今回はシャーシのフロント・リヤ部分にATバンパーなどの拡張パーツを取り付けるための、各シャーシの加工方法を解説していきます。
尚、本記事で解説する各シャーシの加工箇所・加工内容については当サイトの別記事で紹介しているフロント・リヤATバンパーの設置を考慮したものとなっています。
当サイト以外で紹介されている各種バンパーの取り付けにも適応できる加工内容となっていますが、バンパーの形状によってはシャーシの加工方法が異なる可能性があることをご了承願います。
シャーシ加工に必要な工具
シャーシの加工にあたり、まずは各シャーシ加工に必要な工具を紹介していきます。
すでに工具を準備済みという方は 本記事の目次から加工したいシャーシの各項目にお進みください。
今回のシャーシ加工で必要な工具は以下となります。
次からは各工具について詳しく紹介していきます。
クラフトのこ
シャーシ切断のために使用するメインの工具です。
クラフトのこ系の工具は多数ありますが、この薄刃クラフトのこは刃厚0.25mmと薄く、今回の加工では刃が薄いことの恩恵はあまりありませんが、切れ口を綺麗に仕上げることができるおすすめの工具です。
そんな優れた薄刃クラフトのこですが、全長約32cmと大きく 結構かさばり保管しづらいという難点もあります。
「サイズが大きい工具はちょっと…」という方は以下のオルファ ホビーのこがおすすめです。
刃の厚さは約0.35mmと薄刃クラフトのこに比べてやや厚いですが今回の改造に関してはこれでも十分綺麗に仕上がりますし、値段もリーズナブルで全長も約20cmと保管しやすサイズになっています。
更にこちらは別売りの替刃に付け替えることによってデザインナイフとしても使用でき幅広い用途で使えるので、ミニ四駆のみならず他のシーンでも活躍してくれる工具となっています。
ただ、ホビーのこは刃の全長が薄刃クラフトのこに比べて短いこともあり、幅が広い箇所を切断する際は少々やりづらいデメリットもあります。
ちなみに今回紹介した工具のサイズ感の目安として「タミヤ 薄刃クラフトのこ」「オルファ ホビーのこ」「ミニ四駆マシン」を並べた画像が以下となります。

いかに薄刃クラフトのこが大きいかお分かりいただけたでしょうか。
尚、今回の改造ではオルファ ホビーのこを使用する前提で加工方法を紹介しますが、ホビーのこを使用する場面では薄刃クラフトのこに変えることでより作業が楽になります。
ニッパー
今回の加工では細かい部分をカットするのに使用する工具です。
使用するニッパーのタイプの指定はありませんので、お手持ちのニッパーで問題ないんですが、個人的には上の画像の薄刃ニッパーがおすすめです。
切れ味もそうですが薄刃のおかげでパーツを切り取った際の切断面が綺麗に仕上がり、刃先が細いおかげで狭い所にも刃先を入れることができ、加工範囲がグッと増します。
また上の商品とは別に「先細薄刃ニッパー」という先程紹介した薄刃ニッパー以上に先端が細いニッパーもあり、値段もさほど変わらないので、まだニッパーを所持していない方は「先細薄刃ニッパー」を購入した方がいいかもしれません。
尚、ニッパーは特にタミヤ製であるという必要はありませんので、他メーカーでお気に入りのものがあれば それでも構いません。
ヤスリ
今回の加工では棒ヤスリ・板ヤスリを使用していきます。
主に加工の仕上げに使用する工具ですが、シャーシによってはメインで使用することがあります。
まずは棒ヤスリですが、今回の加工では比較的大きめのものが推奨です。

上の画像で言うと一番下のタイプのヤスリが今回の加工には適しており、個人的には「ツボサン ブライト900 中目」がおすすめです。
※商品名の900は番手ではなく表面硬度の値となります。
目の粗さは中目ではあるものの、加工面が綺麗に仕上がり、ヤスリの目詰まりもしにくくメンテナンス性にも優れているおすすめの一品です。
ただ、他のサイズの棒ヤスリも活躍する場面があるので、複数のサイズを用意しておくと尚良しです。
次は板ヤスリですが、こちらも基本的には棒ヤスリと同じように使用します。
今回の加工だけで言えば板ヤスリがなくても特に問題がないので、無理に用意する必要はありませんが、持っておくと加工の幅も広がる工具なので、まだ持っていない方は購入を検討してみるのもいいかもしれません。
ただ、上の画像リンク先を見てもらうとわかりますが、値段がそこそこ高く まだ加工の経験も浅い初心者の方は面食らってしまうかと思われます。
そこで「板ヤスリを買うのはちょっと…」という方は、以下の方法で板ヤスリを作ることが可能なので よろしければ試してみてください。
まず紙ヤスリを用意します。

