ATスライドダンパー(ATスラダン) 作り方・作成方法【ミニ四駆 改造】

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今回はミニ四駆のATスライドダンパー(ATスラダン)の作成方法を解説していきます。

対応シャーシについては今回作成するATスライドダンパーのベースとなるフロントATバンパーを取り付けることができるものであればOKで、今回はVZ・MA・MSシャーシをメインに解説していきます。

今回の改造のコンセプトとしては、入手しやすいパーツでシンプルな改造を目指したので初心者の方でも比較的簡単にできる改造となっており完成したATスライドダンパーは以下のような形となります。

目次

必要パーツ・工具

今回紹介するATスライドダンパー作成に必要なパーツ・工具に関しては、当サイトの別記事[フロントATバンパー 作り方【準備編】]で紹介しているフロントATバンパーをベースとしています。

このため、別記事[フロントATバンパー 作り方【準備編】]で紹介しているパーツ・工具を用意していることを前提として それ以外に別途必要となるパーツ・工具を紹介していきます。

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※すぐに加工作業へ取り掛かりたい方は次の『事前準備』へお進みください。

必要パーツ

フロントワイドスライドダンパー


今回のATスライドダンパーの作成に必須なパーツとなります。

この一式セットの中で使用するのは上蓋スプリングアルミプレートとなり、アルミプレートはATスライドダンパーの構成パーツとしては使用しませんがパーツ加工用の型枠として使用していきます。

フロントワイドスライドダンパー用カーボンステー

このパーツを使用することで今回の加工作業が格段に楽になるわけですが、このパーツには致命的な欠点があります。
それは入手しづらいということです…

最近では再販され入手しやすくはなりましたが、限定パーツということで再び入手困難になる可能性もあります。

このことから昨今のパーツ入手状況を考慮して、フロントワイドスライドダンパー用カーボンステーの代わりになるパーツを紹介し、その代用パーツをメインとした改造方法を解説していきます。

カーボンマルチワイドリヤステー

フロントワイドスライドダンパー用カーボンステーを用意できない場合はこのパーツが必要になります。

ただし、このパーツは限定品ということもあり必ずしも定価で入手できるものではありません。

とは言え、Amazonにて定期的に在庫が復活して定価以下で買えることも多々あり、定期的にAmazonやその他ネット販売サイトをチェックしていれば購入チャンスがあるパーツです。

また、毎年 夏頃にロゴを変えたものが新製品として発売され、夏前ぐらいからAmazonをチェックしておけば事前予約もできます。
(2023年版は販売されないことが確定しています…)

今回の改造以外で度々使用する頻度が高いパーツでもあるので、購入チャンスがあればとりあえず買っておいて損はないパーツかと思います。

ちなみにカーボンマルチワイドリヤステーを使用する場合はステーの強度の関係のため2枚用意しておきたいパーツになります。

ただ、価格・入手のしやすさを考慮するとできれば複数枚使用は避けたいところで そうした場合は2枚目の代用品として次に紹介するパーツで補います。

FRPマルチワイドリヤステー


ステーの強度を上げるためにカーボンマルチワイドリヤステーとセットで使用するパーツとなります。

今回の改造では適切なステーの厚み・強度にするためにプレートを2枚重ねて使用することを推奨し、カーボンマルチワイドリヤステーの2枚重ねが理想です。

しかし、カーボンマルチワイドリヤステーが入手しづらい・予算的に厳しいという場合はこのパーツで代用します。

尚、このパーツ単体では使用は不可であくまでカーボンマルチワイドステーが1枚ある前提になるので ご注意ください。

必要工具

電動リューター用 ビット5本

こちらはフロントATバンパー作成時は持っていれば尚良しぐらいの工具でしたが、今回の改造では必須級となります。

必須となるビットは細めの円筒形ビットとなります。


他のビットは今回の改造では必須ではありませんが、他の改造で活躍するケースも多々あるので持っていない方はこれを機に購入するのもありかと思います。

小さめの棒ヤスリ

基本的に今回の加工はリューターで事足りますが、一部 角ばった形に加工するところがあり そこでは棒ヤスリが必要となり、更にその棒ヤスリも小さめのものが必要となります。

