1Vの範囲で充電が完了します。
ただし、必ずしも1.45V前後で終了というわけではなく、電池のよっては1.50Vまで充電できたりと そこまで厳密に終了電圧が定まっていない模様です。
また、本製品にはカットオフ電流が設定されおり、満充電に近づくにつれて 設定電流値関係なしに自動的に充電電流値が120mAに近づいていきます。
(電池によっては120mA以下の電流に落ちることもあります)
このカットオフ電流により、電池への過充電でも防げるので 電池に優しい機能とも言えます。
機能紹介
ここではVC4Plus・VC4SLの機能を紹介していきます。
本製品の購入を考えている方は どういった機能があるかを参考にして頂ければと思います。
動作モード
VC4Plus・VC4SLには以下の3モードがあります。
- 充電
- グレーディング
- ストアリング
次から上記のモード詳細内容を説明していきます。
充電モード
充電するモードとなります。
充電電流は 3000mA・2000mA・1000mA・500mA・250mAのいずれかを選択できます。
ただし、電池の種類・セット本数などの条件によっては3000mA・2000mA・1000mAに設定しても設定値通りの電流が出ません。
※充電電流値の仕様については前述した『充電電流』の項目をご参照ください。
グレーディングモード(Grad)
充電→放電→充電を実施するモードで、充電池をリフレッシュ(活性化)し、電池の実容量(放電容量)の確認ができます。
このモードを使用する場合 充電電流は設定できますが、放電電流は設定できず300mAで固定されます。
尚、グレーディングモードを使用する方法は 後述する『各モードの起動』にて解説していきます。
ストアリングモード(Store)
バッテリーの長期保存に適した電池容量(3.7V/1.2V)に調整するモードです。
最大電池容量の50%?になるよう、セットした電池残量から自動的に充電か放電を選択してくれます。
長期保存する際に適したバッテリー容量に関しては様々な説があり、ニッケル水素電池に関してはフル充電しておいた方が良いという話もちらほら聞くので、本当にこのモードが適しているかは微妙なのかもしれません。
尚、ストアリングモードを使用する方法は 後述する『各モードの起動』にて解説していきます。
アクティベーション
古い電池など低電圧になった充電池を再調整(復活)させてくれる機能となります。
この機能は充電池を本機にセットした際に自動的に検出し、必要があればアクティベーション機能が有効となるため 何か特別な設定をする必要はありません。
いわゆる 使えなくなった充電池を復活させてくれる機能なわけですが、復活してくれるとは言え その状態になってしまった充電池はどの道 先は長くないので 焼け石に水なのかもしれません。
尚、アクティベーションできなかった充電池は故障と判断され「Err」表示となります。
充電電流の切り替え
各モードにて、充電電流値を3000mA→2000mA→1000mA→500mA→250mAへ変更できます。
(デフォルトは3000mA)
設定した値通りに電流が流れるかどうかは電池の種類・セット本数によって変わってくるので、必ずしも設定した充電電流値が流れるわけではありません。
※充電電流値の条件については『充電電流』をご参照ください。
電池の各ステータスの確認
本製品では充電器にセットした電池の以下のステータスを確認することができます。
- Cap.(Capacity)…充放電の累計容量
- Cur.(Current)…充放電の電流値
- IR(Internal Resistance)…電池の内部抵抗値
次から上記の確認可能ステータスの詳細内容を説明していきます。
Cap.(Capacity)
現在の起動モードで充電・放電した累計の容量(電流値)が確認できます。
Cur.(Current)
現在 充電or放電している電流値が確認できます。
IR(Internal Resistance)
電池の内部抵抗値を確認することができます。
内部抵抗値は低い程 電池の性能が良いということになります。
※各ステータスの確認方法については後述する『電池の状態確認』にて解説していきます。
操作方法・使用方法
ここではVC4Plus・VC4SLの操作方法・使用方法を紹介していきます。