紙ヤスリは100均のもので十分です。
次に平らな板を用意します。
平らな板は ある程度堅めで平らな物であれば何でも構いません。
もし、いい板がないのであれば100均で木製のまな板等販売しているので、こちらを使用すると良いです。

紙ヤスリと平らな板を用意したらあとは両面テープで双方をくっつけて板ヤスリの完成です。

この方法であれば紙ヤスリと平らな板を新規で用意しても、220円で板ヤスリを作ることができます。
(別途両面テープ代はかかりますが…)
手軽にできる板ヤスリではありますが、定期的に紙ヤスリを交換する手間がかかってしまうので、頻繁に板ヤスリを使うことであれば思い切って板ヤスリを買うのもありかと思います。
MSシャーシの加工

ここではMSシャーシの加工方法を解説していきます。
フロント部分の加工
MSシャーシのフロント部分であるフロントユニットに拡張パーツを取り付ける際は基本的に以下のビス穴を使用します。

そして、拡張パーツ取付用ビス穴を残す形でバンパー部分を切断していきます。

尚、カットする際はユニットカバーを外した状態にして、表面のビス穴周りの段差を活用していきます。

この段差をガイドにしてクラフトのこでバンパー部分を切断します。

切断後に僅かなバリ(不要な出っ張り)がある場合はニッパーやデザインナイフで切り落としていきます。

バリの除去が完了したら、次に切断面の両端の部分をニッパーでカットしていきます。

この箇所は追加する拡張パーツによっては干渉することがあるので基本カットしますが、場合によってはそのままでも問題ないので一旦保留にして 邪魔になってからカットでも構いません。

これでフロントユニットの加工は完了となりますが、このままではフロントユニットに取り付けるユニットカバーの部分が出っ張ったままの状態となっています。

ユニットカバーの出っ張りはそのまま残しても拡張パーツを取り付けることは可能なので、出っ張りが邪魔になってからカットする形でも構いません。
出っ張りをカットする場合は最初にニッパーでざっくりとカットして、その後棒ヤスリ・板ヤスリで整えていくやり方がおすすめです。
ニッパーを使わずにフロントユニット部分の切り口の面をガイドにしてクラフトのこを当てる方法でも削ることができます。

上の画像のようにユニットカバーの出っ張りがなくなればMSシャーシのフロント部分の加工は完了となります。
リヤ部分の加工
MSシャーシのリヤ部分であるリヤユニットに拡張パーツを取り付ける際は基本的に以下のビス穴を使用します。

上記のビス穴を残す形でバンパー部分を切断していきます。

リヤユニットの切断はユニットカバーを装着した状態でおこないます。
ユニットカバーを装着すると表面の穴周辺にのこ刃を置きやすい段差ができます。

この段差をガイドにしてクラフトのこでバンパー部分を切断します。

切断後にバリがあればニッパーやデザインナイフで切り落としていきます。
バンパー部分の切断が完了したら、ユニットカバーを取り外し、ビス穴周りのバリをニッパーでカットしていきます。

この箇所は追加する拡張パーツによってはそのままでも問題なく、場合によっては残しておいた方が良いということもあるので、カットは一旦保留にして邪魔になってからカットでも構いません。
カットする場合は最初にニッパーで大きなバリを切り落として、あとは棒ヤスリ・紙ヤスリで小さいバリを落として形を整えていきます。

これでMSシャーシのリヤ部分の加工は完了となります。
MAシャーシの加工

ここではMAシャーシの加工方法を解説していきます。
フロント部分の加工
MAシャーシのフロント部分については少々クセがある箇所でもあるので「フロント部分の切断」と「スラスト角の調整」の2つに分けて解説していきます。
フロント部分の切断
MAシャーシのフロント部分に拡張パーツを取り付ける際は基本的に以下のビス穴を使用します。

