今回はVZ・MA・MSシャーシに対応したフロント提灯の作成方法を解説していきます。
入手しやすいパーツと基本的な工具のみを使用し、誰にでも簡単にできる改造となっており、完成後のフロント提灯は以下となります。
尚、今回の作成に必要なパーツ・工具の詳細については以下の「準備編」にて紹介しているので、そちらをご参照ください。
事前準備
ここでは フロント提灯の作成にあたり事前に準備しておくことを解説していきます。
フロント提灯の支柱の位置
フロント提灯をシャーシにセットするにあたって、シャーシ側にフロント提灯を取り付けるための支柱が必要になります。
今回作成するフロント提灯の支柱の位置は以前作成方法を解説したフロントATバンパーを構成するビスとなり、以下の画像の箇所のビスにフロント提灯を取り付けていきます。
※上記フロントATバンパーの作成方法は以下の記事をご参照ください。
また、上記のフロントATバンパーを使用しなくても上記のビス穴間の横幅が一致するフロントバンパーであれば今回のフロント提灯の取り付けは可能です。
具体的なビス穴間の横幅の位置について 入手しやすいお手軽なパーツで説明すると FRPマルチワイドリヤステーの以下の位置と合うものであれば適応します。
グレードアップパーツのステー・プレートでであれば基本的に上記のFRPマルチワイドリヤステーと共通するビス穴があるため、ほぼすべてのステー・プレートに適応します。
あとはグレードアップパーツでなくてもシャーシのフロントバンパーに取り付けることも可能で今回使用するVZ・MAシャーシには共通するビス穴があります。
ただし、VZシャーシについては共通するビス穴はありますが ここにフロント提灯を取り付けるのはおすすめしません。
(理由は後述します)
ちなみに、MSシャーシの標準のフロントバンパーについては残念ながらビス穴が今回のフロント提灯とは適合しないため取り付けることができません…
しかしながら、フロントバンパーを切断して別途FRPステーなどを取り付けることでフロント提灯の装着も可能となります。
今回のフロント提灯を取り付けるフロントバンパーは必ずしも当サイトで紹介しているフロントATバンパーである必要はありません。
ただし、それ以外のステー・プレートを使ってビス穴の前後の位置が異なる場合はフロント提灯パーツの加工方法が一部変わったり、最悪フロント提灯が適合しないといったことがあるので注意してください。
例としてVZシャーシの場合、標準のフロントバンパーにフロント提灯を取り付けることは可能なんですがビス穴の位置が少し前側(フロント側)にあるため、フロント提灯の一部がVZシャーシのギヤカバーに接触してしまいます。
上画像のようにギヤカバーと干渉するすることによりフロント提灯が下まで落ちず フロント提灯の可動域が制限されてしまいます。
このように、今回作成するフロント提灯の骨格だと VZシャーシの場合はビス穴の位置が前(フロント)に寄り過ぎると いくら加工してもギヤカバーに干渉してしまいます。
以上のことから、自分オリジナルのフロントバンパーを作成する際は前(フロント)寄りにならないよう注意してください。
フロント提灯作成前にやるべきこと
上の項目で「ビス穴の前後の位置が異なる場合は加工方法が一部変わることもある」と言いましたが、同じフロントATバンパーを使った場合でもスラスト角が異なることで微妙にフロント提灯全体の前後の位置が変わります。
特にVZシャーシ・MSシャーシはビスの前後の位置が変わると加工方法が少し変わってきます。
(MAシャーシはビスの前後の位置が多少変わっても加工方法にはほぼ影響がありません)
このことからフロント提灯を作成する前に、フロント提灯の支柱を取り付けるフロント側パーツの加工はスラスト角の調整を含めてすべて完了していることが望ましいです。
ちなみに今回フロント提灯の支柱を取り付けるフロントATバンパーは約5度のスラスト角を付けた状態となっており、これに適応するフロント提灯を作成してきます。
では次からフロント提灯の作成方法を解説していきます。
フロント提灯 前部パーツの加工
ここではフロント提灯の骨格となる前部(フロント側)パーツの加工方法を解説していきます。