使用する棒ヤスリは特に指定はありませんが上記のやすりセットであれば100円ショップで購入可能で、他の改造でも度々使用する機会があるのでおすすめです。

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事前準備

今回のATスライドダンパーの作成にあたり事前にフロントATバンパーのベースを作成しておく必要があり、以下の構成まで組み立てできるよう各パーツの加工が終わっている状態である必要があります。

各パーツの加工については[フロントATバンパー作成方法]の記事内の「シャーシの加工」「リヤブレーキステーの加工」「カーボンマルチ強化プレートの加工」項目の中で解説しています。

まだこれらの加工が完了していない方は上記のリンクを参照し加工を終わらせておいてください。

今回はこれらが完成している前提で解説を進めていきます。

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バンパーの加工

ここではATスライドダンパーのバンパー部分の加工方法について、カーボンマルチワイドリヤステー(以下 カーボンマルチステー)をメインで使用した場合の加工方法を解説していきます。


フロントワイドスライドダンパー用カーボンステーを使用する場合は一部の加工手順を省略することが可能です。

カーボンマルチステーをスライドダンパーとして使用するためにフロントワイドスライドダンパーセットに付属しているアルミプレート(以下 スライドアルミプレート)の以下の箇所を参考にしていきます。


バンパーのスライドする箇所をスライドレール、スプリングを設置する箇所をスプリングスペースと名称で以後 解説を進めて行きます。

そして、このバンパー加工の項目ではカーボンマルチステーを上画像のスライドアルミプレートに近い形するための加工方法を、各箇所ごとに解説していきます。

既存ビス穴の拡張

ここではカーボンマルチステーにスライド機能を持たせるために既存ビス穴を拡張してスライドレールスプリングスペースを作っていきます。

フロントワイドスライドダンパー用カーボンステーを使用する場合は既存ビス穴の拡張作業は不要となります。

スライドアルミプレートを既存ビス穴の拡張用の型枠として使用するので、まずはカーボンマルチステースライドアルミプレートビスナットを使って結合させます。


ステー同士のズレを防ぐため できればビスで4箇所以上固定することを推奨します。

ステーの結合が完了したら以下の加工作業を実施していきますが、最初からカーボンマルチステー2枚(もしくはカーボンマルチステー1枚FRPマルチワイドリヤステー1枚)を結合させても構いません。

ただ、個人的には既存ビス穴の拡張作業は1枚ずつ実施することを推奨します。

と言いますのも、2枚重ねた方がまとめて削れるので作業時間も短くできるのですが、既存ビス穴の拡張は削りすぎてしまうとスライドダンパーのガタつきの原因となってしまいます。

1枚ずつ分けて加工すれば1枚を削り過ぎてしまっても もう1枚の方で削り過ぎをカバーすることができることから別々に加工した方がリスク回避ができます。

このことから加工の腕に自信があるのであれば2枚重ねての作業で問題ありませんが、初めてATスライドダンパーを作成する場合は大事を取って1枚ずつ作業することを推奨します。

スライドレールの作成

バンパーをスライドさせるためのスライドレールを作っていきます。

カーボンマルチステーのスライドレールに該当する箇所に既存ビス穴があるので、これを拡張してスライドレールを作っていきます。

ビス穴拡張にはリューターの電動リューター用 ビット5本に含まれる細めの円筒形ビットを使用します。

このビットの直径がビスとほぼほぼ同じ直径で ビス穴にフィットするので、スライドレール上にある既存ビス穴にリュータービットを入れ スライドアルミプレートの形に添って削っていきます。

削り具合については、スライドアルミプレート合わせて両端目一杯削る必要はなく、横幅は少し狭めにしても構いません。

昨今のスラダンは比較的可動域が狭いのが主流でもあるので、一旦 横幅は少し狭めに留めておくのが良いかもしれません。

スライドアルミプレートもリューターで削れてしまう

スライドアルミプレートを型枠としてカーボンマルチステーを削っていくと、スライドアルミプレート自体も削れてしまいます。

スライドアルミプレートを削りすぎてしまうとレールの幅が拡張し、結果ガタの原因になってしまうので、極力リュータービットをスライドアルミプレートに当てないよう意識していきましょう。