そして、拡張パーツ取付用ビス穴を残す形でフロント部分を切断していきます。

カットする際は以下の画像の段差になっている箇所をカットラインの指標としていきます。


この段差の箇所をクラフトのこのガイドにしてフロント部分を切断します。

上記の方法で切断した後は以下のような感じになります。

シャーシの切断方法に関して上記の方法が難しいということであれば、拡張パーツ取付用ビス穴にスペーサーを設置して それをのこ刃のガイドにしても構いません。

ただし、スペーサーをガイドにした場合は最初に推奨したカットラインよりもややリヤ側寄りになってしまいます。

このためのこ刃の向きが少しでも斜めになってしまうと下の画像のように斜めカットになってしまいビス穴の強度が落ちてしまう恐れがあります。


特にスペーサーを設置した箇所ののこ刃を置く箇所が滑りやすくなっているので、スペーサーをガイドにする場合はのこ刃が斜めになってしまわないよう注意してください。
こうしたことを考えると、少々やりづらくても最初に紹介した段差をガイドにしてカットした方が無難ではあります。
そして、フロントバンパー部分の切断が完了したら、次に切断面の両端の部分をニッパーでカットしていきます。

この箇所は追加する拡張パーツによっては干渉することがあるので基本カットしますが、場合によってはそのままでも問題ないので一旦保留にして 邪魔になってからカットでも構いません。
カットする際はビス穴付近の強度をしっかりと保ちカットしすぎには注意しましょう。

これでMAシャーシフロント部分のカットは完了となります。
ただし、このままでは拡張時に不都合が生じることがあるので、次に紹介する加工でフロント部分を最終調整していきます。
スラスト角の調整
MAシャーシのフロント部分の裏側は平らではなく若干の傾斜になっています。
このことから、ブレーキステーを取り付けた際に、ブレーキステー全体がアッパースラストになってしまいます。

このままの状態でも、後から追加するバンパー等のパーツでスラスト角度を調整すればダウンスラストにすることも可能です。
ただ、ブレーキステーの向きを地面に平行にしておいた方が 後の他の加工作業が楽になるので ここでスラスト角度を調整することをおすすめします。
スラスト角度の調整には板ヤスリか棒ヤスリを使用し、ビス穴付近全体を平らにしていきます。

ここで使用する工具でお勧めなのが「ツボサン ブライト900」で、削りやすさはもとよりMAシャーシとのサイズの相性も良い感じです。
今回の加工のみならず様々なシーンで活躍する工具なので、棒ヤスリを所持していない方は購入を検討してみてはいかがでしょうか。
そして、平らにする箇所はブレーキステーなどの拡張パーツを取り付けることを考慮して、ビス穴から半径1~2cm程広げて削っていきます。
ヤスリで削る場合はガイド・指標がないため、削りながら平らになっているかを確認する必要があります。
削りすぎると平らどころか逆にダウンスラストになってしまうので、「少し削っては確認」を繰り返して慎重に削っていきましょう。

削り終えたら、タイヤ・ブレーキステーを装着して地面と平行になっていることを確認してスラスト角の調整が完了となります。
リヤ部分の加工
MAシャーシのリヤ部分に拡張パーツを取り付ける際は基本的に以下のビス穴を使用します。

上記の拡張パーツ取付用ビス穴を残す形でリヤ部分を切断していきます。

より正確に切断するためにメタル軸受けとビスを用意して、拡張パーツ取付用のビス穴にメタル軸受けを設置します。

メタル軸受けの設置は表面・裏面のどちらでも構いませんが、個人的には上記のように表面に設置するのがおすすめです。
また、メタル軸受けがない場合はMAマシンのキットに同梱されているプラベアリングでも構いません。