前部パーツについてはVZ・MA・MSシャーシいずれもカーボンマルチワイドステー(以下 マルチステー)を使用します。
マルチステーは既存ビス穴を以下の目的で使用していきます。
上記の目的で使用するための加工方法については、「VZシャーシ」と「MA・MSシャーシ」で若干異なってくるので各シャーシごとに解説していきます。
VZシャーシ用の加工方法
ここではVZシャーシ用のマルチステー加工方法を解説していきます。
(MA・MSシャーシ用のマルチステーを作りたい方は『MA・MSシャーシ用の加工方法』へお進みください)
VZシャーシ用のマルチステーの加工方法概要は以下となります。
加工作業は大きく分けて「皿ビス加工」「シャーシとの干渉箇所のカット」「ビス穴の拡張」の3つとなり、作業する順番はどれからやっても構いません。
本記事では個人的におすすめの作業順で解説していきます。
尚、加工完成後は以下の形となります。
皿ビス加工
まずはマルチステーの裏面の以下のビス穴に皿ビス加工をしていきます。
今回はロゴが入っている方を表面として使用するので ロゴがない無地の面を裏面として加工し、皿ビス加工はリューターの皿ビス加工用ビットを使用していきます。
先に皿ビス加工をしておけば次の加工作業である「シャーシとの干渉箇所のカット」時に大事な箇所を削りすぎることを回避できるので、できれば最初にやっておきたい加工作業でもあります。
シャーシとの干渉箇所のカット
フロント提灯をなるべく下まで可動させるためにシャーシやタイヤと干渉する箇所をカットしていきます。
特にVZシャーシの場合は下画像の矢印で指したフロントギヤカバーの出っ張りがフロント提灯の可動における干渉箇所となります。
左側の出っ張りはそれほど干渉しないのであまり気にする必要はありませんが、右側の出っ張りには注意が必要です。
このフロントギヤカバーの出っ張りとの干渉を回避させるために、マルチステーを以下の画像のラインでカットしていきます。
尚、左側の部分はフロントギヤカバーとほぼ干渉することもないので、右側程削る必要はありませんが、今回は左右対称の形にするため左側も右側と同じように削っていきます。
(左側のカットについてはMA・MSシャーシの加工とほぼ同じ内容でも構いません)
また、ここでのカット作業については最も警戒して慎重に作業すべき箇所でもあり、失敗するとステーの強度が落ち 最悪使い物にならなくなってしまいます。
失敗しないためにもこれから解説する手順で作業することをおすすめします。
まず この作業でおすすめの工具はリューターのダイヤモンドカッターで、これを使うことで作業スピードが格段にアップします。
このダイヤモンドカッターを使用して下画像の白いカットライン上にある 黄色く示した各ビス穴を繋ぐようにカットしていきます。
加工のコツとして、上画像のビス穴の中心を繋ぐようにリューターの刃を当てます。
そうすることで多少リューターの刃がブレても重要な箇所を削り過ぎることもなく、この後の加工作業で綺麗に整えることが可能です。
また、カットラインを間違える心配があるようであれば、下画像のようにカットラインの部分にマルチテープを貼り目印としておけば より正確にカットしやすくなります。
カットしていく順番については特に指定はありませんが、まずはカットしやすい上部と下部(下画像の①)をカットの練習を兼ねて先にやっておいた方が失敗なくできるかと思います。
※カットする際はくれぐれもカットラインを越えてしまわないよう注意しましょう。
そして、中央部分(上画像の②)のカットには より注意が必要です。
100円ショップのダイヤモンドカッターを使用した場合 表面から一気に切断しようとして刃を奥まで当てると、ダイヤモンドカッターの直径が大きいためカットしてはいけない部分まで削ってしまいます。
そこで 表面から一度にカットせずまずは溝を作るイメージで上下のカットラインを越えて削ってしまわないよう慎重に削っていきます。
ある程度の溝を作ったら今度はマルチステーの裏面からビス穴の中心を繋ぐラインをダイヤモンドカッターで表面と同じように削って中央部分を切断していきます。
