今回は2023年3月に再販されたバンパーレスユニットについて、パーツの仕様や使い方から通常のユニットとの比較など より細かな製品情報をお届けしていきます。
基本情報
ここではバンパーレスユニットに関する基本情報を紹介していきます。
バンパーレスユニットとは
バンパーレスユニットはMSシャーシ用のフロント・リヤ ユニットパーツで、名称通り バンパー部分が省かれたユニットとなります。
バンパーレスユニットは2008年に発売され その後 製造中止となりましたが、2023年3月から再販されることとなりました。
尚、過去に販売されていた時は以下の画像のようなLEDライト付きのタイプもありましたが、こちらは再販対象外となっています。
バンパーレスユニット 製品仕様
ここではバンパーレスユニットに付属する各パーツの仕様を紹介していきます。
バンパーレスユニット本体
本製品のメインとなるパーツで、フロントがN-03・リヤがT-03 という型番になります。
メインパーツの材質については何も記載はありませんが、通常のMSシャーシと同様のABS樹脂製だと思われます。
ちなみに本体裏面は一部突出しているように見え、車高への影響があるかにも見えますが、基本的に標準のユニットと同じ車高となります。
強いて言えば、『N-03』『T-03』と文字が刻印された箇所よりも若干突出している箇所もありますが、突出していると言っても0.2mmぐらいです。
この僅かな突出が気になるのであればヤスリで少し削ればOKです。
520プラベアリング
バンパーレスユニット本体に取り付けるためのパーツとして520プラベアリングが4個付属しています。
以下の画像は本来の使い方ではありませんが、520プラベアリングということでカウンターギヤに設置することもできます。
ただ、他のキットに付属している520プラベアリングとまったく同じものかと言うと そうでもなく、バンパーレスユニットに付属してるものは他と比べて厚さが微妙に薄くなっています。
ちなみに このパーツは次に紹介する皿ビスで固定するわけですが、このパーツ自体には皿ビス加工はされていません。
皿ビス
520プラベアリングを固定するためのパーツとして皿ビス(6mm)が5個付属しています。
使用するのは4個で1個は予備となります。
サイズはステンレス製の皿ビス6mmと同じですが、材質は異なり鉄製となっています。
鉄製ということで強度はステンレス製と比べて落ちるものの、ビスにくっつくことからこちらの方が作業しやすいかと。
ちなみに本製品の6mm皿ビスの重量は0.14gで、ステンレス製6mm皿ビスの重量は0.13gと ほぼ同じ重量となります。
バンパーレスユニットの使い方
ここではバンパーレスユニットの基本的な使い方を紹介していきます。
組み立て
バンパーレスユニットは以下のように組み立てます。
プラベアリングを取り付けることで、スパーギヤのブレを軽減することができます。
また、プラベアリング自体には皿ビス加工はされていないので、皿ビスよりも むしろ5mmトラスビスの方がジャストフィットする模様です。
プラベアリングを装着するとスパーギヤのブレが軽減されるどころか、プラベアリングがギヤに干渉して駆動が悪くなることがあります。
この駆動が悪くなる現象については、特にリヤ側で顕著に表れる模様で駆動が悪くなるというよりも、スパーギヤがまともに回転しないことがあります……
2セット購入して2個とも同じようにリヤ側だけ駆動が極端に悪くなるので、構造上そういうの仕様の可能性が高いのかと…
もしくは私が購入した物が2個とも運悪くハズレ個体だったのか…
このプラベアリングと駆動の問題については後程詳しく解説しますが、プラベアリングを装着しない状態でもスパーギヤのブレは非常に小さいので軽量化という意味で 未装着の方が良いかもしれません。
各パーツの装着
バンパーレスユニットの組み立てが完了したら あとはバンパー・ステーの各種パーツを取り付けていくわけですが、フロントユニットは取り付けるバンパーによっては未加工のままだと干渉することがあります。
当サイトでも紹介しているフロントATバンパーを取り付ける場合も上画像の枠で囲った箇所が干渉するのでカットする必要があります。
上の画像はフロントATバンパーと干渉する箇所をカットした後の状態となるわけですが、この状態だと強度に少々不安が残ります。
ただ、このパーツ単体では強度は下がるものの、センターシャーシや各種バンパー類を取り付けることで強度が保たれるようになるので、この状態でもマシン全体の強度には影響ありません。
応用的な使い方
ここではバンパーレスユニットの応用的な使い方を紹介していきます。
応用とは言ってもまったく別の目的で使用するのではなく、あくまでMSシャーシのユニットとしての利用であり、その範囲の中で取扱説明書では触れていない使い方を紹介していきます。
スパーギヤの駆動について
バンパーレスユニットの使い方のところでも触れましたが、プラベアリングを装着することでスパーギヤの駆動が悪くなることがあります。
スパーギヤの駆動が悪くなっているかどうかはスパーギヤ・シャフト・軸受けを装着し、以下の画像のように指でシャフトをつまんで回転させることで確認できます。