ちなみにリューターでアルミプレートを削っても特に甲高い異音が出るわけでなく、音はほとんど変わらず削った感触が気持ち少しだけ違う程度で 削っているかどうか気づきにくいので注意してください。

削りすぎるとステーの強度が落ちる

スライドレールの外側をスライドアルミプレートとまったく同じところまで削ってしまうとカーボンマルチステーの強度が落ちてしまうので以下の画像のように強度が落ちない程度のところで止めておきましょう。

表面ばかり見ているとカーボンマルチステーの削れ具合に気付かないので ある程度削ったら裏面を確認しながら慎重に削るようにしましょう。

尚、内側の方はスライドアルミプレートに合わせて削っても強度にはほぼ影響しませんが、外側の加工具合と連動し削りすぎても意味がないため、外側に合わせた程度に削っていきます。

カーボンマルチステーの強度を保てる程度に既存ビス穴を拡張したらスライドレールの作成は完了です。

スプリングスペースの作成

バンパーのスライド動作を調整するためのスプリングスペースを作っていきます。

こちらもスライドレールの作成と同様に細めの円筒形ビットで既存ビス穴を拡張していきます。

スプリングスペースは比較的広めのスペースとなり、細めの円筒形ビットだけで削ると時間がかかるので、ある程度削って穴が大きくなったら直径が太めの円筒形ビットに交換して削ると作業が早くなります。

そしてギリギリの所まで削ったら、もう一度細めの円筒形ビットに交換して出来る限り角の部分を削っていきます。

上の画像はリューターで削れるところまで削った状態ですが、まだ角に丸みがありこのままではスプリングが綺麗に入らないので、小さめの棒ヤスリで四隅を削けずり 角ばった状態にしていきます。

あとはスプリングを入れてみて綺麗に収まればスプリングスペースの作成が完了となります。

FRPマルチワイドリヤステーの加工

ここではカーボンマルチステー干渉箇所カットの解説の前にFRPマルチワイドリヤステー(以下 FRPマルチステー)の加工について解説していきます。

FRPマルチステーはバンパーの2枚目として使用可能で、カーボンマルチステーを2枚用意するのが厳しいという場合はこのパーツで代用していきます。

加工方法についてはカーボンマルチステーと同じように、まずはスライドアルミプレートと結合させます。

そして、FRPマルチステーの場合はスプリングスペースの箇所にリューターの円筒形ビットを通せるスペースがありません。

そこで穴拡張作業をやり易くするために、ステー結合前にスプリングスペース箇所をリューターで適当に削って、リュータービットを通せるスペースを作っておきましょう

リュータービットを通せるスペースを作ったら、スライドアルミプレートと結合させ 後はカーボンマルチステー既存ビス穴の拡張と同様の方法でリューター棒ヤスリを使用してスライドレールとスプリングスペースを作っていきます。