カットラインに合わせたカットが完了すると以下の画像のようなざっくりとカットした形になります。
ここから 以下の内容で加工していきます。
各箇所の加工は円筒形ビットを使用して、削り過ぎないように慎重に削っていきます。
(皿ビス加工用ビットの側面も円筒形ビットとして利用することが可能です)
特に皿ビス加工したビス穴付近のカットは皿ビス加工跡に干渉してしまわないよう 裏面を確認しながら削っていきましょう。
ここでリューターを使用する際は、最初は直径が大きいビットを使用して、ある程度削ったら直径が小さいビットに変更すると 削り過ぎることなく形の微調整もやりやすくなります。
どの程度削って良いか分からない場合は、フロントバンパーにセットして加工具合を確認しながら作業していきましょう。
尚、ここでの確認の際は電池を装着していない状態でも構いません。
そして加工後の形が以下となります。
冒頭でも言ったように、左側の部分はフロントギヤカバーとほとんど干渉しないので、右側程削る必要はありませんが、今回は左右対称の形にするため左側も右側と同じように削りました。
(左側はMA・MSシャーシ用のマルチステーとほぼ同じ加工内容でも問題ありません)
それと加工後の裏面については、皿ビス加工した円の周りを両穴ともギリギリの所まで削った形で仕上がっています。
裏面から見た右側の部分は 実際のところ ここまでギリギリに削る必要はありません。
また、裏面から見た左側の部分はギリギリまで削る必要があるものの、上画像ほどきわきわまで削る必要はなく もう少し余長を残しても構いません。
尚、今回はリューターのみを使って加工したので 丸みを帯びた形になりましたが、棒ヤスリを使用して削ることで少し角ばった形に加工することも可能です。
ビス穴の拡張
マルチステーの既存のビス穴をフロント提灯の支柱となるビスに取り付けていきます。
マルチステーの既存のビス穴をフロント提灯の支柱となるビスに取り付けますが、ビス穴が無加工のままだとシャーシへの取り付けはできてもほぼほぼ可動しません。
そのため、フロント提灯としての可動をさせるために以下の位置のビス穴を斜めに拡張していきます。
ビス穴の拡張には2mmドリル刃を使用します。
基本的に電動ドリルで構いませんが、もし用意できるのであれば精密ピンデバイス等 手動で回せる工具がおすすめです。
というのも電動だと削りすぎる心配があるからで、工具の扱いに慣れていない方は できるかぎり手動でドリル刃を回せる工具が推奨となります。
2mmドリル刃が用意できたら、実際のフロント提灯の可動を想定して、マルチステーを斜めにした状態でドリル刃を回してビス穴を斜めに拡張します。
どの角度まで傾けてドリル刃で削るかでフロント提灯の最大可動域も変わってくるので、自身の可動させたい範囲に合わせてマルチステーを傾けていきます。
また、マルチステーだけの状態だとマルチステーを傾ける方向が分かりづらかったり・どの角度まで傾ければ良いか分からなかったりします。
そうした場合は、この斜めの穴加工は一旦保留にしてパーツを結合してフロント提灯の形が出来た後に、しっかりと可動する向きやどこまで可動させたいかが分かってからでも構いません。
ビス穴の斜め拡張が完了したら、VZシャーシ用のマルチステーの加工は完了になります。
MA・MSシャーシ用の加工方法
ここではMA・MSシャーシ用のマルチステー加工方法を解説していきます。
(VZシャーシ用のマルチステーを作りたい方は『VZシャーシ用の加工方法』をご参照ください)
MA・MSシャーシ用のマルチステーの加工方法概要は以下となります。
加工作業は大きく分けて「皿ビス加工」「シャーシとの干渉箇所のカット」「ビス穴の拡張」の3つとなり、どれからやっても構いませんのでやり易いと思った工程から始めてみてください。
尚、加工完成後は以下の形となります。
皿ビス加工
まずはマルチステーの裏面の以下のビス穴に皿ビス加工をしていきます。
今回はロゴが入っている方を表面として使用するので ロゴがない無地の面を裏面として加工し、皿ビス加工はリューターの皿ビス加工用ビットを使用していきます。
