前回はMAシャーシ用のリヤATバンパーType2作成に
必要なパーツ・工具を紹介しました。
今回は作成方法を紹介します。
完成形はこんな感じになります。
作業の流れとしては
①シャーシの加工
②各パーツの加工
③組立
となります。
尚、今回は小径ローハイトタイヤに対応する改造となっています。
シャーシの加工
シャーシにリヤATバンパーをつけるための加工をしていきます。
今回はこの黒丸の穴を使用するのでそれより上の不要な部分はカットしてきます。
シャーシのカットには「薄刃クラフトのこ」が適しているんですが私はそれを持っていなかったので、私の場合はリューターのダイヤモンドカッターで切断しました。
ただ凹凸が結構多い箇所なのでリューターだと正直やりづらかったです…
ニッパーで地道に切っていくのもありかと思います。
この状態だとリヤATバンパーを取り付けた際に穴付近の箇所が干渉してしまうので穴はしっかり残した形でその周りをニッパーやリューターを使い削っていきます。
仕上がりがそれほど綺麗ではありませんがほとんど見えない部分ということでOKとしましょう(笑)
これでシャーシの加工は終了です。
各パーツの加工
次は各パーツを加工していきます。
FRPリヤブレーキステーの加工
まずはFRPリヤブレーキステー(以下 ブレーキステー)の皿ビス加工です。
ブレーキステーは既存の穴に皿ビス加工をして不要部分をカットします。
今回は白丸の箇所に皿ビスを取り付けるので
リューターの皿ビス加工用ビットを使用し皿ビス加工をしていきます。
あとは不要な部分をカットして行くんですがカットしすぎると強度が落ちてしまうので極力強度を残した形でカットしていきます。
カットはリューターのダイヤモンドカッターで切り落とし同じダイヤモンドカッターの側面で形を整えていきました。
HGカーボンリヤワイドステーの加工
次はHGカーボンリヤワイドステー(以下 カーボンリヤステー)の加工です。
まずカーボンリヤステーはタミヤロゴ・文字等が入っている方を表面として利用する前提で説明していきます。
カーボンリヤステーは下段プレートとして使用しここにマスダンパーも取り付けるので新規穴の追加と既存穴の拡張・皿ビス加工を行います。
まずは穴の拡張ですが上画像の丸の穴に約3mmのアルミローラー用パイプを通せるようにします。
穴拡張は3.1mm刃のドリルが理想ですが、3.1mmがない場合は3mmでも構いません。
ただし3mmで穴を開けると ぎりぎりアルミローラー用パイプが通らないので3mmドリル刃を通したあとに円柱状のリュータービットで穴を拡張させます。
表面からドリルをかけた際に裏面の拡張穴の周りに出っ張りができたりするのでその場合はニッパーで切り取り、紙やすりでこすると綺麗になります。
そして拡張させた穴についてはATバンパーの可動をスムーズにさせるために、更に左右の方向への穴拡張とマスダンパーの可動域を少し上げるための前側への穴拡張を円柱状のリュータービットを左右前に傾かせ穴を拡張します。
また、リヤ側のバンパーについてはコースアウト防止のためにアッパースラストも有効ということで、上の画像にはありませんが前側の反対方向も拡張させるとよいかもしれません。
リヤ側のアッパースラストが有効な理由についての詳細は省略しますが
「リヤ側バンパーのアッパースラストによりリヤが上がる」
⇒「強制的にフロントが沈みコースアウトしづらくなる」という理論らしいです。
どのくらい削るかは説明が難しいんですが、まずはほんの少しだけ削ってみて、あとは組み立て後に実際の動作を確認してATバンパーの可動が今一だったら再度 穴を拡張するのが良いと思います。
次は新規の穴をあけていきます。
アンダーガードを固定するために左右2箇所ずつ穴が必要になり、一つは既存穴を使用しますが11mm・13mmローラーを利用する場合は未加工だともう一つの穴はアンダーガードと穴が合わないので、新規の穴をあける必要があります。
※アンダーガードを使用しない方法については
引っ掛かり防止ステー作成方法の紹介をご参照ください。
9mmローラーの利用であれば既存穴を使用でき新規穴の追加は不要です。
※ただしこのままだとタイヤに干渉するのと9mmローラーより先にアンダーガードが壁に接触するためアンダーガードの削る加工は必要になります。
今回は13mmローラーを使用する想定で説明していきます。