上の画像は加工後のFRPマルチステーとなりますが、見て分かるように強度が弱く、スプリングスペースの上部がなく、これ単体ではスライドダンパーとして使用できません。

しかし、カーボンマルチステーと組み合わせることでそれらの問題は解消されるので この形状で問題ありません。

ステーの結合

ステーの既存ビス穴の拡張が完了したら干渉箇所をカットしていくわけですが、干渉箇所カット前にステー2枚を結合させてくことをおすすめします。

今回はカーボンマルチステーFRPマルチステーの2枚を使用するパターンを紹介し、これらのステーは接着剤で結合させます。

ステー同士の結合方法については以下の「ステー・プレートの補強方法」の記事にて詳しく解説しているので そちらをご参照ください。

そして、カーボンマルチステーFRPマルチステーの2枚を結合させた状態が以下となります。

引っ掛かり防止加工をする場合は、結合前(接着前)におこなう。

2枚のステーを結合(接着)してから引っ掛かり防止加工をしようとすると、使用するローラー径によってはかなり難しくなることがあります。

このことから引っ掛かり防止加工は結合前(接着前)におこなうようにしてください。

引っ掛かり防止加工のやり方については以下の記事にて詳細を解説しているので こちらをご参照くださ。

干渉箇所のカット

既存ビス穴の拡張 及びステーの結合が完了したら、ATスライドダンパー支柱・シャーシ・タイヤと干渉する箇所を削っていきます。

まず、干渉箇所カットの前に どのくらい削るべきかを確認できるようにするための準備をします。

確認の準備は、ATスライドダンパーを取り付けるシャーシを用意し、フロント部分にブレーキステーマルチプレート周りの各パーツを取り付けます。

ここでのシャーシ側の構成は加工具合を確認できれば良いので、マルチプレートには長めのステー結合用ビスを通してナットで固定しておきます。

それでは次から順を追って干渉箇所カットの方法を解説していきます。

フェーズ1

フェーズ1ではカーボンマルチステーの突起している不要箇所をカットしていきます。

上部のカットについてはもう少し下の方までカットした方が見た目がスッキリします。

ただ、バンパーの強度をそれなりに確保したいことと 上の箇所を少し残してもATスライドダンパー支柱と干渉しないことからカットする位置を少し上の方にしています。

カットに関してはリューターのダイヤモンドカッターを使用します。

これでフェーズ1の加工は完了です。

フェーズ2

フェーズ2ではバンパー支柱・タイヤ・シャーシと干渉する箇所を削っていきます。

バンパー上部の加工については未加工のままでも取り付けることは可能ですが、そのままだとバンパーがダウンスラストに傾いた際にバンパー支柱と干渉してしまうので削る必要があります。

バンパー下部の加工についてはタイヤ径とシャーシタイプによって加工具合が異なります。

VZシャーシ用のバンパーは全体的に後ろ(リヤ)寄りなのでそれなりに削る必要があるのに対して、MA・MSシャーシ用のバンパーはVZシャーシ用のものと比較するとやや前(フロント)寄りなのであまり削る必要はありません。

上部・下部ともにどのくらい削ってよいか分からない場合はバンパーをシャーシにセットして干渉箇所を確認していきましょう。

そして削る作業にはリューターの円筒形ビットを使用し、最初は太めの円筒形ビットを使い ある程度削れてきたら細目の円筒形ビットで微調整すると良いです。

また、加工時の注意点としてバンパーがスライド(左右に移動)した場合の干渉具合も想定して削っていきます。

以下の画像が干渉箇所カットを実施する前と実施した後となります。

今回はどのシャーシ(VZ・MA・MS)にも適用できるよう 全体的に深く削りましたが、どのシャーシかに絞ればここまで削る必要もありません。

スライドの可動域確認

干渉箇所のカットが完了したら、仮組みしたフロント部分にバンパーを取り付けます。

この状態でバンパーを左右に動かして、どのくらい可動するか・スムーズにバンパーが移動するか を確認していきます。

上記の加工状態だと内側のスライドレールの削れ具合が足りないため 可動域が若干狭くなっているので、もう少し可動域を広げるためにスライドレールの内側の部分をリューターで削っていきます。

ただし可動域が広いことが正解ではないので、削るべきか迷った場合は一旦スライドレールの加工は保留でも構いません。

削ったら再度可動域を確認して問題なければバンパー部分の加工は完了となります。

上蓋の加工

ここではATスライドダンパーのバンパーの上に載せる上蓋の加工について解説していきます。

干渉箇所のカット

上蓋はバンパーと同じようにATスライドダンパー支柱・タイヤ・シャーシと干渉する箇所をカットしていきますが、どこを削るというよりも以下の箇所さえ残して強度をある程度保てる形であれば自由にカットしてもらって構いません。

加工に使用する工具も特にこれでなくては駄目ということもなくニッパーでざっくりカットしてヤスリで整えるのもありですし、バンパー部分同様にリューターを使って削っていく方法もありです。

加工方法の一例としてリューターを使用する場合の方法を簡単に説明しますが、上蓋上部についてはごっそり削って構わないので、まずは上部の枠に沿ってダイヤモンドカッターで切り落とします。


