ヒクオ(VZシャーシ)作り方 紹介 -作成編-

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今回はVZシャーシ用のヒクオの作成方法を紹介していきます。
(ヒクオ作成に必要なパーツ・工具は前回の準備編にて紹介しています)

今回紹介するヒクオは以前作成したフロントATバンパーの下画像の矢印で示したのビスの箇所に適合するよう作成しており小径ローハイトタイヤを取付ける前提で説明を進めて行きます。


※プレートの穴の位置や加工箇所の変更により大径タイヤにも対応可能です。

目次

各プレートの加工

まず各プレートの加工方法説明前に完成形の形をイメージして作業するとやりやすいと思うので、先に完成形の画像を載せておきます。


この形にするために以下の手順で各プレートを加工していきます。

HGカーボンマルチ補強プレートの加工

まずはHGカーボンマルチ補強プレート(以下 カーボンプレート)の加工です。


カーボンプレートはシャーシ取付用の穴とプレート結合用の穴を決めプレート結合用の穴に皿ビス加工して不要な部分をカットしていきます。

「皿ビス加工」と「不要部分のカット」はどちらから先にやっても構いませんが、先に皿ビス加工しておいた方がカットする位置を決めやすいかと思います。

タミヤロゴが表示されている方を表面にする場合、何もロゴがない面にリューターの皿ビス穴加工ビットをあて皿ビス加工していきます。

皿ビス加工が終わったら不要部分をカットしていきますが、カットする際は境界線にマルチテープ等を貼っておいて、それを目安にカットすると間違わずに出来るのでお勧めです。


不要部分のカットについてはリューターのダイヤモンドカッターで切断し、同じくダイヤモンドカッターの側面で形を整えました。

皿ビス加工と不要箇所のカットが終わったら次にカーボンプレートの一部を切り取ります。


カーボンプレートを未加工のまま取り付けると片方のカーボンプレートがフロントギヤカバーに当たるので干渉箇所をカットします。

この場面では特に指標となる部分がなくカットする部分が分かりづらいので、一旦カーボンプレートをシャーシにセットしてどの部分が干渉するかをしっかり確認して削る箇所に印をつけておくと良いと思います。

先程と同じようにカットする境界線にマルチテープを貼り、それを目安にカットしました。


カーボンプレートの切り取り部分については、既存穴に合わせてカットしたため元の幅の3分の1程しか残っていませんが、元の幅の半分もしくはそれ以上残してもフロントギヤカバーに干渉しなくなるので強度に不安があれば削る範囲はもっと少なくても構いません。

※よりカーボンプレートの強度を残す削り方はフロント提灯(VZシャーシ)作り方紹介-作成編-で紹介していますのでよろしければそちらもご参照ください。

片方だけだと見た目がアンバランスなので、左右対称になるようにもう一枚も同じように加工してみました。


削る必要がない左側の方が削りすぎて強度がちょっと心配です…

尚、上記のように切り抜いた部分を角ばって削る方法ですがダイヤモンドカッターと変形円柱形ビットの2つのビットで可能です。


※変形円柱型ビットは「電動リューター用 ビット5本」に付属しています。

まずはダイヤモンドカッターで短い部分をカットします。


次に、同じくダイヤモンドカッターで長い部分をカットします。


長い部分はダイヤモンドカッターの刃を入れすぎると余計に削ってしまうので、少しずつ刃を当てるようにしましょう。
ある程度削ったら裏面からもダイヤモンドカッターを当ててギリギリまで削っていきますが、一部削りきれない箇所も出てくる可能性があります。


その場合はニッパー等を使って切り落としましょう。


このままだと切断面が整っていないので短い部分はダイヤモンドカッターの側面で整えます。
※以下の加工作業はリューターの代わりに棒ヤスリで行っても構いません。


※これも刃を入れすぎて余計な所をカットしないよう気をつけましょう。

長い部分は変形円柱形ビットの頭のところで整え、隅の箇所も下の画像の感じで刃が横に行き過ぎないよう気をつけて当てれば隅を角ばらせることができます。

特に角張らせる必要がなければ、最初から円筒形ビットを使用してマルチプレートの干渉箇所を少しずつ削っていけば、プレート強度が極端に落ちる心配もないのでこだわりがなければ円筒形ビットで整えることをお勧めします。

※ダイヤモンドカッターを使用しない削り方についてはフロント提灯作り方紹介で紹介しています。

そしてカーボンプレートの形は完成しましたが、このままの状態でシャーシに取り付けると穴が小さくヒクオの可動域が狭くなってしまうので、シャーシ取付用の穴をリューターのドリル状ビットを貫通させ拡張します。