基本的に本製品に付属している取扱説明書と同じ内容となりますが、取扱説明書では一部分かりづらい箇所もあるので、操作方法が分からなくなった場合は本記事をご参照ください。
各部名称
まずは本製品の各部の名称及び役割を紹介していきます。
液晶パネルと電池スロットは見ての通りとなっており、ここで重要なのは本体中央にある「Curr.ボタン」と「Modeボタン」で各ボタンの詳細は以下となります。
Curr.ボタン…充電電流値の変更に使用します。
Modeボタン…電池状態の表示切替・各モードを選択に使用します。
液晶画面
液晶画面には以下の情報が表示されます。
次から上記液晶画面の各種情報を説明していきます。
【表示ステータス&稼働モード】
「現在表示している電池ステータス(Cap. or Cur. or IR)」と「現在稼働中のモード(Grad. or Store)」のいずれかが表示されます。
【電池電圧&充電電流】
スロットごとの電圧計(電池の電圧状態)と電流計(現在充電している電流値)が表示されます。
また、電圧計は2種類あり、電池の種類によって表示される電圧計が変わります。
【電池ステータス】
スロットにセットしている電池ステータス(充放電の累計容量 or 充放電の電流値 or 電池の内部抵抗値)が表示されます。
【電池の種類】
スロットにセットした電池の種類(Ni-MH or Li-ion)が表示されます。
各モードの起動方法
ここではの充電・グレーディング・ストアの各モードの起動方法を説明していきます。
デフォルト(機器を起動させた状態)では充電モードとなっています。
※充電モードの場合は液晶画面の稼働モード表示部分には何も表示されません。
充電モードの状態からModeボタンを長押しするとグレーディングモードに切り替わり、液晶画面上部にGrad.と表示されます。
更にグレーディングモードの状態からModeボタンを長押しするとストアモードに切り替わり、液晶画面上部にStoreと表示されます。
※ストアモード稼働中は液晶中央に電圧計・電流計は表示されません。
このようにModeボタンを長押しを繰り返すことで各モードへ切り替えることができます。
尚、モードの切り替えは電池をセットしている状態・していない状態のいずれでも可能です。
また、各動作モードは全スロット(4スロット)共通となり、スロットごとに異なるモードの設定はできません。
充電電流値の設定
電池をセットした状態でCurr.ボタンを押すことによって、以下の順番で充電電流値を変更することができます。
3000mA → 2000mA → 1000mA → 500mA → 250mA → 3000mAに戻る
尚、デフォルト(機器を起動させた状態)では充電電流値は3000mAに設定されおり、そのまま変更しなかった場合は各電池に対応した最大電流値で充電を開始します。
電池の状態確認
電池をセットした状態でModeボタンを押すことにより、以下の順番で電池の状態を確認することができます。
Cap.(充放電の累計容量) → Cur.(充放電の電流値) → IR(電池の内部抵抗値) → Cap.に戻る
各モードの使用方法
最後に各モードの使用方法を解説していきます。
まずModeボタンを長押しして使用したいモードを選択します。
モードを設定したら充電器に電池をセットします。
※モード設定の前にあらかじめ電池をセットしておいても構いません。
そして、次から説明する各モードの手順に従い 使用していきます。
充電モード
充電モードはセットした電池を満充電(フル充電)する機能となります。
稼働前もしくは稼働中にCurr.ボタンを押すことによって充電電流を変更できます。
充電の途中経過については液晶画面の電圧計で大まかな充電状況が確認できます。
充電が完了するとFULLと表示され、該当スロットのインジケーターのランプ(CH1~4)が赤色から緑色に変わります。
グレーディングモード
グレーディングモードでは満充電→全放電→満充電の3工程をおこない電池を活性化(リフレッシュ)させます。
グレーディングモードでも充電モードと同様に、稼働前もしくは稼働中にCurr.ボタンを押すことによって充電電流を変更できます。
ただし、放電時の電流の設定はできず300mA固定となります。
そして、充電時はCHGと表示され、放電中は累計放電容量が表示されます。