上の画像では分かりづらいのですが、シャフトを回転させる際はシャフト軸受けの装着もお忘れなく。
おすすめの確認手順は、プラベアリングを装着しない状態で回転させた後、プラベアリングを装着した状態で回転させ比較する方法です。
こうすることでプラベアリングがスパーギヤに干渉しているかどうか一目瞭然で、もし プラベアリングが干渉していればスムーズに回転しなくなります。
もし、プラベアリング装着時にスムーズに回転しなければ以下の対処法のいずれかを実践することをおすすめします。
・プラベアリングの設置位置を調整する
プラベアリングの位置は微弱ではありますが左右にずらことができるので、両方を外側に寄せて設置すればスパーギヤとの干渉度合いを減らすことができます。
また、プラベアリングの穴を2.2mmドリル刃で拡張させることで より左右にずらしやすくなります。
ただ、この方法は地味に面倒で無駄に時間がかかってしまうこともあるので あまりおすすめできません。
・ギヤの軸があたる箇所を調整する
この調整方法はプラベアリングを装着しないことが大前提となりますが、以下の画像のギヤの軸があたる箇所を狭めることでスパーギヤのブレを制御します。
要するにギヤの先端ではなく根本の方でブレを制御させます。
ギヤの根本側で動きを制御させる方法として手軽にできるのが、以下の画像のようにギアの軸があたる箇所にマルチテープを貼る方法です。
非常に手軽な方法である反面、駆動中にギヤがマルチテープに接触し摩耗していくため、定期的にマルチテープの交換が必要になるデメリットもあります。
・プラベアリングを片方だけ付ける
プラベアリングを左右どちらか片方だけ取り付ければ基本的にプラベアリングがスパーギヤに干渉するということはありません。
スパーギヤのブレもプラベアリング未装着時よりも 少しだけ抑えることもでき、シンプルながら効果的な調整方法でもあります。
・プラベアリングを装着しない
最初からプラベアリングを装着しないという方法で、スパーギヤが少々ブレてしまう難点はありますが、ギヤがプラベアリングに干渉することはなくなります。
実のところスパーギヤの左右のブレはセンターシャーシ側でも制御してくれています。
このため、バンパーレスユニットだけの状態で見るとスパーギヤがブレていても、センターシャーシを取り付けることでブレが大幅に抑えられることがあります。
このことから、あれこれ駆動に悩まなくても シンプルにプラベアリングを装着しない方が良かったりもして、私自身も結果的にこの方法を採用しています。
LEDライト用の穴
フロントユニット側の正面部分にはLEDライトを取り付けるための穴があいています。
この穴は以前タミヤから販売されていた発光ダイオードセットのLEDライトに合わせた形状となっています。
穴をもう少し拡張すれば最近流行りのミライトの最小サイズ(直径3mm)も取り付け可能です。
何かのギミックに使えそうな穴でもありますが、フロント部分をカットした場合はこの穴自体なくなってしまうので、特別気に必要はないかと。
使用用途不明のビス穴
バンパーレスユニットのフロント側には使用用途がないビス穴が4つあります。
下側(リヤ側)のビス穴については裏面からLEDライト用のパーツ取り付けるためのものであり、現状LEDライトセット自体が販売されていないので実質 使用用途はありません。
上側(フロント側)のビス穴についてはどういう意図で用意されたのか不明ですが、フロント提灯の支柱設置用のビス穴として使用するのもいいかもしれません。
上側のビス穴にフロント提灯の支柱を設置すれば、フロント提灯をフロントATバンパーと独立させることもできます。
それ以外にも使用用途はありそうなので、バンパーレスユニットのビス穴を活用してみてはいかがでしょうか。
MSフレキ加工
バンパーレスユニットにMSフレキ加工をすることもできます。
以下の画像はMSフレキ加工後のバンパーレスユニットとなります。
加工方法に関しては基本的に既存の強化ユニットと同様で、バンパーレスユニットの方が加工の手間は少ないです。
一部センターシャーシと接触する面積が小さいところがあり「これがガタに繋がるのでは?」と心配もあったのですが、加工後に可動を試したところガタも出ず可動も安定し問題ありませんでした。
個人的にはバンパーレスユニットとMSフレキ加工の相性は良いと思っており、MSフレキのユニットを量産したいという場合はバンパーレスユニットが最適とも思っています。
ただ、MSフレキ加工との相性が完璧かと言うとそうでもなく、以下の問題点もあります。
- 樽バネが必須となる
- お辞儀防止ステーの形を見直す必要がある
まず、『樽バネが必須となる』については、逆を言うと 樽バネを使用しない加工方法においてはバンパーレスユニットには不向きということを示します。
当サイトではMSフレキ加工において樽バネを使用しないMSフレキと樽バネを使用するMSフレキの2種類の加工方法を紹介していますが、バンパーレスユニットでは樽バネを使用しないパターンの加工はできません。
何故、できないかと言うと 樽バネの代わりに設置する通常のスプリングを置くべき箇所が傾斜になっているからです。
これにより、通常のスプリングが置けなくなり、通常のスプリングを使ったMSフレキ加工ができません。
