ヒクオ(MAシャーシ)作り方紹介 -作成編-

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前回はMAシャーシ用のヒクオ作成に必要なパーツ・工具を紹介しました。
今回はMAシャーシ用のヒクオの作成方法を紹介します。

作業の流れとしては
①シャーシ周りの加工
②各プレートの加工
③パーツの結合
④シャーシへの取付
となります。

尚、今回紹介するヒクオは以前作成したATバンパーの下画像の矢印で示したビスの箇所に適合するよう作成しており、小径ローハイトタイヤに対応する改造となっています。

また上記のフロントATバンパーを作成していなくても、以下のフロントワイドステーの穴の位置にビスを通せば、今回のヒクオを使用することが可能です。

目次

シャーシ周りの加工

ヒクオ動作時の干渉を無くすためにシャーシ周りを加工していくんですが加工対象がシャーシ、モーターカバー、電池ホルダーとなります。

シャーシの加工

まずはシャーシの加工です。


加工と言っても不要な部分をカットするだけで黒丸のサイドの部分をカットしていきます。
「薄刃クラフトのこ」が適していると思うんですが持っていない私は2.0mm刃のドリルで適度な間隔に穴を開けてニッパーで切り落とし、荒くなったところはリューターで整えました。


カットするのはリューターのダイヤモンドカッターでも良いかと。

このサイドの部分のカットについては、残していてもヒクオとは干渉しませんので面倒くさければこの加工作業はやらなくても構いません。
ただヒクオを付けることによりサイド部分にマスダンパーを付ける必要もなくなると思うので、マシン軽量化も含めカットした方が良いかと思います。

モーターカバーの加工

次はモーターカバーの加工です。


白丸の箇所が干渉してくるのでニッパーで不要な箇所を切って、あとはリューターで整えます。


この時に使用するリュータービットは100均で買える円筒形や砲弾形の直径が大きめのものだと早く削れ作業効率も良くなるのでおすすめです。

電池ホルダーの加工

最後は電池ホルダーの加工です。


黒丸の箇所が干渉してくるのでニッパーで切り落としリューターで整えます。

これでシャーシ周りの加工は完了です。

各プレートの加工

続いてはヒクオの骨格となる部分を作成していきます。

HGカーボンマルチ補強プレートの加工

まずはHGカーボンマルチ補強プレート(以下 カーボンプレート)と
FRPマルチ補強プレート(以下 マルチプレート)の加工です。

この2種類のプレートを結合させてヒクオの骨格を作っていくのですが、カーボンプレートは黄色丸の穴を使用するので不要な部分は削り、マルチプレートはプレート同士の結合するために白丸の箇所に穴が必要になるので新しい穴を追加します。

カーボンプレートの加工についてはいつものように使用する箇所を間違って削ってしまわないように、切断箇所の境界線にマルチテープ貼りました。


あとはリューターのダイヤモンドカッターで不要箇所を削り、最後に円筒形などのリュータービットで綺麗に整えていきます。
※ダイヤモンドカッター以外での削り方についてはフロント提灯作り方紹介-ベース作成編-で紹介しています。

これでカーボンプレートの形が整いましたが、このままの状態でシャーシに取り付けると穴が小さくヒクオの可動域が狭くなってしまうので、シャーシ取付用の穴をリューターのドリル状ビットを貫通させ拡張します。


さらに実際の可動域を想定し斜めにした状態でドリル状ビットを少しだけあて削っていきます。

※斜めのリューターあては各プレートを組み合わせていない状態だと間違えて違う向きにリューターをあててしまう可能性もあるので、プレートを組み合わせてから実施しても構いません。

これでカーボンプレートの加工は終了です。

FRPマルチ補強プレートの加工

次はマルチプレートの加工です。

マルチプレートは先程加工したカーボンプレート結合させるために、新規の穴をあけていきます。
マルチプレートに新規穴をあけるためのガイドとしてリヤブレーキステーを使用し、ビスとナットと使い結合させたら、以下の場所に新規の穴をあけていきます。