この切り取った端材は後に利用できるので捨てないで保管しておきましょう。

あとは円筒型ビットでATスライドダンパー支柱に干渉しないところまで削っていきます。

下部についても上部と同じ加工方法で問題ありませんが、ビス穴の箇所でスラスト角調整をおこなう場合はビス穴付近の箇所は切り落とさずに残しておきます。

上蓋以外の方法でスラスト角を調整する場合は下部のビス穴周りは不要となるので、カットしてしまって構いません。

スライド可動域の拡張

ここで紹介する「スライド可動域の拡張」については必須ではありませんので必要と思った場合のみ作業するようにしてください。

上蓋の干渉箇所のカットが終わったら、スライドダンパーの可動域を拡張するために上蓋裏面のビス穴周りの出っ張りをカットしていきます。


フロントワイドスライドダンパー用カーボンステーを使用する場合は一旦ここの加工は保留しておくことを推奨します。

出っ張りはニッパーで切り落として、わずかな出っ張りが残っているようであれば紙ヤスリ等でビス穴周りを平らにしていきます。

これでスライド可動域の拡張が完了となるわけですが、昨今ではスライド可動域は狭めがトレンドでもあるので、ここの加工は一旦保留にて 可動式を広くしたいと思ってからの加工でも構いません。

尚、可動域を広げた場合でも後から可動域を狭くすることは可能なので、加工してしまったからと言っても取り返しがつかないわけではないのでご安心を。

スプリングスペースの底上げ

上蓋をこのまま取り付けるとスプリングスペースに若干の空スペースができるので、その空スペースを埋めるためにスプリングスペースの底上げをしていきます。


フロントワイドスライドダンパー用カーボンステーを使用する場合は上蓋の底上げは不要となります。

バンパー部分を1.5mmステー2枚(厚さ3mm)の構成とした場合、上蓋をそのまま取り付けると空スペースが1mm程できます。

この空きスペースを埋めるために上画像のスプリングスペース箇所の奥に厚さ1mm程の端材を取り付け底上げをするわけですが、底上げしなくてもスプリングは設置でき 普通に可動してくれるので必須作業ではありません。

ただし、若干ではありますが厚さ1mm程底上げした方がバンパー部分にスプリングが力が伝わりやすくなり、特にスライドした後の元の状態に戻る動作がスムーズになるので、多少手間ではありますがやっておきたい作業でもあります。

底上げに使う端材は厚さ1mm程のものであれば何でもいいんですが、個人的にはミニ四駆キャッチャーの端材がおすすめで、必要になる面積も非常に小さいので ミニ四駆キャッチャーの端のわずかな部分を切り取りするだけでOKです。

他に使える素材としては先程の上蓋の側面カットの際にリューターで綺麗にカットしていればそれを使うことも可能です。

これもミニ四駆キャッチャーと同様に厚さ1mmと底上げ素材に適しています。

ただ、切り取った後の状態が少し湾曲になっているので貼り付ける前に真っすぐの状態にしておく必要があります。

底上げのために必要なサイズは横7mm・縦3mm未満(3mmだと微妙に大きいため)となり、少しでもサイズが大きくなると上蓋の底にうまく入らないので このサイズよりも若干小さめでも構いません。

端材のカットにはニッパーを使うと簡単に切り取ることができます。

底上げの端材を用意したら、スプリングスペースの底に接着剤で貼り付けてスプリングスペースの底上げは完了となります。

仕上げ

ここではATスライドダンパーの組み立てから各可動の調整をして、ATスラインドダンパー作成を仕上げていきます。

パーツの結合

これまで加工してきた「バンパー上蓋 そして「加工済みのカーボンマルチ強化プレートの以下の箇所をビス・大ワッシャー・ロックナットで結合していきます。

カーボンマルチ強化プレートの加工方法についてはフロントATバンパー作り方解説記事の「カーボンマルチ強化プレートの加工」の項目をご参照ください。

まずはカーボンマルチ強化プレートの上にバンパーを乗せ ビスを通し、バンパーのスプリングスペースにスプリングを設置します。


※今回はフロント提灯を取り付けることを想定して長めのビスを使っていますが、フロント提灯を取り付ける予定がなければビスはもっと短くても構いません。

この上に上蓋をかぶせ スプリングがしっかり上蓋のスプリングスペースに収まっていることと確認し、ビスの所に大ワッシャーを取り付けます。

後はロックナットで固定していきますが、上のパーツ結合の状態からロックナットで固定しようとすると片手にプラスドライバー 反対の手にボックスドライバーを持って作業する必要があります。