充電→放電→充電の全工程が終了すると、donE(DONE)と累計放電電流容量が交互に表示され、該当スロットのインジケーターランプ(CH1~4)が赤色から緑色に変わります。
上記の累計放電容量が電池の実容量となり、電池容量の確認目安となります。
ストアモード
ストアモードは、電池を長期保存した場合に使用するモードであり、充電or放電をおこない電池残量を自動的に50%にしてくれます。
充電器側で電池容量を判定し、50%未満であれば充電、50%を超えていれば放電を実施します。
充電・放電のどちらかをしているかは、液晶に表示されるCHG(充電)・dCHG(放電)で確認できます。
電池容量が50%になると、donE(DONE)と表示され、該当スロットのインジケーターランプ(CH1~4)が赤色から緑色に変わります。
製品評価
ここでは実際にVC4Plus(VC4SL)を使って感じたこと・分かったことを話していきます。
良い点
本製品の良い点の1つ目は 電池管理に必要な機能を備えながらも低価格(約3,700円)で購入できることです。
充放電機能を始め内部抵抗値や累計容量(放電した累計の電流値)の確認ができて3,000円台というのは破格の値段とも言えます。
良い点の2つ目は 操作性が非常に良く これまで充電器を使ったことがないという方でも直感的に操作することが可能です。
一部モード使用時はボタン長押し操作が必要になりますが、それ以外の操作は非常に簡単であり、久々に使う時でも操作に迷うことはないでしょうか。
良い点の3つ目は USB Type-C入力であることで、これによりもUSBアダプタはもとよりモバイルバッテリーでも本機の起動ができます。
モバイルバッテリーでも起動可能ということで、家の好きなところで使えたり 外出先でも使いやすくなります。
ちなみに外出先で本機を利用する場合は、本製品に付属している巾着袋を使用すれば持ち運びもより楽になるかと。
ただし、巾着袋の素材は普通の布であり緩衝材の役割はないので、持ち運ぶ際は注意が必要になります。
悪い点
本製品の悪い点は、本製品の最大スペックを引き出しづらいことです。
本製品は最大3000mA(3A)の急速充電に対応しており、この価格帯の充電器では破格の性能と言えます。
しかし、前述した『充電電流』でも説明したように急速充電するためには複数の条件を満たす必要があり、この条件がネックとなり フルスペックで使用できないことが多々あります。
特に、ミニ四駆・ミニッツでお馴染みのニッケル水素電池に対しては500mA以下に固定されてしまうため、これだけで使用する場合は機器のスペックを十分に活かしきれなくなります。
ただ、これは価格が安い故の宿命でもあり、この価格帯で無条件に3000mAの急速充電ができること自体が贅沢な話で、急速充電が必須ということであれば もっと高額な充電器を購入すべきかと。
総評
充電器入門に最適な一台
高額な充電器と比べてしまうと総合的な機能は劣ってしまうものの、充電しかできない一般的な充電器よりも優れており、初めて充電器を使うという方にはおすすめできる製品となっています。
「充電器の価格を抑えつつも、電池の寿命を延ばしたい・電池の性能を上げたい」という方に最適な1台とも言えます。
また、本体の大きさはそこそこあるものの、入力端子がUSB Type-Cということで 場所を問わず起動させやすくもあるので 外出先で充電器を使用したいというニーズも満たした製品でもあります。
それと本製品は価格が安いということもあり「コスパ最強!」と言う人もいますが、コスパ最強という程の機能は有していないので過度な期待は禁物です。
ただ、安かろう悪かろうという製品でもなく、価格に対しての性能は気持ち高めではあるので「コスパやや高め」と言える製品です。
最後に
今回はXTAR社の充電器 VC4Plus・VC4SLのレビュー・使用方法を紹介してきました。
充電器の種類は豊富であり、現状 幾多の充電器がひしめき合っている状態と言っても過言ではありません。
そうした本製品と使用目的が似通った 私がおすすめする充電器を以下の記事にて紹介しているので、充電器選びに迷っている方はこちらもご参照ください。
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