※穴あけに苦戦するという方は「カーボン・FRPの穴あけ方法の紹介」の記事で穴あけ方法を紹介していますので、そちらをご参照ください。

そしてこの新規穴の追加ですが、これとは別にもう1本をヒクオの骨格の強度を上げるための補強用に同じように穴を追加します。

2枚目のプレートは追加穴しか使用しないのでそれ以外の不要な箇所はカットしていきます。


この短くしたプレートは必須ではないので、2枚目の補強プレートを作成するか否かは、実際に組み立ててヒクオの強度を見てから、必要かを判断してからでも構いません。

ちなみに穴あけ用のガイドとするプレートは上のリヤブレーキステーではなく、ボールリンクマスダンパーに付属しているプレートや

以前紹介したフロントATバンパーを作成しているようであれば、そこで加工したHGカーボンリヤワイドステーを使用し穴をあける事も可能です。

ここで一点注意して欲しいのは、上記のプレートと結合させる際にマルチプレートがずれてついていないかをしっかり確認してから追加穴をあけてください。
適当に結合してしまうと下の画像のようにマルチプレートがずれてしまうことがあり、こうなると穴の位置も斜めになって不格好になってしまうのでくれぐれも注意してください。

FRPリヤーローラーステーの加工

続いてはFRPリヤーローラーステー(以下 リヤステー)の加工です。

リヤステーは白丸の箇所を使用しすべて皿ビスを取り付けていくので、まずはリューターの皿ビス加工ビットで皿ビス加工をしていきます。


皿ビス加工が終わったらビス穴に干渉しないように不要な部分をカットしていきます。
加工はこれまでカーボンプレートと同様にリューターのダイヤモンドカッターで不要箇所を削り、最後に円筒形などのリュータービットで綺麗に整えていきます。

これで各プレートの加工は完了となります。

パーツの結合

これまで作成したパーツを結合させていきます。

カーボンプレートとマルチプレートの結合

まずはカーボンプレートとマルチプレートを結合します。


カーボンプレートを下にしてトラスビス(5mm)とロックナットで結合させてます。

カーボンプレートとマルチプレートの上下については、上の写真のようにカーボンプレートを下にした方が僅かではありますがヒクオの可動範囲が大きくなります。

また、上記のようにカーボンプレートとマルチプレートが1点止めだと走行中などに衝撃を受けるとプレートがずれることもあるので、プレートをより強固に固定するため下画像のカーボンプレートの穴の位置にもう1本の短くしたマルチプレートを取り付けます。

結合プレートの表

結合プレートの裏

追加したマルチプレートはトラスビス(5mm)とロックナットで固定しています。

ここで追加するマルチプレートとカーボンプレートの位置関係は、マルチプレートを下にすると僅かにATバンパーのパーツと干渉する可能性があるので、カーボンプレートを下にするのを推奨します。

ちなみに追加プレートを使用しない場合は、最初のプレート結合時に接着剤で固定することを推奨しますが、接着剤が完全に乾くとプレートの位置が変更できなくなるので、結合作業をする前にヒクオ用ビスを取り付けたATバンパーを用意しましょう。

接着剤を付けたらすぐにビスとナットでプレートを仮固定して、一旦ATバンパーに取り付けてプレートの最終位置を調整し、ビスとナットで本締めして接着剤が乾くのを待ちます。

マルチプレートを2枚使用した場合も上記と同様に、ATバンパーのビスにヒクオを通してカーボンプレート同士が真っすぐ平行になっているかを確認し最終位置を調整します。

ただしマルチプレートを2枚使ったからといってヒクオの骨格が完全に固定されるわけではなく、コースアウトした際に強い衝撃を受けると下の画像のように歪んでしまうこともあります。

ただ、普通に走行していればプレートが歪むこともないので心配する必要はありませんが、強いて懸念するとすれば小さな大会とかで全員がコースアウトしてすぐに再レースという場面に出くわすと厄介ではあります。

リヤプレートとの結合

続いてはこの結合したプレートにリヤプレートを結合します。
結合にはスペーサー・皿ビス・ロックナットを使用します。

まずはリヤプレートの以下の場所に皿ビスを2本通します。

皿ビスの長さはタイヤ径とスペーサーの長さで変わってきますがここでは一旦25mmの皿ビスを使用しています。

リヤプレートに皿ビスを通したら、皿ビス加工した方を地面に向けてスペーサーを取り付け先程組み立てたプレートにビスを通します。

ビスを通したらロックナットで固定し反対側も同じようにリヤプレート・皿ビス・スペーサーを用意して同じく2箇所をロックナットで固定します。



尚、リヤプレートの位置は左右逆でも構いません。
この配置の方が僅かながらマスダンパー内側に寄る感じがしたので私はこの配置にしています。

また、スペーサーの長さについては個々のタイヤ径で変わってくるのでご自身のマシンにあった長さを選びましょう。
ちなみに私はペラタイヤ加工した小径タイヤに合わせて、12mm+3mm+1.5mmの計16.5mmとしています。