これが地味に面倒で、作業時に上蓋がずれてスプリングが外れてしまうということがあります。

もし、うまくロックナットが固定できないようであれば、下の画像のようにマルチテープ等で一時的にバンパー全体を固定しておけば作業中にスプリングが取れるということもありませんので試してみてください。

ビス・ロックナットでバンパー全体を固定できたらパーツ結合は完了となります。

    

ロックナットを締めすぎない

ロックナットをきつく締めすぎるとバンパーが完全に固定されてスライド可動しなくなります。

ただし、緩くなると今度は逆にバンパー結合が不安定になりバンパー自体ガタついてしまうので、バンパーの各パーツがしっかり固定されつつもバンパーがスムーズにスライドする硬さでロックナットを締めていきましょう。

スラスト角の調整

最後の工程の組み立ての前に上蓋を使用してスラスト角を調整する方法を解説していきます。

上蓋を使わず別の方法でスラスト角を調整する場合は次の「シャーシへの取り付け」にお進みください。

スラスト角の調整には以下の画像の上蓋のビス穴箇所を使用します。

この箇所にビス・ワッシャー・スペーサーで高さを調整してナットで固定してきます。

一例として上の画像ではトラスビス(8mm)・小ワッシャー3枚・ナットを使用しています。

そしてこのビスを取り付けた箇所が丁度シャーシと接触し、それによりバンパーがダウンスラストになりスラスト角がつくようになります。

使用するワッシャーやスペーサーの幅についてはシャーシによってビスの当たる位置が異なるので、仮にスラスト角を5°にしようとした場合でもシャーシごとに適切なワッシャー・スペーサーが変わってきます。

上記方法でスラスト角を調整する際の注意点として 下の画像のようにスペーサー・ワッシャーがバンパーと接触してしまうとスライド動作がスムーズにいかず 最悪スライドしなくなってしまいます。

この場合はバンパー側を削ってビス・スペーサーが接触しないようにしましょう。

また、上蓋のビス穴箇所を使った別のスラスト角調整方法として、ビス・スペーサーなどを取り付けなくてもシャーシ側で高さを盛ることでもスラスト角の調整が可能です。

上蓋を使わないスラスト角調整方法ついてはフロントATバンパー作り方解説記事の「スラスト角の調整」の項目をご参照ください。

シャーシへの取り付け

最後に結合させたATスライドダンパーをシャーシにセットしていきます。

シャーシへの取り付けに使用するパーツ・取り付け手順についてはフロントATバンパーと同じ方法となります。

ここでのシャーシへの取り付け作業については 別記事[フロントATバンパー作り方 解説]記事内の「組み立て」の項目にて詳しく解説していているので そちらをご参照ください。

あとはお好みのローラーを取り付け、バンパー部分に引っ掛かり防止の加工を施してATスライドダンパーの完成となります。

可動の確認

ATスライドダンパーが完成したら、壁などにマシンを押し当てスライドダンパーを可動させ、適切な硬さ・適切な可動範囲であるかを確認してきます。

また、フェンスに乗り上げた際のいなし機能もしっかりと機能するかを確認していきます。


いなし機能の調整方法についてはATスライドダンパーのベースとしているフロントATバンパーに依存してくるので、フロントATバンパー作成記事をご参照ください。

ここではスライドダンパーの硬さ・可動範囲の調整方法を解説していきます。

硬さの調整

スライドの硬さの調整については大きく分けて「ロックナット」「スプリング」の2つがありそれぞれの調整方法を個別に解説していきます。

・ロックナットでの調整

バンパーの各パーツを結合しているロックナットの締め具合でスライドの硬さを調整することができます。

ロックナットを締め具合を変えるだけで自在にスライドの硬さを変更できるわけですが、非常にシビアな作業であり 締めすぎればスライドしなくなりますし 緩めればATスライドダンパー自体がガタついてしまったりもします。