13mmローラーの場合は1つめの穴は下の画像の白丸の13mmローラー用の穴を使用し、アンダーガードの既存の穴にビスを通して固定します。
そして2つ目の穴を新規で追加するのでカーボンリヤステーの既存穴と近すぎない位置を探した結果、アンダーガードの黄色丸の穴の利用が適していたのでこの場所に新規穴をあけます。
あとは既存穴を使ってビス・ナットでアンダーガードをしっかり固定した状態で黄色丸の穴に2mmドリルを入れてカーボンリヤステーに追加穴をあけます。
※アンガーガードの位置を下向きにしすぎるとタイヤと干渉してしまうので注意です。
尚、穴あけに苦戦するという方は「カーボン・FRPの穴あけ方法の紹介」の記事で穴あけ方法を紹介していますのでそちらをご参照ください。
穴の追加が終わったらアンダーガードを取り外し最後に皿ビス加工をします。
こちらは冒頭説明したようにマスダンパーを取り付ける用途として裏面に皿ビス加工をしていきます。
ARシャーシ FRPリヤワイドステーの加工
続いてはARシャーシ FRPリヤワイドステー(以下 FRPリヤステー)
FRPリヤステーは新規穴の追加と不要部分のカットになります。
新規穴の位置は、カーボンリヤステーで追加したアンダーガード用の2個目の穴と同じ箇所にあけたいのですが、まったく同じ箇所に穴をあけないとフロントステーを結合した際にローラー位置がずれてしまうので同じ穴をあけるために、先程完成したカーボンリヤステーとFRPリヤステーの既存穴を使ってビス・ナットで固定します。
固定したら黄色丸の箇所が追加穴になるのでカーボンリヤステーの追加穴に2mmドリルをあててFRPリヤステーに追加の穴をあけます。
あとは不要箇所をカットしてFRPリヤステーは完了です。
ちなみにそのまま不要箇所をカットしなかった場合は下の画像のような形にすることも可能です。
この方が4本のビスが支柱になり強度も上がりそうなんですが、強度もほぼ変わらなさそうなのと走行中の衝撃でマスダンパーのビス2本が曲がってしまった場合にマスダンパーが正常に機能しなくなることを懸念して4本支柱の案を辞めることにしました。
アンダーガードの加工
続いてはアンダーガードの加工になります。
※アンダーガードは大径タイヤ用を使用するとスロープ走行時にブレーキステーよりも先に地面に接触するため今回は小径タイヤ用を使用します。
アンダーガードはそのままフロントステーに取り付けるとブレーキステーとタイヤに干渉してしまうので事前に干渉箇所を確認し、カットする指標となる印などを付けてリューターのダイヤモンドカッターでカットしていきます。
※カットする際はフロントステーから切り離して実施しましょう。
実際に組み立ててから確認するとわかりやすいので一旦作業を保留して、組立の際に確認して加工しても良いと思います。
アンダーガードの加工は以上となり、これで各パーツの加工は完了となります。
組立
最後にこれまで加工してきたパーツを結合してきます。
ローラー・マスダンパーの取り付け
まずは下段となるカーボンリヤステーにアンダーガードとローラーを1本のビスで固定します。
※ここでは13mmローラーと12mm丸ビスを使用しています。
次に皿ビス加工した穴にマスダンパー用の皿ビスを通してナットかロックナットで固定します。
(私は30mmの皿ビスを使用しました)
最後に皿ビスにマスダンパーを取り付けスタビキャップやゴムパイプで蓋をします。
これでカーボンリヤステーの組立は一旦完了です。
※追加した穴へのビス通しは後ほど実施します。
次に上段となるFRPリヤステーにローラーを取り付けます。
※ここでは13mmローラーと8mm丸ビスを使用しています。
上段FRPリヤステーのローラーの上下はお好きな方で構いません。
シャーシへの取り付け
次に皿ビスを使ってブレーキステーをシャーシに取り付けます。
皿ビスの長さは特に決まってませんが8mmぐらいが短すぎず長すぎずでベストかと思われます。
ブレーキステーを固定したらATバンパー可動部分用の皿ビスをセットします。
ここで使用する皿ビスの長さについては最終的にスプリング部分の固さ調整により適切な長さが決まるため一概に何mmの長さのものがいいとは決まっていないので、一旦はどのパターンでも対応できる20mmの皿ビスを用意しもう一つの皿ビス加工穴に通します。
このままの状態だと皿ビスが落ちてしまうのでブレーキステーの裏面にマルチテープ等を貼りビスが落ちないように仮固定します。