それと地上高ギリギリ1mmにしてしまうとヒクオが左右に傾いた際に片方が地面に擦れる可能性もあるので、少し地上高には余裕を持たせることを推奨します。

マスダンパーの取り付け

続いてリヤプレートにマスダンパーを付けていきます。
リヤプレートの残りの穴に皿ビス(30mm)を通してナットで固定し


マスダンパーを乗せて、スタビキャップをつけます。


これでパーツの結合は完了です。

シャーシへの取付

最後に、結合したヒクオプレートをシャーシに取り付けていきます。

シャーシ側は以前作成したATバンパーのプレート結合用の穴を使用し、ビスは20mmの皿ビスを使用しロックナットで固定します。

尚、ナットとプレートの間に1.5mmスペーサーを入れていますが、これはヒクオの高さを少し上げるために使用しています。


まずはこのフロントATバンパーをシャーシに取り付けます。
※フロントATバンパーの取り付け方については「フロントATバンパー(MAシャーシ)作り方紹介 -作成編-」をご参照ください。

リフターのセット

ATバンパーをシャーシに取り付けたら、結合したプレートをこのATバンパーにセットしていきますが、まずはリフター機能を持たせるための準備をします。
※リフターが何故必要かについては「フロント提灯作り方紹介 -作成編-」で説明しているのでそちらをご参照ください。

17・19mmローラー用ゴムリングを2重にしてヒクオプレートに取り付けます。


次にゴムリングをシャーシ側のビスに通しやすくするために、ビスの浅い所で留めておくようにプレートをセットします。


浅くプレートを止めた状態でゴムリングのビスから遠い方の輪っかをビスに引っ掛けます。




※ゴムリングの付け方によってリフターの強さが若干変わってくるので詳しくは「フロント提灯作り方紹介 -作成編-」を参照ください。

このままプレートごと下げていきます。
ここでゴムリングの上下のスペースが狭すぎるとヒクオの可動域が狭くなるので、ゴムリングの上下に少しの空スペースを確保するようにします。
ただ逆に空きスペースが広すぎるとヒクオが片側に傾いてバランスが悪くなるということも懸念されるので、どのくらいスペースを空けるのが良いかは実際に走行させ、ヒクオが何度可動しても左右に傾かない適切な空スペースを探していきましょう。

最後にロックナットを取り付け締め具合で適切な空スペースを調整します。

スラスト角の調整

そして、このゴムリングリフターを使用した場合後ろ側に引っ張る力が働き、下の写真のようにATバンパーのプレート間に隙間ができます。

こうなるとATバンパーの前方部分が浮きATバンパーにスラスト角調整の加工をしたつもりがスラスト角が浅くなり、酷いとアッパースラストになってしまいます。

これを解消するためにあらかじめATバンパーのスラスト角度を高めにしておきます。

ATバンパー作成時は5mmトラスビスと小ワッシャー2枚でしたがスラスト角を上げるため、8mmトラスビスに変更し1.5mmスペーサーを追加しました。


これでヒクオがない状態だと結構なスラスト角ですが、ヒクオをつけるとスラスト角もだいぶ緩やかになります。

写真のヒクオ取付後のフロントローラーはスラスト角がないようみ見えますが実際は3℃ぐらいあります。
あとは自分の好みのスラスト角になるようにスペーサーやワッシャーで調整しましょう。
ただしスプリングが固かったり、元々スプリングの圧力が強い場合はスラスト角の変化もあまりないので、ご自分の使用するスプリングの種類やスプリング圧にあった調整パーツを選択しましょう。

仕上げ・可動確認

最後に、ビスがむき出しの箇所があればゴムパイプ・スタビキャップ等で覆ってヒクオ完成です。






完成後、ヒクオを可動させてカーボンプレートの穴の加工具合やリフターの効き具合が適切かどうか確認していきましょう。


尚、ヒクオが下に降りた際にプレートがモーター部分を叩くようにも見えますが、実際はプレートがモーターにあたる前に電池ホルダーにあたるのでモーターに直接あたる事はありません。

最後に

そして完成とは言ったものの肝心のボディがなく、この状態ではレギュレーション違反となり大会に参加することができません…

そこで今回作成したプレートにクリヤーボディ(ポリカボディ)を取り付ける方法を別途クリヤーボディ取り付け方法の紹介の記事にまとめましたので、ボディの取り付けで苦戦している方はそちらをご参照ください。

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