後述する『スムーズにスライドさせる方法』でも ロックナットの調整が重要となってくるため、一旦はATバンパーがガタつかない程度にしておいて、まずは次に紹介する『スプリングでの調整』を試した方が良いかもしれません。

・スプリングでの調整

バンパーの中央部分に設置するスプリングを変えることでスライドの硬さを調整することができます。

スプリングは以下のように 色で硬さが異なり、これらを使い分けることで硬さを調整していきます。

スライドダンパーセットには最も柔らかい黒スプリングと二番目に硬い銀スプリングが付属しています。

スライド可動を柔らかめにしたいなら黒スプリング・硬めにしたいないなら銀スプリングと使い分けて、更に微調整したいということであればスライドダンパー2スプリングセットを別途購入してスプリングを交換していきます。

可動範囲の調整

スライドの可動範囲の調整については、スペーサーを使うことにより最大可動域を制限することができます。

スプリングの中にスペーサーを入れることにより可動範囲を狭めることができるようになります。

上の画像では6mmスペーサーを使用していますが、このスペーサーの幅が長い程 可動域を狭くすることができます。

ただし、今回作成したバンパーの可動範囲だと 6mmスペーサの一段階小さい3mmでは可動範囲を狭くするすることはできず6mm前後ぐらいの幅のスペーサでないと可動範囲が変わりません。

逆にスペーサーが大きすぎるとスプリングスペース自体に収まらないため無加工のスペーサーで使用できるサイズが限られてきます。

より細かくスライド可動域を調整したい場合はスペーサーを削って長さを短くしたり、3mmと1.5mmを接着剤で止めて4.5mmスペーサーを作るなどして対応していきましょう。

スラスト抜け対策について

ATスライドダンパーが壁に衝突した際、マシンのスピードやスライドダンパーの硬さによってはスライドする動作と同時にスラスト抜けが発生することがあります。

スラスト抜け対策がまったくされていないと、スライドダンパーが機能する前にスラスト抜けが起きコースアウトしてしまうこともあるので、スラスト抜け対策もやっておきたいところでもあります。

スラスト抜け対策方法詳細については以下の[スラスト抜け対策方法]記事内で解説しており、今回のATスライドダンパーの構成では「つっかえ棒を付ける」「スプリングの圧力を均等にする」などがおすすめなので余裕があればこれらの対策も実施して頂ければと思います。

スムーズにスライドさせる方法

ここまでの工程でATスラダンは完成しましたが、いざ組み立て可動させてみると「スムーズにスライドしない…」ということがあります。

特に多いのが押した時はスムーズにいくものの戻りがスムーズではないという症状です。

仮に走行中にATスラダンが押したまま戻ってこなければ、走行が不安定になったり速度減に繋がることもあります……

そうした状態にならないためにも、ここではATスラダンをスムーズにスライドさせるための方法を紹介していきます。

ロックナットの締め具合を調整

バンパーの各パーツを結合しているロックナットの締め具合を調整することでスムーズにスライドできるようになります。

今回紹介する対処法の中で もっとも手軽にできる方法であり、スムーズにスライドしない時はまずは この方法を試すことをおすすめします。

ただ、ロックナットでの調整は非常にシビアで少し締め具合を変えただけでスライドの挙動が変わってしまうので地味に大変な作業となります。

くれぐれもロックナットを緩めすぎてスライドダンパー自体がガタついてしまった… ということにならないようご注意ください。

ブレーキステーのビス穴を拡張することで調整が楽になる

以下の画像は車体裏面のものとなりますが、ブレーキステーのビス穴を拡張することでATバンパーをブレーキステーに装着したままロックナットの締め具合を調整することができます。