さらに実際の可動を想定し斜めにした状態でドリル状ビットを少しだけあて削っていきます。

※斜めのリューターあては各プレートを組み合わせていない状態だと間違えて違う向きにリューターをあててしまう可能性もあるので、プレートを組み合わせてから実施しても構いません。

これでカーボンプレートの加工は終了です。

FRPマルチ補強プレートセットの加工

次はFRPマルチ補強プレートセット(以下 マルチプレート)の加工です。


マルチプレートは新規穴を追加するためにFRPリヤーローラーステー(以下 リヤステー)を使用します。


マルチプレートとリヤステーを結合させマルチプレートに新規の穴をあけていきます。

※穴あけに苦戦するという方は「カーボン・FRPの穴あけ方法の紹介」の記事で穴あけ方法を紹介していますので、そちらをご参照ください。

そしてこの新規穴の追加ですが、これとは別にもう1本をヒクオの骨格の強度を上げるための補強用に同じように穴を追加します。

2枚目のプレートは追加穴しか使用しないのでそれ以外の不要な箇所はカットしていきます。


こちらの短くしたプレートは必須ではないので
2枚目の補強プレートを作成するか否かは、実際に組み立ててヒクオの強度を見てから必要かを判断してからでも構いません。

リヤステーの加工

続いてはリヤステーの加工です。


これまでリヤステーは新規穴あけ用のガイドとして使用しましたが、ここではリヤステー自体を加工してマスダンパーを支える土台としていきます。

リヤステーは白丸の箇所を使用しすべて皿ビスを取り付けていくので、まずはリューターの皿ビス加工ビットで皿ビス加工をしていきます。


皿ビス加工が終わったらビス穴に干渉しないように不要な部分をカットしていきます。
加工はこれまでカーボンプレートと同様に、リューターのダイヤモンドカッターで不要箇所を削り、最後に円筒形などのリュータービットで綺麗に整えていきます。


それとリヤプレートの中央部分を残しておけば、まだどこかで穴あけのガイドとして使用するかもしれませんので捨てずに残しておきましょう。


これで各プレートの加工は完了となります。

パーツの結合

これまで作成したパーツを結合させていきます。

カーボンプレートとマルチプレートの結合

まずはカーボンプレートとマルチプレートを結合します。


カーボンプレートを下にして皿ビス(6mm)とロックナットで結合させてます。

結合プレートの表


結合プレートの裏


カーボンプレートとマルチプレートの上下については、上の写真のようにカーボンプレートを下にした方が僅かではありますがヒクオの可動範囲が大きくなります。

また、上記のようにカーボンプレートとマルチプレートが1点止めだと走行中などに衝撃を受けるとプレートがずれることもあるので、プレートをより強固に固定するため下画像のカーボンプレートの穴の位置にもう1本の短くしたマルチプレートを取り付けます。

ここで追加するマルチプレートとカーボンプレートの位置関係は、どちらのプレートを上にしてもシャーシとは干渉しないのでお好みで。


追加したマルチプレートはトラスビス(5mm)とロックナットで固定しています。

ちなみに追加プレートを使用しない場合は最初のプレート結合時に接着剤で固定することを推奨しますが、接着剤が完全に乾くとプレートの位置が変更できなくなるので、結合作業をする前にヒクオ用ビスを取り付けたATバンパーを用意しましょう。


接着剤を付けたらすぐにビスとナットでプレートを仮固定して、一旦ATバンパーに取り付けてプレートの最終位置を調整し、ビスとナットで本締めして接着剤が乾くのを待ちます。


マルチプレートを2枚使用した場合も上記と同様に、ATバンパーのビスにヒクオを通してカーボンプレート同士が真っすぐ平行になっているかを確認し最終位置を調整します。

ただしマルチプレートを2枚使ったからといってヒクオの骨格が完全に固定されるわけではなく、コースアウトした際に強い衝撃を受けると、下の画像のように歪んでしまうこともあります。


ただ、普通に走行していればプレートが歪むこともないので心配する必要はありませんが、強いて懸念するとすれば小さな大会とかで全員がコースアウトしてすぐに再レースという場面に出くわすと厄介ではあります。

リヤプレートとの結合

続いてはこの結合したプレートにリヤプレートを結合します。
結合にはスペーサー・皿ビス・ロックナットを使用します。

まずはリヤプレートの以下の場所に皿ビスを2本通します。


皿ビスの長さはタイヤ径とスペーサーの長さで変わってきますがここでは一旦25mmの皿ビスを使用しています。

リヤプレートに皿ビスを通したら、皿ビス加工した方を地面に向けてスペーサーを取り付け先程組み立てたプレートにビスを通します。


ビスを通したらロックナットで固定し反対側も同じようにリヤプレート・皿ビス・スペーサーを用意して同じく2箇所をロックナットで固定します。

尚、リヤプレートの位置は左右逆でも構いません。
この配置の方が僅かながらマスダンパー内側に寄る感じがしたので私はこの配置にしています。

また、スペーサーの長さについては今回は12mm+6mmの計18mmとしていますが、未加工の小径タイヤで地上高ギリギリ1mmでヒクオが左右に傾いた際に片方が地面に擦れる可能性もあるので、紹介しておいてあれですがこの長さは余りお勧めできません…
実際に適切なスペーサーの長さはヒクオを完全に組み立ててからでないとわからない部分もあるので、ご自身のマシンにあった長さを選びましょう。