続いて『お辞儀防止ステーの形を見直す必要がある』については、バンパーレスユニット裏面の作りが少々特殊であるために起こる問題となります。
バンパーレスユニット裏面は強化ユニットと比較すると段差になっている部分が多く、お辞儀防止ステーを取り付けた場合は以下の白枠内の箇所だけにしか あたりません。
尚、上部の円形の箇所は各バンパー・ステーなどを取り付けるために使用する部分なので、この箇所はお辞儀防止ステーの対象範囲外となります。
そして、この特殊な形状であることから、強化ユニットなどの標準のMSシャーシ用に作成したお辞儀防止ステーが使えなくなってしまいます。
このことから、バンパーレスユニット用のお辞儀防止ステーを別途作成する必要があります。
バンパーレスユニットに適応したお辞儀防止ステーの形については以下の『お辞儀防止ステー 作り方』の記事で説明しているので本記事では省略します。
強化ユニットとの比較
ここではバンパーレスユニットと強化ユニットを比較し、各種異なる部分を紹介していきます。
外観
まずは強化ユニットと外観の違いを見ていきます。
パンパーレスユニットはバンパーがないこともそうですが、それ以外の部分も随所で形状が異なっています。
ただ、各パーツと結合する重要な箇所については強化ユニットと同じ作りとなっているので、センターシャーシやステー・バンパーとの結合で不都合が生じることはありません。
重量
ここでは強化ユニットと重量を比較していきます。
ただ、そのまま重量を比較してもバンパーがないバンパーレスユニットが軽いのは明らかのなので、強化ユニットも以下の画像のようにバンパーをカットした状態で計測していきます。
そして、以下のパーツの重量を比較していきます。
- 強化ユニット
(バンパーカット状態) - バンパーレスユニット
(520ベアリング・皿ビス 装着) - バンパーレスユニット 追加パーツなし
(520ベアリング・皿ビス 未装着)
フロント | リヤ | |
(バンパーカット状態) 強化ユニット | 3.75 g | 3.88 g |
バンパーレスユニット | 3.50 g | 3.38 g |
(追加パーツなし) バンパーレスユニット | 3.15 g | 3.03 g |
強化ユニットのバンパーをカットした状態であっても、フロント・リヤ共にバンパーレスユニットの方が軽いという結果になりました。
バンパーレスユニットのフロント側についてはバンパーと干渉しそうな箇所をカットすることで更に軽くなります。
このことから軽量化目的でバンパーレスユニットを選ぶのもありかと。
その他
上記以外でのバンパーレスユニットと強化ユニットの違いを紹介していきます。
スパーギヤのブレ幅
強化ユニットと比較したスパーギヤの左右のブレ幅は以下となります。
バンパーレスユニットにプラベアリングを装着した状態が最もスパーギヤの左右のブレ幅が小さい状態となり、プラベアリグを外した状態(未装着)が最もブレ幅が大きくなります。
ただ、ブレ幅が大きいといっても 駆動に大きく影響するほどではありません。
これはユニット単体のみでのブレ幅であり『スパーギヤの駆動について』のところでも言ったようにユニットパーツだけでブレ幅が決まるわけではないので それほど気にする必要はないかと。
シャフト軸受けのサイズ
これはパーツによって個体差があるので一概にそうとは言えないのですが、強化ユニットはシャフト軸受け部分の幅が微妙に広いため そのまま取り付けるとベアリングが外れやすかったりします。
それに対してバンパーレスユニットは強化ユニットに比べてシャフト軸受けの幅がやや狭く ベアリングがしっかりとフィットしてくれます。
このシャフト軸受けサイズのフィット感は個人的に嬉しい仕様でもあります。
まとめ
実際に使ってみた結論として、標準のMSシャーシのバンパーが最初から不要という方にはおすすめできるパーツとなります。
バンパー切断の手間を省けるのもそうですが、バンパーレスユニットを使用することでパーツ代の節約にもなります。
このバンパーレスユニットと軽量センターシャーシを用意すればシャーシのベースは完成するので、わざわざマシンキットを購入する必要がありません。
一点注意して欲しいのは『バンパーレスユニット』と『軽量センターシャーシ』だけではシャーシは完成せず、以下のモーター・バッテリー周りのパーツが必要となります。
ただ、モーター・バッテリー周りのパーツはマシンキットを1つ所持していれば それを使いまわすこともできるので、気にする必要はないかもしれません。
そんな、優れたバンパーレスユニットではありますが、色がグレー1色しかないという欠点もあります。
先ほど紹介した軽量センターシャーシと組み合わせると随分地味な色合いになってしまうので、シャーシの色にこだわりがある方には向いていないかもしれません。
色に関してはバンパーレスユニットが人気商品となれば、限定色などを販売してくれるかもしれませんので、そうなることを願ってたくさん購入するのもありかもしれません(笑)
とにかく、個人的には超おすすめパーツでもあり、少しでも気になる方は実際に購入し使ってみて頂ければと思います。
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