スムーズにスライドするかの確認はATバンパー単体では難しく、ブレーキステーに装着した状態ではじめて正確に確認できるとも言えます。

しかし、ブレーキステーに装着する必要があるということは、調整する度にATバンパーを一旦ブレーキステーから取り外さなくてはいけません。

そうした手間がかかる作業を楽にしてくれるのがブレーキステーのビス穴拡張であり、これをすることでロックナットによるスライド具合の調整が楽になります。

ブレーキステーのビス穴拡張は基本的に他の改造への弊害はないので、頻繁にロックナットの締め具合を調整するという方はやってみてはいかがでしょうか。

ちなみに、このビス穴の拡張はスラスト抜け対策としても有効で、詳しい効果・加工方法については別記事「スラスト抜け対策方法 解説」の『つっかえ棒を付ける』の項目をご参照ください。

グリスを塗る

スライドダンパーの各部位にグリスを塗ることでスライド可動をスムーズにさせます。

グリスを塗る箇所について以下となります。

ぱっと見 塗る箇所が多そうですが、真ん中のカーボンマルチステーを軸に考えて これがスライドする際の表面・裏面の接触する箇所にグリスを塗ればOKです。

このことから、全パーツに塗る必要もなくカーボンマルチステーの両面だけに塗るか 上蓋の裏面とマルチプレートの表面に塗るかでOKです。

塗る量も少量で構わないので、最初はほんのわずかに塗ってみて それでもスライド可動がスムーズにいかないようであれば更に少し追加して 調整していきましょう。

ちなみにおすすめのグリスはミニ四駆オイルペンです。

ペンの先端は極細の筆ペンとなっており、狙った箇所にピンポイントで塗布することができます。

今回の作業のみならずミニ四駆全体のグリス塗りにも役立つので、まだ持っていない方はこれを機に購入してみてはいかがでしょうか。

スキッドシールを貼る

グレードアップパーツであるスキッドシールを使ってスライドをスムーズにさせる方法です。

このスキッドシールカーボンマルチステーの以下の箇所に貼っていきます。

カーボンマルチステーではなく 上蓋・マルチプレート側に貼っても構いませんが、カーボンマルチステーの方が貼りやすいかと思われます。

また、上記の形に合わせてスキッドシールをカットするのが面倒くさい という方は以下の画像のようなシンプルな形でも構いません。

そして、簡単ではありますが最初に紹介した貼り付けパターンでのスキッドシールを貼る手順を紹介していきます。

スキッドシール 貼り付け 手順
手順
スキッドシールをカット

スキッドシール「2.5cm x 1cm」サイズでカットし同じものを4枚用意します。

尚、このサイズは今回作成したATスラダン用となっているので、他の形状のバンパーを使用する場合は それにあったサイズでカットするようにしてください。

手順
バンパーへの貼り付け

手順1でカットしたスキッドシールをバンパーに貼り付けます。

貼り付けたスキッドシールは一部バンパーからはみ出した状態で構いません。

ただ、バンパーと重なっている部分はしっかりなぞって ピッタリと貼り付けている状態にしておいてください。

手順
バンパーに合わせてカット

デザインナイフ・カッターなどでバンパーの形に沿ってスキッドシールをカットしていきます。

カットする際は下にカッターマットなどを敷いて作業することを推奨します。

そして、カットした後のものが以下となります。

上の画像を見てお分かりかと思いますが、カットラインはバンパーの形状にジャストフィットさせる必要はなく ある程度大雑把なラインで構いません。

同じ要領で「反対側の1箇所」と「裏面の2箇所」もスキッドシールを貼り付けて 作業完了となります。

最後に

今回はATスライドダンパーの作成方法を解説しましたが、今回の作成で最もネックとなったのがバンパー部分のパーツ選定でした。

私は幸いにもフロントワイドスライドダンパー用カーボンステーを所持していたので、それを使用してATスライドダンパーを作っていたのですが、スラダン用カーボンステーは入手困難という問題があり、皆が皆 同じ条件で作成できないことに気づきました。

そこでフロントワイドスライドダンパー用カーボンステーがなくても 比較的入手しやすいパーツ構成で作れるATスライドダンパーを模索した結果、今回解説した作成方法に至った次第です。

フロントワイドスライドダンパー用カーボンステーが購入できなくて、スライドダンパーの作成を諦めていたという方は本記事を参考に作って頂けると幸いです。

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