皿ビス加工は後回しにしても問題ありませんが、マルチステーの強度があるうちにやっておいた方が後々楽になるので、できれば最初にやっておきたい加工作業でもあります。
シャーシとの干渉箇所のカット
フロント提灯をなるべく下まで可動できるようシャーシやタイヤとの干渉を回避するために、マルチステーを以下の画像のラインでカットしていきます。
ここの作業でおすすめの工具はリューターのダイヤモンドカッターで、これを使うことで簡単にカットすることができます。
このダイヤモンドカッターを使用して下画像の白いカットライン上にある 黄色く示したビス穴の中心を経由してカットしていきます。
ただビス穴だけが目印だとカットラインを間違える可能性もあるので、心配であればVZシャーシ用の加工方法と同じようにマルチテープを貼りそれを目印として作業すれば より正確にカットしやすくなります。
そして、カットラインに合わせたカットが完了すると以下の画像のようなざっくりとカットした形になります。
ここから以下の内容で加工していきます。
各箇所の加工は円筒形ビットを使用して、削り過ぎないように慎重に削っていきます。
(皿ビス加工用ビットの側面も円筒形ビットとして利用することが可能です)
ここでリューターを使用する際は、最初は直径が大きいビットを使用して、ある程度削ったら直径が小さいビットに変更すると 削り過ぎることなく形の微調整もやりやすくなります。
どの程度削って良いか分からない場合は、フロントバンパーにセットして加工具合を確認しながら作業していきましょう。
尚、この段階での確認は電池を装着していない状態で構いません。
そして加工後の形が以下となります。
ビス穴の拡張
マルチステーの既存のビス穴をフロント提灯の支柱となるビスに取り付けますが、ビス穴が無加工のままだとシャーシへの取り付けはできてもほぼほぼ可動しません。
そのため、フロント提灯としての可動をさせるために以下の位置のビス穴を斜めに拡張していきます。
ビス穴の拡張には2mmドリル刃を使用します。
基本的に電動ドリルで構いませんが、もし用意できるのであれば精密ピンデバイス等 手動で回せる工具がおすすめです。
というのも電動だと削りすぎる心配があるからで、工具の扱いに慣れていない方は できるかぎり手動でドリル刃を回せる工具が推奨となります。
2mmドリル刃が用意できたら、実際のフロント提灯の可動を想定して、マルチステーを斜めにした状態でドリル刃を回してビス穴を斜めに拡張します。
どの角度まで傾けてドリル刃で削るかでフロント提灯の最大可動域も変わってくるので、自身の可動させたい範囲に合わせてマルチステーを傾けていきます。
また、マルチステーだけの状態だとマルチステーを傾ける方向が分かりづらかったり・どの角度まで傾ければ良いか分からなかったりします。
そうした場合は、この斜めの穴加工は一旦保留にしてパーツを結合してフロント提灯の形が出来た後に、しっかりと可動する向きやどこまで可動させたいかが分かってからでも構いません。
ビス穴の斜め拡張が完了したら、MA・MSシャーシ用のマルチステーの加工は完了になります。
実はMA・MSシャーシ用のマルチステーをもっと軽くすることが可能で、以下の形状ぐらいまで削ってしまっても問題ありません。
カーボン素材はかなり強固なので、この状態でも全然強度が保たれ 余程変なコースアウトをしない限りは まず壊れません。
ついで言うと、ここから更に削って軽量化することも可能です。
ただ、削りすぎてしまうと加工中にステーが折れた…なんてこともあり得るので 作業は慎重におこなってください。
少しでもマシンを軽くしたいという方はギリギリまで加工してみてはいかがでしょうか。
フロント提灯 後部パーツの加工
ここではフロント提灯の骨格となる後部(リヤ側)パーツの加工方法を解説していきます。
後部パーツについてはVZ・MAシャーシとMSシャーシで最適なパーツが変わってくるので各シャーシごとに解説していきます。
VZ・MAシャーシ用の加工方法
VZ・MAシャーシ用の後部パーツについては使用できるパーツの選択肢が多く以下のパーツが候補に挙がります。