マスダンパーの取付

続いてはリヤプレートにマスダンパーを付けていきます。
リヤプレートの残りの穴に皿ビス(30mm)を通してナットで固定し


マスダンパーを乗せて、スタビキャップをつけます。


これでパーツの結合は完了です。

シャーシへの取付

最後に、結合したヒクオプレートをシャーシに取り付けていきます。

シャーシ側は以前作成したフロントATバンパーのプレート結合用の穴を使用しビスは20mmの皿ビスを使用しロックナットで固定しています。

まずはこのフロントATバンパーをシャーシに取り付けます。
※フロントATバンパーの取り付け方については「フロントATバンパー(VZシャーシ)作り方紹介 -作成編-」をご参照ください。

リフターのセット

ATバンパーをシャーシに取り付けたら、結合したプレートをこのATバンパーにセットしていきますがまずはリフター機能を持たせるための準備をします。
※リフターが何故必要かについては「フロント提灯(MAシャーシ)作り方紹介 -作成編-」で説明しているのでそちらをご参照ください。

17・19mmローラー用ゴムリングを2重にしてヒクオプレートに取り付けます。


次にゴムリングをシャーシ側のビスに通しやすくするために、ビスの浅い所で留めておくようにプレートをセットします。


浅くプレートを止めた状態でゴムリングのビスから遠い方の輪っかをビスに引っ掛けます。


※ゴムリングの付け方によってリフターの強さが若干変わってくるので
詳しくは「フロント提灯(MAシャーシ)作り方紹介 -作成編-」を参照ください。

このままプレートごと下げていきます。
ここでゴムリングの上下のスペースが狭すぎるとヒクオの可動域が狭くなるので、ゴムリングの上下に少しの空スペースを確保するようにします。
ただ逆に空きスペースが広すぎるとヒクオが片側に傾いてバランスが悪くなるということも懸念されるので、どのくらいスペースを空けるのが良いかは実際に走行させ、ヒクオが何度可動しても左右に傾かない適切な空スペースを探していきましょう。

最後にロックナットを取り付け締め具合で適切な空スペースを調整します。

スラスト角の調整

そして、このゴムリングリフターを使用した場合後ろ側に引っ張る力が働き、下の写真のようにATバンパーのプレート間に隙間ができます。

こうなるとATバンパーの前方部分が浮き、ATバンパーにスラスト角調整の加工をしたつもりがスラスト角が浅くなり、酷いとアッパースラストになってしまいます。

これを解消するためにあらかじめATバンパーのスラスト角度を高めにしておきます。

ATバンパー作成時は5mmトラスビスと大ワッシャー2枚でしたがスラスト角を上げるため、1.5mmスペーサーと小ワッシャー1枚に変更しました。(トラスビスは5mmのまま変更なしです)




これでヒクオがない状態だと結構なスラスト角ですがヒクオをつけるとスラスト角も少し緩やかになります。


写真のヒクオ取付後のフロントローラーのスラスト角は5℃~6℃ぐらいとなります。

あとは自分の好みのスラスト角になるようにスペーサーやワッシャーで調整しましょう。
ただしスプリングが固かったり、元々スプリングの圧力が強い場合はスラスト角の変化もあまりないので、ご自分の使用するスプリングの種類やスプリング圧にあった調整パーツを選択しましょう。

仕上げ・可動確認

最後にビスがむき出しの箇所をゴムパイプ等で覆ってヒクオ完成です。

完成後、ヒクオを可動させてカーボンプレートの穴の加工具合やリフターの効き具合が適切かどうか確認していきましょう。


尚、ヒクオが下に降りた際はプレートが電池ホルダーを叩く形となります。

最後に

そして完成とは言ったものの肝心のボディがなく、この状態ではレギュレーション違反となり大会に参加することができません…

そこで今回作成したプレートにクリヤーボディ(ポリカボディ)を取り付ける方法を別途クリヤーボディ取り付け方法の紹介の記事にまとめましたので、ボディの取り付けで苦戦している方はそちらをご参照ください。

また今回はVZシャーシ用ヒクオの作成方法を紹介してきましたが、同じVZシャーシ用のフロント提灯作成方法も別途紹介しているので、そちらもよろしければご参照ください。

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