その仮固定した皿ビスに2段アルミローラー用5mmパイプ(以下 金パイプ)を左右2個づつ取り付けます。
金パイプを付けたらカーボンリヤステーの拡張した穴を金パイプに通します。
そして金パイプの箇所にスプリングをつけその上にメタル軸受けをのせます。
最後にロックナットで固定するんですが一旦工具を使わずに浅めで構わないので手でロックナットを締めていきます。
ロックナットを軽く締めたら皿ビスを仮止めしているブレーキステー裏側のテープを剥がし、プラスドライバーとボックスドライバーでがっちりロックナットを締めます。
ロックナットを締めたあとにビスの長さが余り出っ張ってしまった場合はスタビキャップやゴムパイプでカバーします。
加工したプレートの結合
最後に残りのプレートを結合させていきます。
カーボンリヤプレートの追加した穴にビスを通し自分のお好みの高さに合わせたスペーサーをセットします。
※私の場合は片側に40mmステンレスビスとスペーサーの12mmを2個、3mmを1個使用しました。
この追加したビスに、FRPリヤステーを通します。
(FRPリヤステーは追加穴を使用します)
ロックナットで締めてビスの長さが余り出っ張ってしまった場合はスタビキャップやゴムパイプでカバーして組立完了です。
お好みでブレーキステーの裏側にブレーキスポンジをつければ減速対策もできます。
可動確認
最後にリヤATバンパーの可動を確認していきます。
コースに乗り上げた際のリヤATバンパーの動作については効きが悪い場合はマルチワイドリヤステーの金パイプを通す穴の左右の箇所が狭い可能性もあるので、リューターを使っての穴の左右の拡張、もしくはグリスをつけるとスムーズになるのでご自分の納得がいく可動になるよう最終調整をしましょう。
またスプリングの固さによってATバンパーの効き具合が変わってくるので、自分の好みの可動になるスプリングを選びましょう。
あとは前側への可動も確認します。
この前側に可動させたのはマスダンパーと連動し僅かですが可動域をあげることにより、マスダンパーの効果を上げるために施しましたが本当に効果があるかはちょっと自信がないです…(笑)
それとカーボンリヤステーの改造の時にも触れましたが、リヤ側はアッパースラストの方がコースアウト防止にもなるということでマスダンパーとの連動動作をした際、逆にダウンスラストになってしまいコースアウト率が上がる可能性もあり、一長一短のギミックかもしれませんのでこれについては今後検証が必要かもしれません。
ATバンパーのぐらつき調整
スプリングを変えてもATバンパーがぐらつくという場合は、スプリング装着箇所自体の高さが長いためにスプリングの圧力が弱まりATバンパーがぐらつく可能性があります。
対応策として金パイプ1個減らし、代わりに金パイプより短いスペーサーを入れるとスプリングの圧力を上げられ、バンパーのぐらつきを解消することができます。
例として金パイプ1個と3mmスペーサーの組み合わせに変更します。
※ここでは15mm皿ビスを使用。
スプリングとメタル軸受けを乗せロックナットで固定します。
すると金パイプ2個よりも幅が狭まることによりスプリングの圧力が強くなります。
3mmスペーサーの代わりに1.5mmスペーサーに変え、ロックナットを更に深く締めると、よりスプリングの圧力が強くなりバンパーのぐらつきは更になくなります。
(ATバンパーの効きも変わってくるのでご注意を)
以上を踏まえて最終の皿ビスの長さを決めていきます。
金パイプ左右2個づつ使用するパターンであれば、皿ビスの長さを17mmにすると見た目がスッキリするんですが、皿ビスを削るのは面倒くさいということであれば20mmビスを使用し、はみ出る部分はスタビキャップ・ゴムリングなどをつけての対策でも良いです。
皿ビスのカット方法については「ビス・ネジ加工方法紹介」の記事で紹介していますので、よろしければこちらをご参照ください。
最後に
リヤATバンパーType2作成方法の紹介は以上になります。
以前紹介したフロントATバンパーとセットにすればコース復帰率もかなり増すと思いますし、フロント・リヤATバンパーの作成方法はかなり似ているのでセットで作成してみてはいかがでしょうか。
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