今回は上記パーツの中で価格が最も安いスーパーXシャーシ・FRPリヤローラーステー(以下 リヤステー)を使った加工方法を解説していきます。
リヤステーを使用する場合のビス穴の利用目的及び、加工作業内容は以下となります。
(他のステーにも同じ位置に既存ビス穴があるので加工作業自体は違うステーでも同じ内容となります)
加工は至ってシンプルで、使用するビス穴とステー全体の強度をある程度残しておけば、自由に加工してもらって構いません。
(加工が面倒くさいということでいたら、無加工のままでも構いません)
加工方法についてはまずはリューターのダイヤモンドカッターでリヤステーの両サイドをカットして、仕上げに円筒形ビットで整えていけばより早く作業ができます。
そして加工後のリヤステーの完成形が以下となります。
今回は必要最低限の加工をしましたが、もっとスマートな形にしたり より軽くしたいのであれば更に削ってしまっても構いません。
これでVZ・MAシャーシ用の後部パーツは完成となります。
MSシャーシ用の加工方法
MSシャーシ用の後部パーツについては、今回のフロント提灯支柱のベースとなっているフロントATバンパーに最適となるVZシャーシ FRPフロントワイドステー(以下 フロントワイドステー)を使った加工方法を解説していきます。
このステーを選択した理由として、MSシャーシにおいては下画像の黒矢印で示したギヤカバーのパーツがフロント提灯と干渉し、これを回避するのに最適なステー構造をしているためです。
そして、このフロントワイドステーの使用するビス穴の利用目的及び、加工作業内容は以下となります。
中央部分のカットについては、フロント提灯の前後パーツを結合してから実際のMSシャーシに取り付け そこで干渉具合を確認してから加工するのがおすすめです。
そうすることで無駄に中央部分を削りすぎてしまうこともなくなるので、まずは中央部分以外の加工を済ましておきます。
加工方法については、最初にリューターのダイヤモンドカッターでステーの両サイドをカットして、仕上げに円筒形ビットで整えていきます。
今回は見た目をスマートにするためにカット必須ではない箇所も円筒形ビットで削り整えてみた結果が以下の形となります。
上画像の状態では まだ中央部分のカットをしていないわけですが、この状態でフロントワイドステーの加工を一旦保留して、後ほどパーツ結合及びMSシャーシに取り付け干渉箇所をしっかりと確認してからの作業でも構いません。
そして、中央部分を削ったフロントワイドステーの完成形が以下となります。
中央部分の加工には棒ヤスリを使用して角ばった形としましたが ここまで深く削る必要はなくもう少し浅めに削る程度でも問題ありません。
また、棒ヤスリではなくリューターの円筒形ビットで丸みを帯びた形で削っても構いません。
これでMSシャーシ用の後部パーツは完成となります。
MSシャーシ用の最適パーツの選び方
ここからはMSシャーシ用の後部パーツの適切なステー選び方について解説していきますので、すでに後部パーツの加工が終わった方は、この項目は読み飛ばして次の「フロント提灯の組み立て」に進んでください。
さて、MSシャーシ用の後部パーツの選定については冒頭でも言いましたが、上記のVZシャーシ FRPフロントワイドステーは以前当サイトで作成方法を解説したフロントATバンパーに適したものであって、支柱ビスの前後の位置が異なる場合は適切なステーも変わってきます。
どのステーが最適かを確認にするにはスーパーXシャーシ・FRPリヤローラーステー(以下 リヤステー)を指標として使う方法がおすすめです。
ここでは、このリヤステーを指標として 最適なステーを選ぶ方法を紹介していきます。
まずは前部パーツを完成させ、その前部パーツとリヤステーを結合させます。
(結合方法は「パーツの結合」をご参照ください)
この結合したパーツをMSシャーシにセットして、リヤステーのどちら側が干渉するかを確認します。
ここでリヤステーの中央部分の上下どちら側が干渉するかで適切なパーツが変わってきます。
リヤステーの後ろ(リヤ)側が干渉する場合はVZシャーシ FRPフロントワイドステーが適切です。
逆にリヤステーの前(フロント)側が干渉する場合はカーボンリヤワイドステーが適切となります。