そして、セットしたメタル軸受け(プラベアリング)をガイドにしてクラフトのこでリヤ部分を切断します。

切断する際は両端を同時にカットしなくても、片方ずつ切断しても構いません。
特にクラフトホビーのこだと刃の全長が短めで、一度に両端をカットするのが少々やりづらかったりします。
まとめてカットするのがやりづらければ、最初だけ両端をまとめて削り 少しだけ溝を作り、後は片方ずつ溝に沿ってカットする形でも構いません、
カットする際はのこ刃の向きが地面に対して垂直になるよう真っ直ぐにカットしていきます。
ビス穴自体が厚み(高さ)があることもあり、斜めに傾いた状態でのこ刃を入れてしまうとビス穴の一部が削れ ビス穴の強度が保てない状態になることがあるので注意してください。
ただし、メタル軸受けの設置によりビス穴周りの幅もそれなりに確保しているので、若干のこ刃が斜めになったぐらいではビス穴の強度には影響ないので あまり慎重になりすぎる必要もありません。

リヤ部分を切断したら仕上げにニッパーで不要となる箇所を切り落とします。
不要箇所のカットは拡張パーツによってはそのままでも問題なく、場合によっては残しておいた方が良いということもあるので、カットは一旦保留にして邪魔になってからカットでも構いません。
尚、当サイトで紹介しているリヤATバンパー・リヤアンカーに関しては不要箇所が邪魔になるので、これらを作成する場合はカットすることを推奨します。


細かいバリ(不要な出っ張り)が残った場合ははヤスリで整えていきます。
これでMAシャーシのリヤ部分の加工は完了となります。
VZシャーシの加工

ここではVZシャーシの加工方法を解説していきます。
フロント部分の加工
VZシャーシのフロント部分に拡張パーツを取り付ける際は基本的に以下のビス穴を使用します。

そして、フロントATバンパー取付用ビス穴を残す形でフロント部分を切断していきます。

より正確に切断するためにスペーサーとビスを用意して、拡張パーツ取付用のビス穴にスペーサーを設置します。


スペーサーの高さがあった方が作業がやりやすくなるので、できるだけ長いスペーサーを使用することを推奨します。
そして、設置したスペーサーをガイドにしてクラフトのこでフロント部分を切断します。

のこ刃は垂直にする
切断する際にのこ刃が斜めに入ってしまいシャーシ本体側をカットしすぎるとビス穴の強度が落ちてしまい壊れやすくなってしまいます。
そうならないためにも のこ刃向きは地面に対して垂直になるよう意識して作業をおこなってください。
フロント部分の切断が完了したら、次に切断面の両端の部分をニッパーでカットしていきます。

この箇所は追加する拡張パーツによっては干渉することがあるので基本カットしますが、場合によってはそのままでも問題ないので一旦保留にして 邪魔になってからカットでも構いません。
ここの加工も最初の切断作業と同様にビス穴の強度を落とさないようカットしすぎには十分注意しましょう。
両端を切り落として仕上がりが気になるようであれば仕上げにヤスリで綺麗に整えていきます。

これでVZシャーシのフロント部分の加工は完了となります。
ちなみに切断したフロント部分の端材についてはバンパーのスラスト角の調整で利用することもできるので、捨てずに保管しておきましょう。

端材の加工方法及び使用方法については[フロントATバンパー 作り方]記事のスラスト角の調整のところをご参照ください。
リヤ部分の加工
リヤ部分はマシンキットに付属しているリヤバンパーを取り外すだけでOKなので、無加工のままリヤ部分への拡張パーツの取り付けが可能となっています。

シャーシ加工後の拡張方法について
今回紹介してきた各シャーシの加工を施すことでブレーキステーなどのグレードアップパーツの装着が可能となります。
取り付けたブレーキステーをベースにして、ステー・プレートのパーツを追加することで以下の画像のような各種バンパーが完成します。



上記のATバンパーの作成方法については当サイトで詳しく解説しているので、興味がある方は参考にして頂ければと思います。



最後に
今回はミニ四駆改造の基本とも言えるシャーシの改造方法について解説してきました。
シャーシを加工することでミニ四駆の改造バリエーションは一気に増えるので、「まだシャーシを加工したことがない」という方は本記事をきっかけにシャーシを改造してみてはいかがでしょうか。
また、現段階で改造方法を紹介したのが「MSシャーシ」「MAシャーシ」「VZシャーシ」の3種類となっていますが、今後は他のシャーシも本記事で紹介していこうと思います。

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