では何故リヤステーの上下の干渉で最適パーツが変わるのかを、実際のリヤステーとVZシャーシ FRPフロントワイドステーを使って解説します。
まず、この2つのステーを今回のフロント提灯で使用する共通のビス穴で結合した場合に以下の状態となります。
上の両面の画像を見て頂くと分かると思いますが、互いのステーを重ねるとステー中央部分はVZシャーシ FRPフロントワイドステーがやや上(フロント)寄りの構造となっています。
リヤステー中央部分の下側(リヤ側)がシャーシと干渉する場合はVZシャーシ FRPフロントワイドステーに変えることで下側との干渉を回避することができるようになります。
このことから、リヤステーの下側(リヤ側)が干渉するケースではVZシャーシ FRPフロントワイドステーが適切なパーツとなります。
ちなみに先程のMSシャーシに結合したパーツをセットした状態ではリヤステーの下側が干渉していたため、上記のVZシャーシ FRPフロントワイドステーが適切ということになります。
では、逆にリヤステーの上側が干渉する場合はと言うと、これについてはステー中央部分がリヤステーよりも下側にあるパーツがないためリヤステーの中央部分を加工するしかありません。
しかし、リヤステーの中央部分は見ての通り既存のビス穴があるため、削ってしまうとリヤステーの中央部分の強度が極端に落ちてしまい走行中に折れてしまうことがあります…
そんな問題を補うのがカーボンリヤワイドステーで、カーボン製ということでリヤステーと同じ面積でも強度を保つことができます。
それと、僅かではありますがリヤステーよりも下(リヤ)側の面積が広いため、中央部分の上側を削ってもリヤステーよりも高い強度を保ち より実践向けとなります。
このことから、リヤステーの上側(フロント側)が干渉するケースではカーボンリヤワイドステーが適切なパーツとなります。
以上がMSシャーシ用の後部パーツの選び方の解説となります。
どのステーが最適かを確認するためにスーパーXシャーシ・FRPリヤローラーステー自体が必要にはなってしまいます。
しかし、他のFRPステーと比べても安く買え 持っていればどこかで使う可能性が高いパーツでもあるので、1つ持っておくと良いかもしれません。
フロント提灯の組み立て
ここではフロント提灯の組み立て方を解説していきます。
フロント提灯の組み立て方は どのシャーシ用のパーツ構成でも同じなので、ここではVZシャーシ用のパーツを使ったフロント提灯の組み立て例を紹介していきます。
パーツの結合
加工した前部パーツと後部パーツを結合してフロント提灯の骨格を作っていきます。
結合はする際は前部パーツを下にして、下(裏面)から皿ビス(6mm)を通して表面からロックナットで固定していきます。
これでフロント提灯の骨格は完成です。
マスダンパーの取付
フロント提灯組み立ての仕上げに フロント提灯の骨格の以下の箇所にマスダンパーを取り付けていきます。
マスダンパーの取付には鍋ビスを使用していきますが、マスダンパーはお好みのものを使用し 鍋ビスについてはシャーシ・タイヤ径に合った適切な長さのものを使用していきます。
まずビスにマスダンパーを取り付け、その後ナットを取り付けます。
このマスダンパー・ナットを取り付けたビスをフロント提灯裏面のビス穴から通します。
そして、上からロックナットを付けます。
あとはビスの先端部分が地上高1mm以上の高さをキープできるよう、ナットとロックナットで調整します。
ちなみにこのナットを締める際は、ロックナットをボックスドライバーで固定して、簡易スパナでナットを締めるとしっかりと固定することができます。
これでマスダンパーの取付が完了し、フロント提灯の完成です。
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仕上げ
最後にフロント提灯をシャーシにセットし、フロント提灯が可動できる状態にしていきます。
シャーシへの取り付け
完成したフロント提灯を以下のビスに取り付けます。
ここでのシャーシ側のビスの長さについてはこのあと紹介するリフターの種類により適切な長さが変わってくるので一概に何mmがベストとは言えません。
目安として15mmほどの幅を確保しておけば問題ないかと思うので、それぐらいの幅を確保できる長さのビスをフロントATバンパーに取り付けていきます。
そしてフロント提灯の効果をより上げるためにリフターが必須となるわけですが、今回はゴムリングをリフターとして使用します。
※ゴムリングの取り付け方法については別記事[リフターの作り方・使い方]の『ゴムリフターの取り付け』にて解説しているのでそちらをご確認ください。
リフターについてはゴムリングではなくクリヤーパーツを使用したパターンもあり、そちらについても以下の記事にて作り方・使い方を解説しているので よろしければご参照ください。
まず、ここでの話はMSシャーシを使用していて且つMSフレキ加工をしている場合のみとなります。
フロント側のパーツ固定にロックナットを使用した際に、ロックナットを固定するビスに余長があると その部分がフロント提灯と干渉し 可動域が少し制限されてしまうことがあります。
上画像はMSフレキ構造且つシャーシの裏面にはお辞儀防止ステーを装着した状態で15mmの皿ビスを使用しています。
15mmの皿ビスを使用すると上の画像のようにビスがはみ出てフロント提灯と干渉してしまうわけですが、もう1段階短い12mmの皿ビスにすると今度はビスが短すぎてしっかりと固定できなくなります…
この問題については15mm皿ビスを加工して約13.5mmに長さに変えることで解消できます。
ビス加工には一手間かかるので必須作業とは言いませんが、フロント提灯をどうしても下まで落としたいということであればビス加工をおすすめします。
このように何らかシャーシ側を加工していると、思わぬところでフロント提灯が干渉してしまうことがあります。
このことから、フロント提灯の完成具合を確認する際は 実際にフロント提灯を取り付けたい加工済みのシャーシで確かめることをおすすめします。
ビスの加工方法については以下の記事をご参照ください。
可動確認
フロント提灯をシャーシにセットし終えたら、フロント提灯がシャーシと干渉していないかを確認します。
更に、実際にマシンを上から落としたりして落下中にフロント提灯が浮いているかなどフロント提灯の可動も確認します。
もし、フロント提灯がシャーシと干渉していたり、想定していた可動域が出なかったりした場合は、問題がある箇所を特定し再度加工して調整していきます。
特にフロント提灯の骨格のどこかがシャーシと当たっていないか・フロント提灯前部パーツのビス穴拡張がしっかりとできているのかなどの確認をお忘れなく。
問題なく可動すればフロント提灯の完成となります。
そして、各シャーシ用の完成したフロント提灯が以下となります。
・VZシャーシ用フロント提灯
・MAシャーシ用フロント提灯
・MSシャーシ用フロント提灯
ボディのセット
これでフロント提灯が完成したわけですが、ミニ四駆公認の競技会規則ではボディ装着が必須なため このままの状態では公式大会に参加することができません。
そのボディ装着をして本当の意味でフロント提灯が完成となるわけですが、フロント提灯との相性を考えるとクリヤーボディ(ポリカボディ)がおすすめです。
尚、クリヤーボディの取り付け方については以下の記事にて解説しています。
フロント提灯へのボディの取り付け方がわからない方・ボディの取り付けで苦戦している方は上記記事をご参照ください。
最後に
フロント提灯については過去に今回解説したものとは別の形のものも紹介してきました。
今回解説したフロント提灯はこれまでものと比較してシンプルな作りでありながらパーツ間をしっかり固定でき ぐらつかない構造となっています。
更に見た目もこれまで作成したフロント提灯の中では最もカッコいい形だと思っており、個人的には非常に気に入っているフロント提灯となります。
フロント提灯自体は必須ではないものの、必要になるケースも多々出てくると思うので まだフロント提灯を作ったことがない方はこれを機に作ってみてはいかがでしょうか。
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